簪
花を摘みました
目に止まった、小さな花を
あなたへ供えようと、摘みました
微かな花の香りがします
摘んだ指には、少々滴るものもあり
名も知らぬこの花、いいえ
名付けなければ無いでしょう
綺麗なキレイなこの花も
私の目に止まらなければ
摘まれる事も無かったでしょうに
私に見つかってしまったばかりに
私が見つけてしまったばかりに
多少、美しかったばかりに
手を汚してまでも
この花をあなたへ供えたかった
緑に染まる指先は、拭い覆わず帰りましょう
私も、あの花のように摘まれましょうか
気まぐれに摘まれ、花となれましょうか
毟り取られ放られることなど無いように
誰かの何かの簪へ
帰りましょう、生臭い草の香りを共にして
緑は良いですね、赤は目立ちますから