11 掃除屋の話11
翌日以降はまた元のような日常に戻った。
先輩は迎えに来るためにかかる時間が増えたが、ただ不愛想な顔のまま、特に文句も言わなかった。
その日は、バンに乗った直後に「一人」と先輩が告げた。続けて、
「今日は立ち合いが居る」と不機嫌そうに言った。
そんなケースは初めてだった。何か良くないことの前兆に思えた。
雑居ビルの中の最上階の部屋、中に入ると、赤い薔薇の上に横たわる男と、スーツ姿の男が一人立っていた。
男は、顎を上げながら私たちを睨んだ。光沢のあるグレーのスーツ、チンピラが少し階級を上げたばかりのような見た目で、全体的に下品としか言いようのない雰囲気を漂わせていた。待たされた不満なのか、私たちに向かって大きく舌打ちをした。
先輩が軽く会釈をし、だがそれ以上のやり取りもなく、作業を始めた。
私が改めて横たわる男に注意を向けると、茶髪で、鼻が少し曲がっていた。
どうも、あの日の公園にいた男のようだった。
私は少し動揺したが、平静を装い、作業を続けた。
顎の下を大きく切り開かれていて、持ち上げると後ろに首が大きく下がった。
袋に納めようをしていた時、
「おい、お前」とスーツ姿の男が声をかけた。
「そいつが本当に死んでいるか確かめなくていいのか」




