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『「お前の仕事はAIでできる」とクビになった俺、異世界では“働けない若者”の希望になった』  作者: げのげのもへじ


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3/5

港で起きた“人にしかできない救い”

第一話、第二話を読んでくださり、ありがとうございます。


第三話では、

港で起きた“あるトラブル”をきっかけに、

ガルムが久しぶりに 「自分の力が誰かの役に立つ」 という瞬間を迎えます。


魔道具が便利になりすぎた街で、

人にしかできないことは本当に消えてしまったのか――

その問いに、少しだけ光が差す回です。


ただし、

「働けるかどうか」はまだ分かりません。

ここから先は、街の“現実”と向き合うことになります。


ぜひ、続きを楽しんでください。

翌朝。

俺たちは市場を後にし、港へ向かった。


ガルムが働いていた場所だ。


港は朝から騒がしい。

巨大な荷揚げ魔道具が、無機質な音を立てながら荷物を運んでいる。

その動きは正確で速い。

だが――どこか“冷たい”。


ガルムは苦い顔をした。


「……ここだよ。

 俺ら獣人が働いてた場所」


「魔道具が入って、全員クビになったんだよな」


「ああ。

 でも……兄ちゃん。

 俺、やっぱりここが好きなんだ」


ガルムの拳は震えていた。


***


そのときだった。


「おい! 誰か来てくれ!!」


怒号が響いた。


見ると、荷揚げ魔道具が巨大な木箱を持ち上げたまま停止し、

荷台が大きく傾いている。


その下には――

小さな獣人の子どもが座り込んでいた。


「ひっ……動けない……!」


作業員が叫ぶ。


「まずい!

 魔道具がエラー起こして固まってる!

 このままじゃ木箱が落ちるぞ!!」


リオが青ざめた。


「兄ちゃん……あれ、やばいよ!」


俺は即座に判断した。


(魔道具は“危険物の下に人がいる”と判断すると、

 逆に動けなくなる……!

 でも、木箱の重心が崩れたら――)


ガルムが前に出た。


「兄ちゃん……俺、行く!」


「ガルム、危険だ!」


「でも……あの子、俺と同じ獣人だ!

 助けたいんだ!!」


迷いはなかった。


ガルムは地面を蹴り、

獣人特有の脚力で一気に荷台へ飛び乗った。


「うおおおおおっ!!」


両腕で木箱を支え、

体勢を立て直す。


木箱はガルムの腕の中でギシギシと軋んだ。

その重さは、常人なら即座に押し潰されるほどだ。


子どもが泣き叫ぶ。


「た、助けて……!」


ガルムは歯を食いしばりながら叫んだ。


「大丈夫だ!!

 絶対に落とさねえ!!」


俺は叫んだ。


「リオ、子どもを引っ張り出せ!!」


「うん!!」


リオが子どもを抱え、

安全な場所へ引きずり出す。


ガルムは限界ギリギリの声で言った。


「兄ちゃん……!

 もう……大丈夫か……?」


「大丈夫だ! 離していい!」


ガルムは力を抜き、

木箱は地面にドスンと落ちた。


ガルムは膝をつき、

大きく息を吐いた。


作業員たちが駆け寄る。


「助かった……!

 魔道具じゃ、こういう時どうにもならねえんだ!」


「お前、腕が立つな……!

 昔ここで働いてたってのは本当か?」


ガルムは照れくさそうにうつむいた。


「……まあ、ちょっとだけな」


作業員は真剣な顔で言った。


「今日の件は責任者に報告する。

 あんたの力は……本当に助かった。

 ありがとう」


ガルムは驚いたように目を見開いた。


「お、俺……役に立てたのか……?」


「立ったさ。

 命の恩人だよ」


ガルムは胸に手を当て、

震える声でつぶやいた。


「……よかった……。

 俺……まだ、誰かの役に立てるんだな……」


リオが笑った。


「ガルム、すげえよ!」


ミナも尻尾を揺らす。


「ほんとにすごかったよ!」


俺はガルムの肩を叩いた。


「ガルム。

 “働けるかどうか”はまだ分からない。

 でも――

 お前の力が必要な場所は、確かにある」


ガルムはゆっくりとうなずいた。


「……ああ。

 それだけで……今日は十分だ」


***


港を離れるとき、

ガルムは何度も空を見上げていた。


「……俺、まだ……やれるんだな」


その横顔は、昨日までとは別人のようだった。


(市場に続いて、港でも“人にしかできない仕事”があった。

 この街には、まだまだ可能性がある)


そして――

明日、港の責任者が動く。


それが、ガルムにとって

“本当の第一歩”になる。

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。


第三話では、

ガルムが“命を救う”という形で、

自分の価値を再び感じる場面を描きました。


ただ、

救えたことと、働けることは別問題

というのが、この街の現実です。


港の作業員が言っていたように、

正式な話は“明日”になります。


次の第四話では、

港の責任者が登場し、

ガルムの未来が大きく動き出します。


ぜひ、続きも読んでいただけると嬉しいです。

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