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魔王に婿入り!?  作者: 虚幌須
二章 異世界へようこそ
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同衾と朝食

うっすらと目が開ける。見えてきたのは見知らぬ天井。光はもう一度目を閉じる。かなりの睡魔に襲われたからだ。いつも以上に寝心地がいい。普段使ってる布団とは違う甘い匂いとやわらかな感触が心地いい。寝返りをうって隣を見る。見知らぬ女の子が眠っていた。え・・・

「ええっ!!」

小声で叫ぶ。隣の女の子は目を覚ます気配はない。

「ん・・・」

寝返りをうつ女の子。さっきみた顔を思い出す。そうだ、ルーシーと名乗る少女が見せた写真の子だ。

「ここは、どこだろう・・・?てか、なんで同衾どうきんしてるんだ・・・」

『テ、テケ、テケテケテケ、テケリリリリリ・・・』

珍妙な音が部屋に鳴り響く。おそらく目覚ましだろう。

「んんん・・・」

女の子が目を覚ます。そして、光の存在に気づく。

「ん・・・、おはようございます。・・・夜這い?それとも朝駆け?」

「いや、違うから。ていうかえらく冷静だね・・・」

妙な沈黙が走る。

「きゃぁ、エッチ~と叫ぶほうがよかったかしら?」

「いやいや。てか、どちらさ「おはよう、アリス~」」

「あ、お前は」

部屋に飛び込んできたのはルーシーと名乗った少女だ。

「あ、ルーシーおはよう。今日も元気ね・・・」

アリスと呼ばれた女の子は体を起こして光の方にむく。

「はじめまして、ヒカル。私はベアトリス。この城の人からはアリスって呼ばれています。次期魔王です」

「はぁ、わざわざどうも。って、次期魔王!!」

いったいどういうこと、とはてなマークを頭の上に出しまくる光。

「ここはどこなんだ。それに、魔王って何さ。それに俺このルーシーって子に殺されたよな・・・」

ルーシーのほうをじっと見る光。それに気づいたアリスはムスッとした顔で光ほほを両手で挟んで自分の顔のほうに向かす。再び沈黙が走る。

「いやん、恥ずかしい・・・」

アリスは頬を朱に染める。

「いや、それなら離してくれないか・・・」

不意に思い出す。『性格はまぁ普通』という言葉。

(癖が強すぎないか・・・)

「あの、ラブラブなところ悪いのだけど、そろそろ朝食・・・」

ルーシーの言葉に我に返るアリス。

「いや~!!」

突き飛ばされる光。ベタ過ぎるぞこの展開。

「あ、ごめんなさい。とりあえず、ご飯に行きましょう」







「よく来たね。異世界の青年」

朝食の席に座っていたのは光を合わせて10人だ。一番年が上であろう黒髪に白髪交じりの長身の紳士が話しかけてきた。

「は、はぁ。まぁ来たと言うか連れてこられたと言うか、殺されてしまったと言うか・・・」

「ははははっ。まぁまぁ。まず、名乗らせてもらおう。私はプルーガ。魔王をやっている」

また出た。魔王という単語。てことはこの人がアリスの父親?

「娘の婿候補を探していて、なんと君に白羽の矢が立ってしまったんだ。無理やり連れてきたことは詫びよう」

魔王は頭を下げる。

「いえ、そんな。恐れ多い・・・」

恐縮する光に魔王は笑う。

「そう、かしこまらなくていい。まずは、朝食を召し上がってくれ」

「はぁ。い、いただきます」

テーブルの上にはスクランブルエッグに焼きたてのパンが数種類。ドレッシングのかかったサラダが並べられている。普段の朝食を思い出す。携帯用の固形バランス食品が主だった光にとってはうれしい限りだ。



「ちなみに、どう言う基準で選んだんだ?」

光はアリスのほうに向き、聞いてみる。

「婿候補の写真を壁に貼り付けてダーツをして、刺さったのがヒカルだったの」

「旅の候補探しじゃあるまいし・・・」

がっくりとうなだれたのちにコーヒーを飲む光。

「ちなみに、眉間にざっくり・・・うふっ」

「うふっ、じゃねぇよ!!」

アリスの言葉に一々突っかかる光。朝食の場というのも忘れて落ち込んでいる。

「まぁ・・・冗談ですよ」

アリスはやんわりと発言する。

「それでは、私は部下の訓練がありますから、失礼します。魔王様」

「おう、そうだったな。ベルゼー、あまりしごくなよ」

「ははは、心得たと言っておきます」

そういって、ベルゼーと呼ばれた緑色のジャージを着た筋肉質の男は席を立ち部屋を出る。

「あ、俺も城内の結界の点検に行ってきます。行くぞ、レヴィ」

「まだ、食べてるのに~」

「ほって行くぞ」

「ま、待ってよ~」

金髪の男とレヴィと呼ばれた橙色の瞳をした少女が席を離れて部屋を出る。

「さて、あたしも研究のほうに行くか。ベール、あんたも来る?」

「・・・」

こくりとうなずく青と赤のオッドアイの少女。

「よっしゃ。では魔王様、新しいガンドの試作品ができたら来ますね」

「うむ、頼むぞ」

ベールと呼ばれた少女と藍色の髪をしたボーイッシュな女の子が席を立ち、部屋を出る。

「さて、私は・・・。部屋で本でも読んでこよ・・・」

青い髪と青い瞳をした女の子は部屋を出る。

「じゃあ、私も・・・」

ルーシーが立ち上がろうとする。

「まて、ちょっと話を聞かせてもらおうか」

光がそれを止める。

「どうせ、ここの世界のことを聞くんでしょ。魔王様、説明してあげてください」

無茶振りするルーシー。

「うむ、それはそうだな」

それをやんわりと受け止める魔王。意外とできた人物みたいだ。

「さぁ、何でも質問するがいい」

えらく気さくな魔王だと思う光。

「まずは、この世界は何なんだ?」

光の知っている世界には魔王なんて者はいない。そもそも、ガンドというものも存在しない。

「うむ、手っ取り早く言うならば君の住んでる世界とは異なる世界だ。この世界には大きく分けて魔族と人間が住んでいる。この国は魔族が統治している。名をアーケロン」

魔王は一呼吸をおき、コーヒーを飲む。

「しかし、人間たちは我ら魔族を異端と言い宣戦を布告してきた。それが30年前だ」

「それじゃあ、今は魔族と人間の戦争の真っ只中なのですか?」

魔王は首を横に振る。

「10年前に戦争は終結した。しかし、種族間の争いはなかなか静まらない。あちこちで小規模な戦争が起こっている」

「そう・・・ですか」

光はしんみりとうなずく。

「そう、しんみりするな。さて、ほかには?」

ガンドって何ですか?」

先ほどの会話で出てきた名前。無性に気になって仕方がない。

「それはだな」

ごくりとつばを飲み真剣な顔になる魔王。

「それは・・・」

釣られて光も真剣な顔になり身構える。

「「・・・」」

お互いの顔が近づき、目の中の自分の姿が見えるまでの距離になる。

「次回に続く」

・・・・・・・・。ルーシーとアリスがテーブルに頭を埋める。あまりのベタな展開に光の口からエクトプラズムのようなものが出てきている。

「ハッハッハッハ」

高らかに笑う魔王であった。

そろそろ、書き溜めてた文がなくなってきました。更新が遅れるかもしれませんのでご了承ください

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