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51 彼女の話18
男は掃除屋だと、祖父は言った。
あの子の死体の後始末を行ったあと、公園に立ち寄っているはずだと。
その人は、疲れた顔をして、ベンチに座って居眠りをしていた。
遠くから眺めていると、やがて二人の男に囲まれ、何か言いがかりをつけられているようだった。
あたしは、迷ったが、ベンチの前を歩いて通り過ぎ、距離をとったあと、思い切ってコーヒー缶を囲んだ一人の男の顔にめがけて投げ、それから走って逃げた。ツナギの人は、何とか男二人の囲みを抜けたようだった。
公園の出口で、待っていると、彼がやってきて、コーヒーをくれた。
あたしは、笑いながら会話をし、彼と別れると、祖父が用意してくれた車に乗って、別の町に移動した。
そこは、弟がまだ住んでいるマンションのある町だった。
その町で、あたしは、祖父からの指示を待っていた。
母さんが、弟を連れ去るのを阻止するために。




