表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
個人番号  作者: y
1/1

この国

この国のすべての人間に番号がつけられている。この制度が始まったとき反対する人も多かったが、あらゆる制度がこのチップの番号がないと利用できなくなっていき、なし崩し的に普及していったのだ。


産婦人科で生まれる赤ちゃんは生まれてすぐにチップを右の手の甲に埋め込まれる。そのチップには番号が入っている。この番号は親から一部を受け継ぐ。また、生まれた土地の番号も含まれる。生年月日も含まれる。さらに、実質重複しないといわれるランダムな値を連結して完成したユニークな番号だ。この番号はDNAと紐づけられ国のデータベースに登録される。生後1日以内に登録する義務があり、多少の罰則もある。


この個人番号を基礎にしてこの国から不正が減った。ごまかすことは難しくなった。収入、支出、税金、保険、学校、駅、会社、あらゆる行動のログが個人番号に紐づけられている。お金が動く取引にはこの個人番号がつけられている。脱税はもはや不可能といってよいし、脱税をする意味も減った。

社会の効率は間違いなく上がったのだ。個人の情報が筒抜けであり、コンピュータがそれを常に解析している。だから、保険もすぐに支払われるし、自己破産も自動的に行われるし、生活保護も自動的に付与される。口座のお金がゼロになることはもはやこの国では発生しない。


いろいろ満たされたはずのこの国だが、治安は多少悪い。右手を切り取られる事件が多発しているのだ。反社会的組織の構成員は、右手を取り換えられるようにしている人が多い。そんな事件を受けて、チップにセキュリティ機能が追加された。チップ周辺の細胞が死んだらそのチップはロックされアクセス不能となる。


それでも事件は続いた。細胞を生かす機能を持った箱にチップを周辺の組織ごと入れて、チップを維持できるようになったのだ。手を改造して、その箱と血管を接続する。すると、血液から必要な成分を抜き出して、また、老廃物を血管に流して、チップ周辺の他人の細胞を維持するのだった。

とはいえ、半年ほどはもつが結局はその細胞組織はダメになってしまう。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ