魔道具が便利すぎる街で、若者だけが仕事を失っていた
初めまして。作者のげのげのもへじです。 この作品が、私の初めての執筆になります。
最近、
「AIが仕事を奪う世界って、実際どうなるんだろう?」
と考えることが増えました。
便利になる一方で、
“働く意味”や“成長の機会”が失われていく未来。
そんな世界をもし異世界の街に置き換えたら――
という妄想から、この物語は生まれました。
舞台は《ルーメン商都》。
魔道具が便利になりすぎたせいで、
若者だけが仕事を失ってしまった街です。
働きたいのに働けない若者たちと、
異世界に転移した主人公が出会うところから物語は始まります。
初日は読みやすいように、
第一話と第二話の2話を同時投稿します。
どうぞ、ゆっくり読んでいってください。
魔道具が働きすぎて、若者が働けない街――
それが《ルーメン商都》だった。
市場では自動仕分け機が野菜を選び、
港では荷揚げ魔道具が獣人たちの仕事を奪い、
工房街では自動槌がドワーフの手仕事を押しのける。
便利で、効率的で、
だがどこか“冷たい”街。
***
俺――高原悠真は、
そんな街の裏路地で目を覚ました。
(……ここはどこだ?)
転移の理由は分からない。
ただ、目の前に広がる街並みは、
現代の技術と魔法が混ざったような奇妙な世界だった。
そのとき、路地の奥から小さな声が聞こえた。
「……働きたいのに、働けないんだよ……」
振り向くと、
ボロい木箱に腰掛けた少年がいた。
人間の少年――リオだ。
「兄ちゃん……旅人?
ここ、《ルーメン商都》って街なんだ。
魔道具が何でもやっちゃうから……
俺らみたいな若者は、働く場所がないんだよ」
その横には、獣人の少年ガルムが力なく座り込んでいた。
「港で荷物運びしてたけど……
新しい魔道具が入って、俺ら全員クビだ」
さらに、エルフの少女アイナがため息をつく。
「市場の仕分けも魔道具がやるようになって……
私たち、経験を積む場所すらないの」
猫人族のミナは、尻尾をしょんぼり垂らしていた。
「接客も、案内も、全部魔道具がやっちゃうんだよ……
私たち、何のために生まれてきたんだろ……」
鳥人族のカイは、翼を畳んだまま空を見上げていた。
「昔は空から街の連絡をしてたけど……
今は通信魔道具があるから、誰も頼ってくれない」
――働きたいのに働けない。
その言葉が、胸に刺さった。
***
リオたちの話を聞きながら、
胸の奥に妙なざわつきが生まれた。
(……俺のいた世界でも、
“AIが仕事を奪う”って言われてたな)
(まさか……
ここはAIが普及しきった世界の“行き着いた先”なのか?)
確信なんてない。
ただ、目の前の若者たちが苦しんでいるのは分かる。
だから俺は口を開いた。
「……働きたいのに働けないって、
やっぱりおかしいよな」
若者たちが顔を上げる。
「魔道具は便利だ。
でも……全部が魔道具でいいわけじゃないだろ。
“働きたい”って気持ちがあるなら、
きっと何かできる」
アイナが小さくつぶやく。
「……私たちに、できること……?」
ガルムが拳を握りしめる。
「兄ちゃん……
俺、もう一度働きたい。
胸張って生きたい!」
ミナが涙を拭う。
「私も……誰かの役に立ちたい……!」
カイが翼を震わせる。
「俺も……空から街を見守りたい!」
ドルトが工具袋を握りしめる。
「俺も……手仕事を続けたいんだ!」
若者たちの目に、
ほんの少しだけ光が戻っていた。
俺はゆっくりとうなずいた。
「明日、街を歩いてみよう。
魔道具にできない仕事……
きっとどこかにあるはずだ」
リオが息を呑む。
「兄ちゃん……
本当に……?」
「ああ。
まずは“できること”を探すところからだ」
若者たちの表情に、
かすかな期待が灯った。
こうして――
若者たちと俺の、小さな一歩が始まった。
魔道具が働きすぎて、若者が働けない街。
その街で、若者たちが“働く意味”を取り戻す物語が動き出す。
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
第一話では、 主人公・悠真と若者たちの“出会い”を描きました。
魔道具が便利すぎる街で、 若者だけが仕事を失ってしまうという、 少し痛みのある世界から物語は始まります。
次の第二話では、 若者たちが初めて“働けるかもしれない”瞬間が訪れます。
初日は2話投稿していますので、 よければ続きも読んでいただけると嬉しいです。
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