44 やさぐれ
一夜明け、ルキアスは出発を見送ってゴミ捨て場巡りを続ける。だがその途中……。
「ゴミを散らかすな! 誰が片付けると思ってるんだ! あっちへ行け!」
近所の住人らしき中年男が箒を道に叩き付けてルキアスを威嚇する。彼にとって今のルキアスはゴミを漁るカラスや野良犬となんら変わらない。ただただ迷惑な存在なのだ。
「うわああっ!」
ルキアスは悲鳴を上げて逃げ出した。顔を顰めるに飽きたらず、実力行使に訴えられては堪らない。それでも穴の空いた鍋を一つ手に入れた。
(でもまだまだ足りない)
ルキアスはゴミ漁りを続けた。そして幾度となく追い払われた。そして何度目かを追い払われた時……。
(どうしてこんな思いをしなきゃならないんだ!)
やさぐれた。道端に座り込んで項垂れる。通行人に顔を顰められてももう気にする気になれない。
(こんな事ならメイナーダさんとこに居れば良かった)
だがふと考える。そうした場合、ルキアスにできるのはヒモになることだけだ。全てをメイナーダに依存し、メイナーダに溺れる生活。全く心を引かれないと言えば嘘になるルキアスだが、ユアを思い浮かべたら躊躇いの方が遥かに大きい。
ヒモを続けるようでは、いつかユアに嫌われてしまう。
ユアに嫌われればどうなるか。メイナーダはユアを中心に生きている。メイナーダが好意的なのはユアがルキアスに好意を抱いていることが理由の大半だ。ユアに嫌われば当然のようにメイナーダに捨てられる。
そうなったら後はもう路頭に迷うだけだ。
(……やっぱり駄目だな。ベクロテに行くしか……)
幾許かの怒りや悔しさを噛み締めつつも、ルキアスはまたゴミ漁りを始める。
一日掛けて手に入れたのは、幾つもの穴が空いたり潰れたりした鍋や器、よく判らない鉄の棒や金具、針金、それに鉄パイプの切れ端などであった。




