5 野宿
日が傾き始め、ルキアスは暗くなる前にと、野宿しやすい場所を探す。しかしそう思って探すと意外に少ない。草ぼうぼうも駄目なら岩がゴロゴロも駄目。そこそこの広さで土か細かい砂利の地肌が剥き出しの場所は有るようで無い。
(……見付けるまでに小一時間掛かるとは思わなかった)
嘆くのは一瞬。ルキアスは気を取り直してテントを置く場所を軽く整地する。これには生活魔法『均し』を使う。
『均し』は両腕で輪を作った程度の広さを地面を均す魔法だ。花壇に花を植える時などに重宝される。
しかしこの魔法、石を砕くことはできない。石混じりの地面を均した場合は石が突き出た状態で完了する。そのため、その突き出た石を拾わなければ敷物が敷けない。いや、敷けなくはないが、敷けば敷物に穴が空いてしまうのだ。真っ直ぐな木の棒か何かで地面を撫でるのに似ている。
そう、ここまでなら木の棒でできる事を、棒も使わず手もあまり汚さずにできると言うだけ。
だがこの魔法にはもう一つ特徴が有る。石や金属の表面に使えば磨いたようになるのだ。表面だけなら均すことができる。しかしこの時錆や汚れが付着していれば、それらも一緒に均してしまうので、この魔法を使って磨こうとするなら予め錆や汚れを念入りに取らなければならない。
因みにこの魔法に限らず、魔法は使えば使うほど威力が向上する。『均し』の場合、ルキアスが憶え立ての頃には手の平サイズの範囲を均せるだけだった。曲面にも使えなかった。しかし今は両腕で輪を作った程度の広さを均せ、曲面にも使えるようになっている。
テントは自作した物だ。真っ直ぐな木の枝を集めてナイフで削り、二つの三角を三本の棒で繋ぐように噛み合わせている。二本の支柱を立て、ペグとロープで地面に繋ぎ留める方法なら自作はもっと簡単だったが、地面にペグを刺さなければならないとなればどこででもは使えない。そのため、少し大掛かりでもどこにでも置ける、木の骨組みで支えるこの方式にしたのである。
(……あまり大きく作れなくて、足を延ばして寝られないのが玉に瑕だな)




