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呪いと誓い  作者: 明希
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こども

私”かずみ”は結婚して半年のいわゆる新妻だ。


年齢は今年の誕生日を迎えたら30歳。

夫”ゆういち”は1歳年下だ。


タイミングもあるが”妊娠”というキーワードを無視できない年頃だろう。


交際を始めたのは私が28歳のとき。

その時点で結婚が考えられなければ交際するつもりはないと彼に伝えていて理解をしてくれていたので、交際半年ほどで結婚へ向けて同棲も始まった。


もちろん喧嘩も沢山して来たが、感情的になる私を彼が理論的に整理してくれたり、だらしのない彼を私がしつけたりお互いに補いながら歩んで来れたように思う。


けれども私は、結婚前から抱えていた悩みを解消できないままでいた。


それが「こども」だ。


私は世間で相対的に見れば、再婚ではあるが両親が揃った家庭で育ち、弟と腹違いの妹が生まれ、病気やケガもなく、不自由のない子供時代を過ごしてきたと思う。


だが蓋を開けてみれば、継母との確執や、実父がそれらの問題の無視などで暗い子供時代を送ってきた。


子供時代なんてのは、家庭か学校かにしか自分の居場所なんてものはなくて、ただ家庭で起きている辛い状況に耐え忍ぶしかなかった。

怒られれば多少の暴力がついてくることは珍しくない時代だったので、目立つアザでもできなければ世間の大人は私や弟が置かれていた環境なんて知る由もなかっただろう。


そんなこんなで子供ながらに自分が大人になったら子供は生まないと決めていた。


それは自分が真っ当な親に恵まれず、恵まれた子供時代を送れずに育ち、

こんな親だったらいいのにという大きくなった理想を自分が成せる自信がなかったからだ。


ただそんな気持ちも大人になれば変わっていくとも思っていた。

子供のころ食わず嫌いしていた食べ物が成長して食べられるようになるように。


しかし、様々な恋愛をして結婚をし、今年30歳を迎える今。


まだまだ親になりたいとはとても思えなかった。


彼には生い立ちを話したうえで、子供を望んでいないことを理解してもらっていたが、私同様そのうち考えも変わって子供が欲しくなると思っていたと思う。


否が応にも逆らえない身体的なタイムリミットも自覚していたが、どうしても自分にかけられている”呪い”から私自身を解放することができなかった。

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