48 弾丸
鉄パイプの穴から飛ばす物として真っ先に考えられるのは石だ。ルキアスは道端の小石を拾った。
(だけどどうやって飛ばせば?)
鉄パイプに入れて生活魔法『ふいご』で風を送り込んでみる。
(全然飛ばないし)
風の出口側に手を翳してみれば素通りしている様子だ。ルキアスは穴を覗いてみた。
(隙間から抜けてるのか……)
となれば隙間を埋めてみるしかない。ルキアスは穴より大きな石を拾って『均し』で丸めてみる。
しかし石が鉄パイプの穴に入りそうで入らない。いくら『均し』直しても同じだ。磨くことはできても削ることは容易ではない。
(これじゃ幾ら時間があっても足りない)
たとえ作れてもあまりに時間が掛かってしまえばダンジョン探索なんてできなくなる。それでは意味が無いのだ。
(『捏ね』で成型できるくらいじゃないと……)
駄目元で石に『捏ね』を使ってみる。ベキっと割れた。
(クルミの殻みたいな感じかぁ。
他に飛ばせる物は……、木を削る?
木片を投げ付けたくらいで魔物は倒せないよね。
他に『捏ね』られるものは……。
あ、鉄があった。鉄なら魔物を倒せそう。
もっと柔らかい金属なら加工が楽だけど……)
正解に近付きあるルキアスだ。しかし柔らかい金属を思い付かない。
(まあ、鉄にするとして、どう飛ばすか考え付くまで勿体ないから何かを代用しなくちゃ)
視線を動かしつつ考えるルキアスの目に地面が映る。その中に混じる黄灰色。
(粘土を使おう)
粘土を採取して先を急ぐ。さすがに歩きながらの加工は無理なため、次の町で野宿の仕度を終えた後で試すつもりなのである。




