呪い(2)
母が出て行ってしまってからの生活は、
平日は朝5時20分に起床しフレークを食べ、
6時丁度に父は弟を連れ出発し、祖父母宅へ預け仕事へ行き、
弟は祖父に幼稚園の送迎と面倒を見てもらい、
私は7時20分に自分で鍵を閉め学校へ行き、
夜19~20時頃に帰宅する父と弟を待つ生活が始まった。
大変だったし寂しかったが今思えば、一番”家族”として団結して生活できていた。
その後、私が小学2年生の秋ごろにやはり生活が大変だということで、
市内に住んでいた祖父母宅へ引っ越すことになった。
祖父母は商店を経営していたので、ジュースが欲しいといえば自分の店の商品を孫相手でも定価で販売するし、風邪で学校を休めばスーパーへ連れていき、おひとり様1点限りの商品を買うための頭数と荷物持ちにし、クリスマスが近づきおもちゃ屋の新聞広告を見てをどれをサンタさんにお願いしようか意気揚々と選んでいると「サンタなんて来ない、サンタはパパだよ」と言うような人達だったが、子供ながらに意地悪をされているとは思っていなかったし、一人の人間として扱われていたようで大好きだった。
そのような祖父母の元で父と弟と暮らしていく中で、私が小学4年生に上がって暫くすると
突然父が夜に”集金”という名目で外出をするようになった。
そして同時期に”みぃちゃん”と呼ばれる女性を父に紹介された。
それが後の継母”みぃちゃん”だ。
みぃちゃんは若くて、胸が大きくて、いい匂いがして、いわゆる綺麗なお姉さんだった。
とても優しくて会いに来るときはお菓子を買ってきてくれたり可愛がってくれた。
そして一番強く幸せだった、安心を感じれた出来事が起きた。
ある日、私が学校で熱を出し保健室で休んでいた。
普段なら一緒に住んでいる祖父が迎えに来てくれると思っていたが、そこに現れたのはみぃちゃんだった。
当時みぃちゃんは50㎞程離れた車で1時間ほどの場所に住んでいた上に、仕事を抜けて迎えに来てくれた。
小学4年生に上がるまで、親が学校に付き添ったのは「入学式」「転校初日」「運動会」だけだった。
年に1,2回はあったであろう授業参観に親が来たことはなかった。
それは父には仕事があったし、来れない理由は理解していて不満もなかったが、この時初めてみぃちゃんが学校へ迎えに来てくれて、体調が悪くて心細かったことを差し引いても、みぃちゃんにママになってほしいと思った。