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魔王に婿入り!?  作者: 虚幌須
四章 サバイバルゲームと忍び寄る影
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覚醒?

扉一枚の向こう側で一際大きな銃声が鳴り響く。

「デウスのレールガンだわ」

アリスは自身の影から一丁のガンドを取り出す。デウスのレールガンに負けず劣らずの大きさで、六つの銃身が束になっており、両手持ちで支える仕組みになっている。

「おい、アリスそれは?」

「MGT。使用者の魔力を直接供給して毎分1500発を発射するガトリングガンよ。何よりもすごいのはその人の属性を弾として射出できるところね」

うれしそうに説明するアリス。もう一度大きな銃声が鳴り響く。すぐ後に扉を壊して機動兵器が入ってくる。徐々に近づく機動兵器に立ちふさがる、マーモンとサターヌ。

「魔王様には近づけさせないわ」

「この身が倒れてもね」

だが、そんな二人を腕で払うだけで対処する機動兵器。銃口を向けるアリス。今にも飛び掛ろうとするルーシー。それを制しているベール。

「きゃあ!!」

「あぐぅ!!」

二人は壁まで飛ばされて気を失ってしまう。

「サターヌ!、マーモン!私を殺すために来たんだろ!臣下に手を出すな!!」

玉座から立ち上がり機動兵器に近づく魔王。

「お父様!」

その前に出るアリス。

『魔王。わが国の神託により貴様を殺す。勇者である俺様の手によってな』

機動兵器から若い男の声が聞こえる。

「そんなこと、させてたまるもんですか。こんないい加減な魔王でも私の父なんだから!!」

構えたガトリングの銃身が徐々に回転していく。

『ふっ、そんな玩具でこの機動兵器『メシア』は壊れんぞ。気が済むまで試すがいい』

回転が速くなり魔弾が撃ちだされていく。アリスは反動をその両手でしっかりと押さえ、少しへこんでいる右腕を狙っていく。だが、やはり『メシア』手前で弾かれ霧散していく。気がついたマーモンはその様子を見る。

「アリスのMGTでもだめなのか・・・」

アリスはMGTに魔力を込め続ける。すでに3000発は超えているはずであろう。

『はははっ無駄だ無駄だ』

「どりゃあぁ!!」

すさまじい音が玉座の間に鳴り響く。その音はまるで啄木鳥が木に穴を開ける音のようだ。そのときだった。何かにひびが入る音がした。その音が時折聞こえ出す。

「姫さん、まさか・・・」

光は撃ちつづけているアリスに話しかける。

「シールドにヒビが入ってるはず」

パリーンと何かが割れる音がした。『メシア』の後ろから煙が上がる。

『馬鹿な!魔力シールドが持たなかっただと・・・。だが、この装甲はそう簡単に突破は』

右腕の装甲にヒビが入りだした。

『何!!!』

「残念ね。私の魔力の属性は『影』。特徴は全てのものを侵食していくのよ!」

装甲を侵食して行き、衝撃で装甲がはがれて腕の中の精密部品が見え始めてきた。だが、それもつかの間。精密部品を魔弾が侵食していき、腕を撃ち落した。腕に小さな爆発を起こして巨体を横たえる。

「すげぇぞ、姫さん」

今にも飛びつきそうな勢いの光。

「いやん、そんな素敵だなんて。惚れ直した?」

MGTを放り投げて顔を赤くして体をくねくねさせるアリス。哀れMGT、床に埋没。

「何言ってんだ。そんなこと一言も言ってないぞ」

「またまた~」

「おい、危ないぞアリス」

デウスの叫びが聞こえてきた。

「だから、私は・・・きゃあ!」

アリスが何かにつかまれてしまった。決まっている、『メシア』だ。

「「「アリス!!」」

『おのれ、おのれおのれおのれおのれおのれ!!』

「う、うぐぐぅ」

『メシア』の左の指が閉じていく。『メシア』はアリスをつかんだまま立ち上がる。

『魔王の命は今はどうでもいい。この女は許さん!!』

更に締め付けていく。

「かはっ」

それっきり動かなくなったアリス。それを皮切りにルーシーがデスサイズを構えて飛び掛る。腕に張り付くとデスサイズを振り上げる。高温を発しているようで刃の部分から陽炎が見え始める。

「溶かし斬る!」

振り下ろす。だが、ルーシーの魔晶装具では『メシア』の装甲を斬ることが出来ない。

『ふん、虫けらが』

腕を振り弾き飛ばす『メシア』。

「きゃぅ」

小さくそう言うと気を失ってしまった。そこに近づき一度蹴り、さらに痛めつける。

「やめろ!!」

大きな銃声が響く。デウスがレールガンを撃ったのだ。それでも装甲に傷がついただけだった。デウスはあきらめずに腰の後ろに取り付けていた魔力自動供給機構付きの連射式銃ガンドを撃ちつづける。でも効果は薄い。

『うっとうしい』

『メシア』に蹴られてしまったデウスは、床に一度二度叩きつけられて、床を滑りながら壁に当たる。

「ち、ちく・・・しょう」

「デウス、サターヌ、ルーシー・・・」

光が叫ぶ。だが、誰も起き上がらなかった。

「待て、娘をどうする気だ」

『魔王か。この女が気に入った。殺すのは惜しい。国に持って帰るとしよう』

きびすを返すように扉から出て行く。

「待て。私の命が狙いだろ。娘を置いて、私を殺せ!」

魔王が必死に説得する。だが、勇者は意にも返さなかった。

『返してほしいのなら、力ずくだ』







光はポケットの中にある魔性装具を手に取る。以前のように魔力を注ぐ。前回と同じ形をした身の丈ほどある鋸に変わる。

「待て、そのを返してもらおう」

光は正眼の構えで『メシア』を見る。

『ほう、俺様と同じ人間がどうしてここに・・・。まぁいい。力ずくで奪うんだな』

光は魔晶装具を構えて走り出す。『メシア』の人間で言う膝の辺りを斬ろうとする。だが、その装甲の硬さで弾かれてしまう。弾かれても何度も何度も斬ろうとする光。

『ふん、そのような攻撃。攻撃とも言わぬわ』

デウスにしたように光を蹴る。

「ぐはっ」

少し飛ばされる。だが、すぐに立ち上がる。また同じところを斬る。でも弾かれてしまう。

「・・・なせ・・・」

『ん?』

「姫さんを離せ」

『そうか、それほどこの女が大事か。他人から物を奪うのは最高だな。もっとも、この女は『人』ではなく『魔族』だがな。黒髪の貴様も俺様達と同じ人間だろう。抗わなければ一緒に連れて行ってやろう』

「俺はお前の言う人間だろう。けど、俺は違う!!そんな行いが出来るのが人間なら、俺は人間で無くていい」

斬りつけるが、弾かれるを何度も繰り返す。そのたびにアリスが光にアピールしてきた事や、仕草が光の頭の中にフラッシュバックする。

「姫さんを、アリスを、アリスを返せ!!!」

突然何かが回転する音が魔晶装具から聞こえる。光はそれに気づかずに足に刃を当てる。装甲に歯が食い込んだ。

「こ、これは・・・!」

足に食い込んだ魔晶装具を見てみると、鋸の歯の部分がチェーンソーのように回転していた。

「喰らえ!!」

刃が足の装甲を削り取るように切り裂く。

『馬鹿な。馬鹿な!!』

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