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61 ダンジョンの入口

「次はダンジョンの入口に向かうが、この先の階段を昇る」


 ガノスは人波を擦り抜け、更衣室が立ち並ぶエリアを軽く説明しつつ通り過ぎる。途中、「ガノスじゃないか! 一緒に一杯どうだ!?」「いや、すまん。今は初心者研修中なんだ!」「お!? そいつは残念だ。また今度な!」「ああ!」と言った具合で、話し掛けられても適当に流して階段まで行くと、そのまま昇り始めた。


「広いですね」


 横に二〇人は並べそうな広さだ。今は誰かしら視界に入る程度に階段を下る人通りがある。


「朝夕の混む時間はこれでも狭いくらいだ」

「へえ……」


 ルキアスには想像もできないが、実際に見てみないことには判らないので、ただ相槌を打った。

 階段を上がれば柱の無い広大な広間になっている。円形の広間外周の壁際から十数歩程度の位置には断続的に円を描く腰の高さほどの壁が在り、この壁と壁との間こそ舗装されているが、それより内側は土の地べたのままだ。中心には小さな岩山が突き出していて、左の方へ尾根のようになだらかに下がっている。突き出した正面は見えない。


「あの岩山みたいなのがダンジョンの入口だ。入口はこっちからじゃ見えないが、向こうの階段からなら見えるぞ」


 言われて右の方をルキアスが見てみれば、確かに階段が在る。ダンジョンの入口の在る向きを十二時の方向とすれば、ルキアス達が今居るのが四時の方向、右に見える階段は一時の方向だ。更に左を見れば七時の方向にも階段が在る。ルキアスは岩山が邪魔して見えない十時の方向にも階段が在ると予想した。

 ガノスはルキアスとザネクをダンジョンの入口へと誘う。


「見ての通り、ダンジョンの入口を入るとスロープになっていて、この先でゆっくり円を描きながら第一階層まで続いている」


 スロープの奥の方で右にゆっくり曲がっていて、その先は見通せない。


「そしてこの入口を囲む建物は四方の階段以外は全て壁だ。壁は魔物が体当たりしてもめったな事では破壊されない。ダンジョンから魔物が溢れ出て来てもこの壁で防ごうって寸法だ」

「だけどその場合、階段から下に降りちゃいますよね?」

「いい質問だ。話の流れ的な意味でな」


 ガノスはニヤリと笑う。


「魔物が溢れた場合、まずはこの部屋で討伐する。ここで討伐しきれなければ地下だ。水没させたりすれば時間が稼げるからな」

「ええっ!? 人や店はどうなるんですか!?」


 ルキアスは信じられないとばかりの声を出した。


「お釈迦だろうな。しかしそんなリスクも込みで地下の町は成り立っている」

「……」


 ルキアスは返事をしようとして声が出なかった。


「それからいよいよとなったらこのダンジョンタワー自体を崩壊させてダンジョンの入口を塞ぐと言われている。真偽の程は実際にそうなった事が無いから判らないがな」

「魔物が溢れ出す事ってよくあるんでしょうか?」

「年に一度くらいはあるな。俺の知る限り地下一階にまで行った事は無い」


 ルキアスはそっと胸を撫で下ろした。


「他にははぐれの魔物が一匹二匹出る事は割とある。ちょうどあんな感じで」


 ガノスがそう言ってダンジョンの入口の奥を睨むと、それを合図にしたかのように誰かの悲鳴が聞こえた。


「た、助けてくれーっ!」


 探索者が一人、息せき切って転けそうになりながらダンジョンから飛び出して来る。

 その後からは人の背丈より少しだけ大きい豚面で二足歩行の魔物が三頭、雄叫びを上げながら迫っていた。


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