41 武器の考察
ここ最近のルキアスの旅は順調だ。だがそれに反比例するかのようにルキアスの心で危機感が頭をもたげ始めた。特に武器についてである。
ルキアスはダンジョンでは剣を使うことを前提に旅の準備を進めていた。だが「運び屋さん」からの忠告を既に身を以て経験してしまっているとあっては、剣に拘泥し続けることはできない。
遭難後に狼に襲われた時にはナイフを持っているのを思い出したのさえ一度襲い掛かられた後だった。そのナイフも振れず仕舞いだった。この時のルキアスは「運び屋さん」の言葉通りでしかなかったのだ。
(剣でいけると思ってたけど……駄目そうでもあるからなぁ)
これで尚も剣に拘泥しようものなら、それこそダンジョンの藻屑と化すだろう。できれば銃、それが駄目なら弓矢と言う「運び屋さん」の言葉通りに、獲物に気付かれる前に倒す方向で考えるべきか。
だが今のルキアスは弓を引けない。勿論有効な射撃ができるほどにはだ。そしてそれを頑張って引いたとて、きっと当てられない。弓の作り方を調べ、作って、練習してとしていれば、一万ダールの現金で食い繋げられるだろう一ヶ月では明らかに足りない。
どうにか別の手段を手繰らなければ早晩行き倒れだ。しかし先立つものが無いため、その別の手段を探すが極めて難しい。
「生活魔法だけで遠距離攻撃ができないかな……」
ルキアスの強みと言えば、生活魔法を人並み以上に使える事だけである。
(できたらできたで問題かな?)
子供が遊び半分に使えるようなものでは危ない。
(いやでも、それなりに熟練していないと使えない方法なら大丈夫か)




