53 銃のメカニズム
ルキアスは銃を触ってみて、自らが作ろうとしているものとは弾丸発射の仕組みが違うことを知った。だからその部分を応用して作ることはできない。それでも弾丸を弾くと言うよりも、できるだけ強く押し出す必要があることは理解した。
問題はどうやれば強く押し出すかだ。蒸気を溜めて、それを一気に解放するところまでは既に考えている。
(あれ? でも溜めるならただの空気でもいいのか。
火傷の心配しなくてもいいし……)
蒸気を溜めるなら熱しなければならず、火傷しないような仕組みも作らなければならない。しかし空気だけならその心配が無い。
(でも取り敢えずタンクを作ってみよう。どっちにしろ必要だから)
ルキアスは手の平サイズで円柱形のタンクを『捏ね』を駆使して試作する。円柱の片方の端の真ん中には指先ほどの穴を噴出口として空ける。しかし作ってみると不安が湧く。
(破裂したらどうしよう……)
もっと肉厚にした。しかしまだ不安が消えない。いつどんな壊れ方をするのか判らないからだ。
(壊れるなら壊れる部分を限定させればいいのか)
タンクの反対側に一旦穴を空け、少し薄めに鉄板で埋める。これで壊れるならここになる。事故が起きてもルキアス自身が破片を浴びることは無い。
後は穴から蒸気や空気を一気に吐き出させる工夫をするだけだ。
(でもどうやって塞げば……)
高圧だから半端な力で押さえても蒸気や空気に押し返されて漏れてしまう。何か強力なバネか何かが必要だ。
しかしバネの自作はあまりに難易度が高い。しっかりしたストッパーだけで済ませるに越したことはない。
(あ、穴に鉄の棒を突っ込んで少しくらい押し返されても大丈夫なようにしたらいい!)
工作の精密さが要求されるものの、強力なバネを作るよりも難易度は低いはずだ。しかし一方で少し無骨になる。無骨すぎれば重くなり、取り回しが難しくなる。だからタンク周りをシンプルにしたいルキアスだ。
(やっぱり蒸気圧にしよう)
タンクに空気を圧縮して入れるなら穴も空けて逆流防止の仕組みも必要になるが、タンク内に『湧水』で水を入れて『加熱』で蒸気にするなら蒸気の出口だけ有れば良い。これなら構造がシンプルになる。




