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魔王に婿入り!?  作者: 虚幌須
二章 異世界へようこそ
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能力を測定しよう(中編)

前回のあらすじ

光の魔力を測ってもらうために研究室に向かう光とアリス。そこにいたのは赤と青のオッドアイの少女と白衣とタバコが似合うボーイッシュな美女だった。美女から「総魔力量が低い」と言われ少しショックを受けた光であった。



沈黙が続く。あの馬鹿っぽいデウスでさえ言葉を発しない。時折聞こえる音といえば、マーモンがタバコに火をつける音と、煙を吐き出す音くらいだ。

「で、総魔力量って上げることは出来ないのか?」

意を決して光はマーモンに質問する。結果は聴かなくてもわかる気がするが、念のため聞いておく。

「それは・・・、無理じゃないか。今まで試した人がいないって言うのもあるしな」

「そ、そうか・・・」

「まぁ、魔力がなくても生活・・・できる・・・と思うよ?」

顔を背きながら話すマーモン。まったく説得力がない。

「ああ、もういいよ。0じゃないんだから。他に測定できることはあるのか?」

光は自分の計測結果を紛らわすために提案を出す。

「そ、そうだな。うん、前向きだな。よし、次は属性を調べるか」

そういってまた奥の部屋に入っていくマーモン。姿が見えなくなったとたん、アリスとデウスが光の肩に手を置く。

「強がっても仕方ないぞ」

「私は、どんなに魔力が低くてもヒカルのこと好きでいられるから」

二人からの慰めに心の中で涙腺を緩ますのであった。




「さて、今度はこいつだ」

マーモンが取り出したのは一枚の紙だ。形はリトマス試験紙に似ている。

「こいつを口にくわえてくれ。これで大まかな得意属性がわかる」

さっそく光は口にくわえてみる。数秒くわえても変化がおきない。試験紙を口から離す。

「変化しないぞ」

「どれどれ」

一枚試験紙を取り出して、マーモンはデウスの口に突っ込む。いきなり突っ込まれたデウスは驚く。だが、その表情を見て笑うよりも試験紙が変化したことに驚くほうが先だった。試験紙の変化後の色は黄色。

「おかしいな。いや、待てよ・・・。まさかな・・・」

マーモンはあごに手を当てて考え出す。少しうろうろしていすに座るとタバコを一本取り出して火をつける。

「で、結果は・・・?」

「現状では無属性。つまり、何でも出来るけど、何にも出来ない」

「それってつまり?」

「器用貧乏。ってことよね・・・」

魔力は少ないし器用貧乏って。光はこの世界で生きていく自信をなくしてしまいそうな顔をする。

「ま、まぁ大丈夫だろう。さて、次の測定だ」

そう言って再び取り出したのは正八面体のクリスタルだ。

「今度は何の測定なんだ。もう、測定自体が嫌になってきた」

落ち込む光にアリスたちは言葉を失う。マーモンは肩に手を置いて

「心配するな。今回はヒカルの魔力の形を見るだけだ」

「形?」

「ああ。魔力と言うのはその人の『個性』であり、『心』だ。心にある形を具現化するのがこのクリスタル『魔晶装具』だ。ひとつとして同じ形に変化することはない。だが、これは適性があるから誰でも使えるわけではない」

「そうなのか・・・」

「まぁ、物は試しだ。こいつを握って魔力を通してみてくれ。適性があれば形が変わる」

マーモンから魔晶装具を受け取り握り締める。

「・・・」

「・・・」

「・・・」

魔力なしの心の具現化を興味本位で三人が見守る。

「・・・」

「・・・」

「・・・」

「なぁ、どうやって魔力を通すのだ・・・」

「「「知らなかった(のかい)(のかよ)(のね)」

三人同時に突っ込まれ、いたたまれない気持ちになる。

「手のひらに力を集中するみたいな感じかな。やってみて」

そういって光の手を上から包み込むように握るアリス。なんだかんだで光と触れ合いたいアリスである。

「・・・」

目を閉じて神経を集中する。ほのかに魔晶装具が光りだして熱くなる。そして、目を開けると手に持っているものがクリスタルではなくなっていた。

「「「・・・・・・・・」」」

「なんじゃこりゃ!」

光の手にあったのは巨大なのこぎりだ。形は弓鋸に近く、柄と先端部分に棒が付いており刃が回転するようになっている。

「魔力量は人並み以下で」

「得意属性はなしで」

「さらに、魔晶装具はのこぎりって・・・」

「「「不憫(よね)(だな)」」」

「う、うるさい。そんな哀れんだ目で見るな!!」

光は持っているのこぎりを振り回す。意外と軽かったりする。

「ちょっと、暴れるなって。備品が壊れるだろ」

そういいながらマーモンは備品を安全地帯に持って行きつつ攻撃をよける。

「あ、あぶっ。髪数本切れたって」

金髪が少し舞い上がったが気にせず振り回す。

「止めたほうがいいわよね・・・」

アリスはすでに安全地帯に逃げ込み見物している。

「誰が止めるのさ?」

マーモンはそう言いながらデウスを見る。

「俺かよ。っと。だぁ、もういい。俺が止める」

デウスは光の攻撃をよけながら、そう宣言する。ポケットから魔晶装具を取り出す。手に持っているクリスタルが大型ナイフに変わる。

「少し眠ってもらうぞ」

そう言うや否や光ののこぎりをナイフで受け止める。

「あべしっ!」

光の体を電気が駆け巡る。その場に倒れて手から魔晶装具が離れる。そして、光の意識も離れていく。

「ちょっと、デウスやりすぎ!!」

アリスの怒声と何かが蹴られる音と何かにぶつかり物が落ちて壊れる音が響く中意識がなくなった。

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