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昔拾った人外から自立したいっ!!!  作者: 君影想


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第十三章 覚醒

「リナ!!待ってたよ!」


 クレちゃんが私の手を包み、真摯な瞳で見つめてくる。

 …ここはお気に入りのカフェで、友人のサラちゃんと会うためにここに来たはずなのだが、どうしてここにクレちゃんがいるのだろう?


「なんでここに?」

「リナを待ってたんだ!」


 いや、それはさっき聞いた…っていうのはまぁいっか。

 クレちゃんは私を自らがもともといたらしき席に誘導してナチュラルに座らせる。まるで私との約束が最初からあったかのように。

 

「なんで私を?」

「リナと話したかったの。」


 なんだかデジャヴを感じる気がするが、気のせいだろうか。…まぁ、気のせいか。


「…お手紙、見てくれてない?もしかして。」

「手紙?」


 なんの話だろう?全くもって記憶にないが。


「…見てないかぁ。じゃあ、見たからここに来たわけじゃないんだね。」

「うん。普通にサラちゃんと約束があってさ。」


 クレちゃんは私のその言葉を聞いて、なぜかぷくぅっと頬を膨らませた。え、なんかまずいこといった?


「あの人とはあんまり関わらないでって何度もいってるのに~!!」


 ああ、そういえばそうだった。クレちゃんは私があまりサラちゃんと関わることを良しとしていない。クレちゃんによると、彼女はあまりにもお下品すぎるらしい。まぁ、たしかに酒・タバコ・男大好きであんまり教育には良くなさそうだけどね。あれでも面白いんだよ。

 適当に口だけでごめんごめんと謝ると、クレちゃんは次はないんだからね~!と私の頬を摘まんできた。次もある気満々なんだけどと思いつつ、ちょっと気になっていたことに話題をそらしてみる。


「そういえば、手紙気づかなくてごめんね。」

「…ま、それは仕方ないかもだから許してあげる。わかりにくいところに置いてあったし。」

「そうなの?」

「うん。机の裏に貼っておいた。」


 わかりにくいわ!!!

 机の裏を毎朝確認する女子高生が一体どこにいるというのだろうか。というかそれ、掃除のときとかに掃除当番に見つかったりするやつじゃない?大丈夫?クレちゃん女の子からだいぶモテるし、私が変な嫉妬されないか心配だよ。…ま、実は男からの方がモテてる気がしないでもないけど。見た目可愛いし仕方ないね。


「…まぁ、つっこみたいところは色々あるけどさ、どういう手紙の内容だったの?」

「最近のリナが心配だから放課後ここでお話しよ!っていう内容。」

「へぇ~。」

 

 最近の私は…そんなにおかしかっただろうか?

 …まぁ、たしかに多少はおかしかったかもしれない。ここのところ私は果てしなく現実に近い夢を見続けていて、現実と夢の境がつかなくなっている。夢の中では…クレちゃんがなぜか精霊だったり、幼馴染じゃなかったり、同じ部屋だったり…私の右足が動かなかったり、他にも細かいところが異なるだけでそれ以外はほぼ現実と変わらないのだ。昔は夢は目を覚ましたらすぐに忘れる派だった私が、記憶を夢に犯されはじめている。


「…なにかあるんでしょ?」

「う~ん、大したことじゃないから気にしないでいいよ。」


 あんまりクレちゃんには心配をかけたくない。こんなことを話したら、きっとクレちゃんは私以上に気に病んでしまう。私はそんなこと望んでないし、この問題は…まぁ、他の図太そうかつ頼れる誰かに相談したいと思う。たとえば、サラちゃんとか、あと…あの…えっと幼馴染の…誰だっけ…?


「…僕はそんなに頼りにならない?」

「そんなことないよ。マジで大したことないだけ。」


 頼りにはしてる。だけど…なんというか、クレちゃんは私にとって守るべき存在なのだ。昔みたいに泣き虫でもなくなったし、私なんかよりも色んな面で強くなった。かっこよくて可愛い最強の男の子。でも、私の中では未だに可愛いくて弱虫なクレちゃんなのだ。


「…ふぅん。僕じゃダメなんだ。」


 クレちゃんはつまらなそうに頬杖をついて外を見つめる。

 外ではいつの間にか雨が降り出しており、人々はいつもより足早に往来していく。予報にもない突然の雨だったせいか、傘を持っていなかった人が多いようだ。


「…じゃあ、僕そろそろ部屋に帰るね。ノラナくん待ってるだろうし。」

「あ、うん。ノラナくんによろしくね。」


 しばらく何とも言えない無言の時間が過ぎた後、クレちゃんはお金を机の上に出して立ち上がった。

 ノラナくんはクレちゃんの同室の子なのだが料理が壊滅的なため、クレちゃんに任せきりだったはずだ。だから、夜ご飯が食べれなくて腹を空かしているかもしれない。ちょっと申し訳ない。


「…夢、普通の夢に戻るといいね。」


 …なぜ知っている?私は彼に夢の話はしていないし、他の人にもまだしていない。

 その言葉の真意を問う前に、クレちゃんはドアについたベルの軽やか音とともにカフェから去っていった。




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