46 掃除屋の話33
初対面なのにそんな気がしなかった。
もちろん、それは私の一方的な感覚で、似た顔の遺体を袋に収容したが、その人物は別人で、しかも双子と関係なかったし、こっそり望遠鏡越しに眺めていたが、見ていたのが私だと知らないはずだった。
いや、誰かから私のことを聞いた可能性もある。祖父である死んだ老人が、一連の出来事に関わった人間として、伝えていたのかもしれない。
色々なことが頭に浮かんだが、答えは出ない。聞けば話してくれるかは自信がなかった。会話の邪魔をされないように、せっかく先輩を気絶させたのに。
美しい顔をした人は、黙ったままの私の言葉を待っていた。
私は、かろうじて、「彼女は、誰なのですか」とだけ尋ねた。
「僕の姉です」と彼は悲しそうな顔で答えた。
彼と彼女の顔を見比べたが、けして似ているとは思えなかった。私の困惑を見て取ったのか、「事情があって」と答えてしばらく黙った。それから、
「母親の計画のために顔を変えられたのです」と吐き出すように言うと、じっと私の目を見つめた。
かなり複雑な事情があるようで、聞き出すのはためらわれたが、ここまでくれば私も無関係ではない。見届ける資格があるのではないか。
彼の顔を見ると、当然そのつもりのようだった。
「いったい、何があったんですか」と彼に尋ねた。




