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第7話 運命の日の朝

年明けから1週間ほど経った、寒い午後のことだった。


美久は大学の裏手にある小さな神社を訪れていた。正式名称は「音無神社」だが、美久は勝手に「猫神社」と呼んでいる。なぜなら、ここには「宮司猫」と呼ばれる白猫が住み着いているから。


授業、そして神社へ


大学の授業は「動物行動学特論」。今日のテーマは「動物の第六感について」。


大講義室は午後の授業にも関わらず、ほぼ満席。この授業は人気が高い。教授は、白髪の初老の男性。フィールドワークの経験が豊富で、話が面白い。


「動物には、人間には感じられない何かを感知する能力があるという説があります」


美久は最前列中央の定位置で、身を乗り出した。新品のノートを開き、日付を記入。『2024年1月25日 動物の第六感』


「例えば、地震の前に異常行動を示す動物たちの報告は、世界中にあります。1975年の中国・海城地震では、動物たちの異常行動を参考に避難勧告が出され、多くの命が救われました」


(もしかして、私から何か出てる?)


美久は、自分の手を見つめた。普通の手。特に変わったところはない。爪はきれいに切り揃えられ、猫に引っかかれた傷もない(そもそも近づけないから当然だが)。


「また、特定の人間に対して、動物が特異な反応を示すケースもあります」


教授の言葉に、美久はハッとした。


「これは、その人から発せられる電磁波、フェロモン、あるいは我々がまだ知らない何かに反応している可能性があります」


(猫が避ける何か...それが私から出ている?)


美久は必死にノートを取りながら、自分の状況に当てはめて考えた。


授業後、美久はいつもの神社に向かった。なぜか、今日は特に神社に行きたい気分だった。まるで、何かに呼ばれているような...

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