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昔拾った人外から自立したいっ!!!  作者: 君影想


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第七章 眠り

「うぇ~ん!!!助けてぇ!!リナぁ!!!」


 まただ。この夢。このサファイアと私が幼馴染の夢。わけのわからない夢。なんでこんな夢見るんだか私にはさっぱりわからない。そういえばシャラは、私の欲望を代わりに夢で叶えてるのではみたいなこといってたけど…。

 もし、欲望を単純にうつしているのであれば…私はきっとサファイアと素敵なお友達で、サクラカガミと恋仲になっている世界をつくりあげているはずだ。


「やめて~!!!髪ひっぱらないで!!」


 少し離れた場所でサファイアが少年たちに虐められている。

 …へぇ、新しい夢のパターンだ。そういえば、私もサファイアも前の夢のパターンの時より少し成長しているような気がする。


「リナぁ!!どこにいるのぉ!!!」


 …呼ばれている。今はあんまりサファイアに会いたくない気分だけど…サファイアに全く罪はないしむしろ悪いことをしたのは私だ。…助けにいこう。


「こらー!」


 あんまりやる気のない声だが、一応怒ってますオーラを出しつつ近づいていくと、少年たちはさっさと散っていった。そういえばこの年の頃の私は、他の人よりも腕力が強めだったため周囲の子供から恐れられていた気がする。


「リナぁ!!来てくれた!大好き!!」


 サファイアはぴょこんとジャンプし私に抱き着くと、涙でぐちゃぐちゃになったその顔を私の肩にぎゅうっと押し付けてきた。


「サファ…クレちゃんもいつもより泣かなくて偉い。」


 おお、勝手に言葉が…


「本当?今日は頑張ったの!」


 本気かよ、という顔のぐちゃぐちゃ具合だがもしかしたらそうなのかもしれない。昔のサクラカガミの泣き虫最盛期に比べたらかなりマシな方だ。

 …というか、さ。なんだかデジャヴを感じるのだ。たぶん、たぶんだが、この夢は幼い頃のサクラカガミと私のエピソードをサファイアと私に置き換えたものだ。でも、なんで…


「僕、いつかは泣き虫なんて言われないようになるよ!」

「なんで?」

「それは…


 サクラカガミは…なんでだって言ってたっけなぁ?忘れちゃった。


「秘密!」

「えー!!!」


 なんだよすっごく気になるよ!!


「…私はクレちゃんは泣き虫のまんまで全然かまわないけどね。」


 サファイアがサクラカガミみたいに泣き虫から、まさかの雰囲気武士みたいなやつになられたら結構悲しいし。というかそんなことになったらキャラ崩壊にもほどがあるよ。サファイアは今のサファイアだからいいのだ。ま、この世界のサファイアは知らないけど現実世界のサファイアは泣き虫ではないと思うけど。


「えー、それはいや。」

「なんでよ?かわいいじゃん。」


 泣き虫の頃のサクラカガミほどの天使はいなかったぞ!!めっちゃ可愛かった。あの頃が全盛期。


「かわいいのが嫌なの~!!」


 ぷくっと頬を膨らませるサファイア。そういうのが可愛いんだよ。あざといなぁ!

 というか、現実世界では可愛さの追求をしてるけど、こっちではかわいいのはいやなのか。

 

「じゃあ、なんて言われたいの?」

「かっこいい!!」

「へ、へぇ…。」


 サファイアの見た目でそれは厳しくないか…?だいぶ無茶だよ。


「リナはどうしたら僕のことかっこいいっていってくれる?」

「えー…。」


 かっこいい…?


「それは精神的な感じを求めてる?それとも見た目?」

「どっちも!!」


 どっちもかぁ…。うーん…。


「見た目は…なんだろ?髪の毛切ったり結んだり?あとはズボンはいたり?」


 私にはわからんよ!!!ごめんな!!サクラカガミばっか見てきたもんで!!世間一般のかっこいいとかもよくわからないんだ!!!


「中身は…人のこと気遣えて、弱いものに優しかったらもうめちゃくちゃかっこいいから…精神的にはサファ…クレちゃんは十分だよ。」

「えっ。」


 サファイアの顔は真っ赤に染まる。そんなにかっこいいといわれて嬉しいのか。

 それともこっちの世界のサファイアはよっぽどダサいのか。猫相手に喧嘩売ったりとか、幼稚園児大手にカツアゲしたりするのだろうか。


「ど、どんなところがかっこいい!?」

「どんなところってそりゃあ…人に気を遣えたり、みんなに対して優しかったり?」


 もしかしたらこっちの世界のサファイアは違うのかもだけどさ。少なくとも現実世界でのサファイアは誰に対しても優しいし、困っている人がいれば迷いなく手を差し伸べる、真の美しさをもった人だと思う。だからこそサクラカガミも…いやいや、アイツのことはどうでもいい。


「…なーんだ。予想してたのと違う。」

「えぇ…?」


 サファイアはつまらなそうにそっぽを向く。どんな答えを私は期待されていたんだ。


「まぁ、僕はまず泣き虫を卒業しなきゃだよね。頑張るぞー!!」


 サクラカガミみたいにはならないでねー。そうなったら私が泣くからねー。なんでもいいから基本的な性格はどうか今のサファイアのままでいてくれ。


「だからリナ、もし僕が泣き虫を卒業できたら…僕のことちゃんとかっこいいっていってよね!」


 別に泣き虫じゃない=かっこいいではないと思うけど…


「…うん。頑張ってね。」

「えへへ~!」


 …このまま夢、醒めなくてもいいかもね。できることならこのままずっと、精霊ではないサファイアとこのただ優しい友人関係を過ごしていけたら幸せかもしれない。足なんか失いたくない。庇護なんかされたくない。罪悪感なんか感じたくない。…嫉妬なんかしたくない。

 …現実のサクラカガミにもサファイアにも気まずくて今は顏を合わせたくないしね。




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