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魔王に婿入り!?  作者: 虚幌須
三章 魔王の居城での暮らし
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少年と遊ぼう 後編

「ファウストの遊び相手同士が喧嘩してちゃ、世話無いと思わないか?」

「「ハイ」」

「まったく・・・。よし、私も混ざるとしよう」

「ハイ・・・、なんだって!!」




「なぁ、俺前から思ってたんだが、ひとついいか?」

体をほぐすベルゼーをよそに光はデウスに話しかける。

「なんだ?」

「ここの城にいる七賢者の仕事は何なんだ。遊ぶことなのか、こんなに遊んで大丈夫なのか」

「ちげぇよ。ちゃんと仕事してるよ。ただ、ベルゼーの旦那は今日は忙しいはずだ」

「じゃあ、その忙しいベルゼーは今何しようとしてるんだ?」

「そりゃ・・・遊ぶ準備してるんだろ」

「おい、何をだべってるんだ?」

体をほぐし終わったのか、光たちに話しかけるベルゼー。

「まぁ、いいか。3人で遊ぶにしろ、4人で遊ぶにしろ。今行きま~す」

光は話を切り上げて、ベルゼーに話しかけてベルゼーのほうに向かう。




いつの間にか城内の砂地に夕日が差し込んできた。ファウストはと言うとベルゼーの背中で眠っている。

「よく眠ってますね」

「ああ、今日はよく遊んだからな」

前に居た世界ではこういった『自分より年下の子供と遊ぶ』といった経験がなかった。そのため、いい経験が出来た。それに、こういうのも悪くないと思った。ファウストの髪をスッとなでる。

「それに、今日は外で遊べたからな。二人には感謝してる」

「だ、旦那が俺に感謝するなんて・・・、明日は雪が降るのか」

デウスの余計な一言でベルゼーは額に血管を浮き立たせる。

「ほほう。そんなに、私に感謝されるのがうれしくないのか」

「ちょ、冗談だ。冗談だって」

デウスを追いかけようとするベルゼー。だが、それは一人に人物の登場によって妨げられた。

「ここに居たのね。もう探しちゃったわよ」

裾の長いスカートを揺らしながらとてとてと走ってきた。

「今日はありがとうね、ヒカルちゃん。ついでにデウスちゃんも」

「ついでですか、俺は」

「冗談よ、ありがとうデウスちゃん」

クスクスと笑いながらデウスに話しかけ、ベルゼーの背中からファウストを自分の背中に移す。

「後でお礼をしたいから私の部屋に来てくれるかしら?」

「「わかりました」」

二人が同時に答えたのをくすくすと笑うメフィス。





「よく眠ってますね」

「ああ。今日はあの二人に感謝しないとな」

「私たちではなかなか外で遊んであげれないですからね・・・」

伸びてゆく影を見ながら呟く。

「まぁな。忙しいから・・・って言い訳にはならないか」

「今度、二人で休みを取って家族水入らずでピクニックでも行きましょうか」

メフィスは期待に満ちた目でベルゼーを見つめる。

「それはいいかもな。だが、私たち二人が休んだら城が大変なことになりそうだな」

「それもそうね」

クスクスとおかしそうに笑う。

「さて、私も部屋に戻るとしようか。変わろうか?」

ファウストを指差す。だが、メフィスは首を横に振る。

「大丈夫です。それにあなたはだめですよ。仕事、残ってるんでしょ?」

「な、何のことだ?」

額に冷や汗を流しながらそっぽを向く。大の大人がそんなことしてもみっともないだけだ。

「知ってるんですよ、二人がファウストを外に連れて行ったときに仕事を置いて遊びに行ったんでしょ」

「うっ・・。すでに、お見通しだったのか」

バツが悪そうにスキンヘッドを掻く。

「今日は遅くなりそうだ。先に休んでてくれ」

「はい、がんばってください。それにしても、この子も重くなりましたね」

「ああ。無事に成長してくれてる証拠だな」





「メフィスさん、居ますか?」

ノックを数回しても誰も出てこない。

「まだ、戻ってきてないんじゃないか。俺たちより後で来てるんだし」

「そうだな」

「あら、お二人さん早いわね・・・」

後ろから来たのはファウストを負ぶったメフィスだ。

「ちょっと待っててね。ファウストをベッドに寝かせてくるから」

部屋に入って少しして、メフィスが出てきた。

「はい。今日のお礼よ。お菓子だけど、いいかしら」

「はい」

「このお菓子は。ありがとうございます」

「中身はどんなんですか?」

隣のデウスを見てみる。デウスは心なしかうれしそうな顔をしている。

「なかなかうまいぞ。ヒカル」

「そうなのか。メフィスさん。早速ですけど、あけていいですか」

「ええ。もちろんよ」

お菓子の入った箱を開ける。中には一口饅頭のようなものが六つ入っている。一つを口の中に放り込む。外側はふんわりとやわらかく、中身はイチゴとほんのりとした甘みが口の中に広がる。

「イチゴ大福?」

「なっ、なかなかうまいだろ」

「確かに・・・。うまい」





「ただいま・・・ってアリスは戻ってないのか」

部屋に戻る。明かりはついておらず、誰も居なかった。

「まぁいいか。それはそうと、これどうしようか」

メフィスからもらった箱の中身をのぞく。

「五つか。アリスに分けるのは何だか癪だしな・・・。冷蔵庫に入れて風呂の後にでもアリスにばれないようにして食べるか」

意外とケチな性格している光である。

「さて、今日は汗かいたし風呂に行くとするか」

着替えとタオルをもって大浴場に向かう。



「ただいま・・・ってヒカルはどこに行ったのかしら」

ここ数日ヒカルの行動を思い返してもここに居る方が多かったはず。

「まぁいいわ。先にお風呂行ってこようっと」

十分な時間をかけて風呂に行ってきたアリス。だが、光は戻ってこない。

「おかしいわね・・・。それにしても、おなかすいたわね・・・」

思えば、アリスは今日周辺の町を荒らしている魔獣退治にかり出されてた。しかも、自動魔力供給機構無しのガンドを使っていたのだ。いくら魔力量が多くても消費するエネルギーは変わらない。

「何か、甘いものがほしいな・・・っと」

冷蔵庫を開けてみる。中にはメフィスお手製のお菓子が箱に五つ入っている。

「あら、こんなの冷蔵庫に入れてたかしら・・・。まぁいいか。いっただっきま~す」

一つを口に放り込む。この味はいつ食べても癖になりそうだ。

「う~ん、やっぱりいつ食べてもおいしいわね・・・」

更に一つ、二つと数を増やしていく。いつの間にか数は最後の一つになっていた。

「これで最後か。おいしかったけど、仕方ないか」

ドアが開いて光が入ってきた。





「はぁ、いい湯だった。さて、あのお菓子を食べるか」

ドアを開ける。明かりがついていた。そして、アリスがベッドに腰掛けていた。隣には箱があった。アリスの手にはおそらく最後の一個だろうが口に向かっていた。

「姫さん。なんてことを・・・」

「あ、ヒカル。お帰り」

光の手からタオルと着替えが落ちる。そして、地面に座り込む。

「お帰り。じゃないよ。俺の、俺の楽しみを・・・」

「楽しみ?あぁ、これヒカルのだったの。ごめん、もうこれ以外食べちゃった」

さらりと非道なことを言うアリス。光はアリスに詰め寄る。

「お、お前、お前って言う姫さんは・・・」

とりあえず、光が暴走しだした。

「言ってる意味がわからないわ。それに、名前書いてないヒカルが悪い」

「名前書くって・・・小学生じゃないんだぞ。返せ、一個しか食べていないんだぞ」

アリスの手をつかもうと必死になる光。だが、巧みに手を遠ざけて光から離していく。

「嫌よ。私に黙って独り占めしようとしたんでしょ。ヒカルが悪い」

そういうや否や最後の一個を口に放り込んだ。

「あ、ああぁぁぁ!!!!!」





「ぐすっ、姫さんの鬼。魔族。人でなし」

光はアリスに対する暴言を言う。だが、アリスは意に介していない。

「そ、そんなに言わなくても・・・。ちょっと、大人気なかったけど・・・」

「楽しみを、楽しみを・・・」

まだ言っている。

「ああ、わかったわかった。今度メフィスさんに頼んであげるから。それで、勘弁して」

「ううっ。それでいいよ。いいよ」

「はぁ、ヒカル。最近思ったんだけど、あなたって時々子供っぽいよね・・・」

「ほっといてくれ」

「でも、そういうところは私、好きよ」

面と向かってそう言われて、顔が赤くなるのを感じる光。

「そ、そんなこといっても許さねぇぞ」

「まぁ、いいわ。それより、寝よ。たぶん明日から大変になりそうだから」

簡単な時系列を解説。光が外でファウストたちと遊んで戻っている間にアリスが部屋に入る。光が部屋に入った頃にアリスは風呂に行っている。すれ違いざまにアリスが部屋に戻る。と言う流れです。本文ではわかりにくいと思いましたので。あとがきにて書かせていただきました。

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