城内サバイバルゲーム
そして、サバイバルゲームは開始された七賢者+α&βとメイド10名、兵士11名の30名が参加。30名はそれぞれ城のあちこちで待機している。正午の鐘が鳴り響く。ゲームスタート!!
「さぁ、いよいよ始まりました。城内サバイバルゲーム。解説するのは、メイド長であり城内一の美人と言われているメフィスさん」
「ど、どうも」
照れ笑いをしながらお辞儀をするメフィス。観客(兵士、メイドたち)が湧き上がる。
「そして、魔王プルーガがお送りします。さてさて、一番の本命は誰だと思いますか、メフィスさん」
「さぁ。純粋な戦闘力で言うならばアリスちゃんですよね。でも、意外とヒカルちゃんもダークホースかもしれませんね」
「なるほど・・・。私個人としては、我が娘を応援してしまいますね」
すると、観客席から「親ばか」「ひいき魔王」と野次が飛ぶ。だが、その野次も決して魔王を批判するような声ではなく、親愛をこめた野次だ。
「うるさいぞ、観客席。全員減給するぞ。さてさて、メフィスさんは誰を応援しますか?」
ブーイングのなる中、メフィスはあごに手を当てて思案する。
「やっぱり、私の夫ベルゼーね。あの人ったらね、優勝して有給休暇をとって-----」
「さて、メフィスさんが惚気話に夢中になってるところですけど、ほうっておいて状況を見てみましょう」
光サイド
「とりあえず、こっそりと頭をねらって・・・」
足元に銃弾が当たる。振り向く。3人の兵士が立っていた。
「婿殿。俺たちはあんたを許さない」
「あんたは、俺たちの希望を奪った」
「俺たちはアリス様を慕っている。それを横から掻っ攫いやがって」
「「「あんたに優勝する資格はない」」」
三人は光めがけて発砲する。光はというと後ろを見せてスタコラと走る。細い通路に逃げ込む。
「お、俺は姫さんのことは・・・」
後ろに向かって叫ぶ。それがあだとなり、しつこく追っかけてくる。
「問答無用!!」
一発が体に当たる。衝撃が体に走るが、かまわず走り続ける。ふと前を見ると、二人のメイドが銃を構えていた。
「ごめんなさい。あなたにうらみは無いの」
「あなたの事はいい人だとわかってる。でもね、これは仕方ないの」
前後を挟まれた。光はかまわず前を向き走り続ける。目の前のメイド達は戦闘慣れしていない。そう考えての選択だ。銃を構えてメイドの頭を走りながら狙う。学生時代にやっていた、サバイバルゲームでの経験が生かされた。一人のメイドは頭に当たりリタイア。もう一人は3発当たる。リタイアに出来なかったが、衝撃でメイドはひるむ。そのまま通路を突っ切る。広い通路に出る。
「何でだよ。何で俺ばっかり狙われるんだ!!」
レヴィとベールとサターヌ。そして10人くらいの兵士とメイドが銃を構える。
「悪く思わないでね。あなたが一番弱そうだから先に始末しておくわ」
レヴィの冷たい一言。
「あなたを倒してルーシーと・・・あははははぁ」
サターヌがトリップしている。
「・・・、ウフフ」
ベールが微笑む。
後ろから3人の兵士とメイドが追いつく。
解説席サイド
「いや~、早速ピンチになりましたね。ヒカル君」
「きっと、愛されてるからですよね。アレだけ狙われるのは」
解説席ではメフィスと魔王がお茶菓子を食べながら話す。
「ところで、魔王様。さっきの三人の兵士は徒党を組んでましたけど、その辺りどうでしょうか」
ルールでは徒党を組むのはだめだ。判定をするのは魔王。
「まぁ、いいんじゃないかね。サーチ&デストロイが本来のゲームだけど、面白かったからね」
「はぁ、アバウトですね・・・。では、他の人の様子を見てみましょう。
アリスサイド
彼女は隠れる。この場所は彼女のお気に入りの場所。そして、ほとんど知られていない城の隠し部屋。のぞき窓からばれていないか確認する。ルーシーが目の前で兵士二人相手に戦ってる。
「どちらを助けるべきか・・・」
兵士一人が消える。おそらく5発当たったか、頭に一発当たったかでリタイアしたのだろう。さらにもう一人が消える。ルーシーがきょろきょろと周りを見る。
「きょろきょろしてると狙われるぞ」
銃口をルーシーの頭に突きつけるベルゼーの姿。
「悪く思うなよ。家族のためだ」
「--------」
一発の銃声が響く。悲鳴があがる前にルーシーが消える。ベルゼーが肩をおろして銃口を下げる。油断している。今がチャンス。アリスはドアを一気に開ける。ベルゼーはその音に反応する。だが、遅かった。アリスはすでに2発ベルゼーに当てる。ベルゼーはアリスの姿を捉えたまま銃を構える。ベルゼーは3発アリスに向けて撃つ。だが、銃弾はアリスに当たらなかった。アリスが隠れていた部屋のドアは部屋の外側に開くようになっている。銃弾はアリスが盾代わりにしていたドアに当たる。アリスは開けたドアに隠れる。ベルゼーはそれを確認するとアリスに背を向けて走って逃げる。
解説席サイド
「さすが。さすが我が娘。あのベテランのベルゼーに不意打ちを浴びせるとはな・・・。成長したもんだ」
魔王は涙を流し喜んでる。
「あの人はアレくらいでは倒れませんよ。アリスちゃんも強いけど、あの人にはかなわないわ」
「なんだと。アリスが勝つに決まってる!」
「いいえ。あの人が経験の差を出して勝つに決まってます」
二人は言い争いをする。なんとも幼稚な言い争いだ。観客は野次を飛ばす。
「他の状況はどうなってるんだ」
「そんな言い争いどうでもいいから、早く他を見せろ!」
「それでは、自称天才のデウスはどうなってるか見てみようか」
デウスサイド
彼の得物では皆とドンパチ撃ち合いは出来ない。だから彼はある場所でじっと待つ。トリガーを握る手は汗ばんでくる。その手をぬぐうことも忘れて、一点を見つめる。獲物が視界に入る。おっかなびっくりな感じで銃を手に取るメイドだ。トリガーを引く。銃声の少し後に相手が消える。見事なクリティカルショット。つまり、頭に当たったと言うことだ。
「まずは、一人・・・か」
場所を変えるために、一点から目を離してしゃがんだ姿勢で移動する。移動した先でまた一点を見つめる。その先に見えるのは囲まれている光の姿だ。
「あいつ・・・。相当愛されてるらしいな」
ここでは愛されているという表現でくくられるらしい。
「助けてやるか」
スコープを覗き狙いを定める。
解説席サイド
「いや~。私はね、デウスをつかみ所のないやつと思ってたが、なかなか友人思いなやつだ。評価を変えなければな」
「デウスちゃんはいい子ですよ。ただ、すこし不器用なんだと思うんですよ」
「みたいだな」
二人は紅茶を飲みながら話す。
「さて、全員の様子が見えたところで前半を終わりたいと思います。ここまでの解説はメイド長の」
「メフィスと」
「魔王プルーガがお送りしました。後半もよろしくお願いします」
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