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掃除屋の恋  作者: takerou73
32/63

32 彼女の話2

侵入者がすべて排除されたあと、あたしたち姉弟は、祖父に初めて会った。


祖父の目に、あたしたちへの憐みの色はなかった。むしろ無関心に近い眼差しで、絶縁状態であった身内のことなど、祖父には存在しないも同然だった。


弟は、祖父の冷ややかな視線に耐えきれず、終始、あたしにしがみついていた。


もともと感じやすい性格で、誰よりも早く周囲の変化に気づき、強く怯え恐れる子だった。そんな弟が、間近であのような残忍な出来事が起これば、心が耐えられる限界を越えたとしても仕方がない。弟を守るのは、もう、あたししかいない。


母さんは、病院に連れていかれた。祖父の決定で、あたしたちとは別の世界で生活することになった。


あたしは祖父を憎むべきだったのだろうか。


父さんと母さんがあんな目にあったのは、祖父の存在のため。

祖父を脅すための手段として、あたしの家族は壊された。


彼を憎めばいい。それが一番簡単だった。


だが、あたしは弟を守らねばならない。

これからどんなことが起ころうとも。


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