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70 ダンジョン

 ルキアスは体術講習を終えた後、昼食を摂ってからダンジョンへと向かった。早く雰囲気を味わいたいのも勿論あるが、作成中の銃のテストは不用意な場所ではできない。ダンジョンでなら安心してテストできる場所もあるだろうと見込んでのことだ。

 ダンジョンの入口を監視している兵士は居ても検問はしていない。ルキアスはノーチェックでダンジョンの入口を潜った。

 天井全体が光っていて明るい回廊は人が横に二〇人、縦に三人は並べる広さでゆっくりと螺旋を描いて下っている。


(逆に見たらこの大きさの魔物が出て来る可能性があるってこと!?)


 ルキアスは少し怖い考えになった。

 螺旋の回廊を歩くこと十分余り。時間が中途半端なためか人通りは少ない。三周回ったところに踊り場が在り、左の開口部へと曲がっている。そこを出れば第一階層だ。


(広っ)


 外に出たルキアスは広さに圧倒された。見渡す限りの草原。果てが見えない。一体どこまで続くか想像も付かない。天井も青く光って地上の空との区別が付かない。ここが地上のどこかだと言われれば信じてしまうだろう。いや、『転移』や『転送』が存在するのだから螺旋の回廊がどこか遠くへ転移する門だと言われた方が容易に信じてしまえる。

 後を振り返れば螺旋の回廊全体を包み込む巨大な柱が立っている。同様の巨大な柱は少し離れた場所にも在る。第二階層へと向かう螺旋の回廊が在る柱だ。

 この柱が在るお陰で天井の高さも推測できる。天井の高さは天井だけを見たのでは光っていて判然としないが、回廊の柱が途切れている場所を見れば螺旋を二周したほどの高さである。

 しかしこうもだだっ広ければ何の取っ掛かりも掴めない。


(えっと、どこに行けば……)


 周囲に人影も無ければ魔物の姿も無い。いきなり襲われたりしないのは安心材料だが、右も左も判らないのも困る。

 ルキアスはここに来て改めて自分が何も知らないことを思い知らされた。まだまだ手探りの状態だ。


(地図は欲しい)


 第一階層の回廊の近辺くらいは地図があってもおかしくはない。


(でも買わないといけないんだろうな……)


 ネックになるのは結局そこだ。お金が無いから準備が滞る。準備ができていないから稼ぐことができない。


(後で地下一階を探してみるか……。どうせ何を売っているのか見て回らないといけないし。それで駄目なら誰かに聞いてみよう)


 後でする事は決めた。しかしここに来た目的は銃の作成の続きなのだ。回廊の柱から離れなければ大丈夫だろうと、回廊への入口の正面は避けて離れた場所に陣取った。


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