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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

婚約破棄?ってなんですの?

婚約破棄?ってなんですの?

作者: 紫宛

短編ですが、長いです。


連載にして、3話で構成すれば良かったです(><)




「エリーシュ

貴様は、相も変わらず華がないな」


「?」


急に名前を呼ばれ、振り返る。

失礼な発言をされましたが、


はて?貴方様はどちら様ですの?








事の発端は



隣国との戦争で勝利を収めた英雄の、凱旋パーティが行われる事となり。

国内の貴族、同盟国の要人を招いての大掛かりな催しだった。



戦争に勝利をもたらした

英雄の名は、カルディオ



カルディオ・コールディス

隣国との国境に領を持つ辺境伯だ。


ずっと続いていた戦争に、辺境伯率いる騎士団が投入された。

今まで多くの騎士が戦死し被害は増える一方だったが、氷の姫巫女が癒し、英雄が指揮を執る事で、終戦へと導いたのだ。


その勝利を祝うための、パーティだった。



その場で、いきなり呼び捨てられ、失礼な発言をされたのは、エリーシュ。


エリーシュ・ティルティリア

ティルティリア伯爵令嬢で、氷の姫巫女の異名を持つ冬の聖女だ。



【冬の聖女】--------------

季節毎に認定された聖女。

春(東)、夏(南)、秋(西)、冬(北)と存在し、地方に居を構え祈りを捧げるのが役目。祈りは精霊に届き国を護り豊かにする。その為、基本は領地に篭もるが、戦争が起き助力を請われれば、領を離れ人々を癒す存在。


他にも、桜の姫巫女(春の聖女)梨の姫巫女(秋の聖女)や、日華の姫巫女(夏の聖女)がいる。

--------------------


相手の男性は、

バカンド・ギルディス

ギルディス侯爵家三男だ。


以前、闘いに赴く前のパーティで見た気がするが、お互いに名乗った訳では無い。

学園にも通っていたが、私は戦争に行くため中退していましたし。



目の前の彼は、傍らにいた女性を抱き寄せ

「俺は貴様との婚約を破棄し

彼女マモレイナ嬢と婚約する!」


マモレイナ……

確か、最近マモリアル男爵家に養女で入られた方ではなかったかしら?

そして、桜の姫巫女で春の聖女だったはず。





……と宣言なされましたが、わたくし、貴方様とは婚約していませんよ?

それに、何故このパーティーに参加しているのでしょうか?


マモレイナ様は、このパーティーに参加出来ないはずですよ?


「破棄とは、なんの事ですの?」

「貴女方とは、初対面のはずですよ?」


「とぼけるな!」


「そうですわ!私、エリーシュ様に階段から突き落とされましたの!!見てくださいまし!この足を…!」


そう言って、ドレスを引き上げ自らの足を出す。


(いや、淑女として公衆の面前で足を出すのは如何なものかと…)


「それに、マモレイナ様は、このパーティーに参加出来ないはずですが?」


「酷いわ!何で、そんな酷い事を言うの?私には、パーティに出る資格がないとでも言いたいのかしら?!」


「違います、このパーティーの趣旨を理解していますか?戦地に行く事を拒否した貴方が、何故いるのですか?」


「あんな危ない所に、私に行けと言うの?死にに行くようなものじゃない!私は聖女なのよ?人殺しの手伝いなんて嫌よ!」


(なんて事……)


「最低だな、レイナは、か弱いんだぞ?人殺しなど、騎士共がやればいいんだ!見た目も悪いが性格も悪い!こんな女と婚約してただなんで吐き気がする」


(…………)


「そのセリフを、ここで言う方が最低だと思いますよ?」


「何だと?」


「今日のパーティは、隣国との戦争に勝った祝賀パーティ。戦いに参加した騎士達を招いて、勝利を祝うもの。戦いで亡くした騎士を弔う為の場」

「貴女方の今の発言は、命懸けで戦った王国騎士を侮辱するものです。国の為に戦い亡くなった騎士を、馬鹿にする発言は控えて下さいませ」



「それに……、貴方様とは婚約した覚えはありません」


「「は?」」


わたくしには、既に婚約している男性がおりますし、本日のパーティで、その方と、結婚の報告をする予定でもあります」


「ですので……」

「貴様!俺という婚約者がいながら浮気していたのか?!」


「やだ!?最低ね!」


(浮気していたのは、どちらかと言えば貴方様では?私の事を婚約者と思って(誤解)いながらマモレイナ様と親しくしていたのですし)


「違います」


「何が違う!?お前は最低な女だな!」



(もう、嫌です……この方…話が通じません)




「どうした?何の騒ぎだ?」


その声に顔を上げる。

ようやく来て下さいましたか、国王陛下。


「エリーシュ殿?どうしたのだ?」


この場に現れた救世主は、国王陛下と王妃、私の婚約者であるカルディオ様、そして、王太子殿下である。

宰相様は一緒ではないらしい。



「それが、陛下……困った事になりましたの。話が通じなくて……」


頬に手を添えて、小首をコテンと傾げる。

カルディオ様が近付いてきて、肩を抱き寄せ『大丈夫か?』と耳元で声がする。カルディオの胸に額を付け短く返事をする。

それを見た、バカンド様が、また喚き散らします。


「貴様!やはり、浮気か!!許せん!国外追放だ!!!!」


「なんだと?」


「ヒッ」

声を荒げて宣言した言葉を聞いたカルディオ様が、戦場で放つオーラを纏い相手を睨み付けた。


「無礼な男だな、我が妻となる女性に浮気だと?!」


底冷えするような、地の底から響くような声音に私ですらもビクッと肩を揺らしてしまう。




「……と、大丈夫か?すまぬ、そなたを怖がらせるつもりは無いのだ」


先程とは打って変わって、優しい声音で語りかけるカルディオ様に顔を上げて『大丈夫ですわ』と笑いかける。




そこに、場違いな黄色い声が響く。


「きゃぁ、カルディオさまぁ!素敵ですわぁ~」


「「え?」」


「そんな女放って、私と行きましょうよぉ」

「ね?」


「断る」


「え~?どぉしてですかぁ?そんな女より、私の方がいい女ですわよ?」


と言って胸元を強調しながら、カルディオ様に撓垂しなだれ掛かる。

カルディオ様の腕に抱き着き、胸を押し付け『うふふ』と笑っている。

その顔には、『勝った!』と書いてあった。


ですが、カルディオ様が女の色香に騙されるほど馬鹿ではありません。先程『断る』と言ったのがきこえなかったのでしょうか?さっさと、その手を話した方が身のためだと思いますのに……


「離せ、汚らわしい!」


腕を振り払い、後ろに突き飛ばされたマモレイナ様は、バカンド様に抱き止められていた。そして、大袈裟に叫び出した。


「きゃあ!」

「だ、大丈夫か?」

「女性を突飛ばすとは、最低な行いだと思いますよ辺境伯殿」

「どいて、僕が懲らしめてあげる」


臨戦態勢に入ったバカンド様と、マモレイナ様を慕う男性達だが、喧嘩を売る相手、間違ってませんか?


相手は英雄ですのよ?


「全く、お前達は何をしている?このパーティーにお前達を招待した覚えはないぞ?」


王太子が眉間を揉みほぐし、アホを見る目でバカンド様を見やった。

王妃は、私を馬鹿にした彼らに冷たい眼差しを送っていて、国王は、近くにいた騎士に宰相を呼ぶよう指示している。


「何を言っているのですか、レイナは春の聖女、参加するのは当然ではありませんか?」

「エリーシュは良くて、レイナがダメだなんて…卑怯ではありませんか」


私が参加するのは当然です。

今回の戦いには、私も参戦していたのですから……


「エリーシュ殿が参加するのは当然だ。彼女は、そこの桜の姫巫女の代わりに戦場に出向いてくれたのだからな」


そうです。

今回の戦いに於いて、桜の姫巫女は出陣を厳命されていた。


……にも関わらず、いざ戦場を前にして敵前逃亡を謀ったです。


お陰で、多くの騎士達が死線をさ迷うことになったのです。

梨の姫巫女、日華の姫巫女は、今回の戦いに出向出来ない確かな理由があり、私に白羽の矢がたちました。


急いで、戦場に赴けば沢山の騎士が死にかけていて……癒すのが、後一歩遅れていたら皆死んでいたでしょう。


「なに?人気取りでもしたかったの?氷の」


「違います」


「それとも、カルディオ様に取り入りたくて?」


「違います!」


「私がモテるのが気に入らなかったんでしょう?」


「違います!!」


「貴方に、カルディオ様は相応しくありませんわ、だって私を階段から突き落とすような女なんですから」

「カルディオさまぁ、この女は本当に最低な女なんですよぉ、私の元にいらしてくださいな」


「お前は、バカ…バカンド殿が好きなんだろう、私はお前が嫌いだ」

「バカンド様も、勿論好きですが、1番はカルディオ様ですのよ」



「それ以上近付けば殺す」

「ヒッ……」


なんて言うか、図太いですよね。

突き飛ばされても尚、向かってくるんですもの。





「何をやっているんだ?!」


あら?来ましたわね宰相


「陛下!これは一体……?」


王妃と王太子が、二人がかりで状況を説明している。


すると、見る見るうちに顔から表情と色をなくしていく宰相。


チラッと私を見て、息子に目線をやる。

カルディオ様に誘惑の視線を絶え間なく送るマモレイナ様とそんな彼女を愛しげに見つめるバカンド様。


そこに侯爵夫人も駆けつけ、顔を真っ青に染め私に頭を下げる。


「申し訳ありませんわ!エリーシュ様」


バタバタと足音がして、騎士団長、魔法局長も駆け付けてきた。

2人は自分の子らの頭を押さえ付け、私に謝罪をさせようとしているが……


「何をするのですか!父上!」

「父様?痛いです…!」


2人は全然反省していません。

これでは、謝罪を受け入れるのは無理ですわね。ふいっと、顔を背け謝罪を拒否する姿勢をとると『申し訳ない!』と言い、2人をどこかに連れていった。



そうして、残ったのはバカンド様とマモレイナ様だけとなった。



「な、によ!あんた、邪魔なのよ!」


一陣の風が吹き、桜の花びらが舞う。

攻撃の意志を持って、私の体を引き裂く。

同時に、氷が周囲に張り巡らされ、会場に来ていた同盟諸国の要人や貴族を守る盾を作る。



「……っ!」

「エリーシュ!?」


「エリーシュ様……!」

「馬鹿な……!」

「奴らはアホなのか!?」


会場に悲鳴が響き渡る。

床に膝をついて、息を整える。


「大丈夫か!?エリーシュ!」

「大丈……夫、ですわ」


こんな所で、聖女の力を使うなんて……

何を考えているのかしら…


「あっは、あっはははは!」

「よっわ!そんな弱くて、よく聖女なんて言えたわね!!あははは」



「き……さま!」


「騎士達よ!捕らえよ!」


「きゃあ!何すんのよ!?」

「おい、止めろ!」

「もぉ!私に手を出すなら、あんた達もアイツと同じ目に遭わせてやる!」






だが、何も起きない。






「な……なんでよ!?」

「どうしたんだ?早く奴らを切り刻め!」

「分かってるわよ!でも、出来ないの!!なんで?!」


「貴方の力を、私が抑えているからよ」

「この場で力を使うなんて、何を考えているの?国に反旗を翻しているようなものよ?」



国王は、頭を抱え唸る。王妃は、立っているのもやっとらしく、王太子に支えられている。

「氷の姫巫女は、先の戦いで力を使い切ったのだぞ。まだ、回復しきってはおらんのに」


「大丈夫ですわ、陛下。これぐらいならば、今の私の力でも可能ですから」


床に座り込み、カルディオ様に支えられながらも答える。


「宰相、2人は牢で構わんな?」

「はい、それが妥当でしょう」


「な!?、父上?!」

「連れて行け!」





「エリーシュ殿、申し訳ありません」


宰相は深々と頭を垂れる。侯爵夫人は倒れる寸前だ。


「構いませんわ宰相様、今は夫人を休ませてあげてくださいませ」

「そんな、エリーシュ様の方が痛々しいですのに、わたくしが休むわけには…」

「いいえ、大丈夫ですわ。私には、カルディオ様もおりますから」


カルディオ様を見上げると、力強く頷いてくれる。

周囲に張り巡らされた氷は、音もなく消えていく。エリーシュが力を送るのを止めたからだ。


ふらつく体をカルディオ様が、支え抱き抱える。









数日後、王宮に呼び出され、カルディオ様と向かう。


そこで話されたのは、バカンド様とマモレイナ様、アルホォ様、マーヌル様の処遇の事でした。


騎士団長様、魔術師局長様も招集されており話に加わる。


「此度のことは、同盟諸国にも知れ渡っておる。生半可な罰では示しがつかぬ」


「ええ、ましてや、氷の姫巫女様に傷を負わせた事は大罪でございます」

「我が息子の事はお気になさらず、適正な判断をお願い致します」


「うむ」


「陛下、マモレイナ様は、聖女の力を守るべき者たちにも向けました。その時点で聖女ではありません。聖女の力を失っていると思われます」


今まで黙っていた、エリーシュが意見を述べる。


「うむ、そうだな」


「私の妻に手を出したのだ、許せぬな」






そして決まった。







牢から出された4人は、反省することも無く、冬の聖女を口汚く罵る。

牢番は不快な気持ちを隠し、階上へ案内し扉を開けた。


扉の前には騎士が数名立っており、牢番から鎖を受け取り連れて行った場所は


王宮の門前だった。



門前には馬と騎士がおり、俺達の首に縄が掛けられた。


「あ、……あ、いや、……や、やめ」


マモレイナは、恐怖で失禁しガタガタと震えている。

アルホォも、真っ青な顔をしている。

マーヌルは、気を失ったようだ。


それでも、首に縄が付けられると

執行人らしい人物が、『行け』と命を下した。

騎士が馬に跨り走りだす、その手には4人分の縄が握られており、グンと引っ張られる。


俺達は最初走り出した。

マーヌルだけは、そのまま引き摺られる。

足がもつれ、転び、それでも市中を走る馬が止まることは無かった。


民達の顔が見える。

皆一様に厳しい顔をして、俺たちを睨んでいた。それだけならまだいい、石を投げつける民もいた。


1日中引き摺られ、門前に戻った時には全身ボロボロだった。


これで、終わる




そう思ったのに……





戻って来たら、門前には、国王と父上、騎士団長と魔術師局長、それにカルディオ辺境伯がいた。


すると、隣からレイナが目を輝かせ声を弾ませ言葉をかける。

良く、話せる元気があるものだ……


「まぁ!助けに来て下さったのね!カディ様!」


愛称呼びするなんて……


「私、待ってましたのよ?」

「さ、早くこの鎖を解いて助けて下さいまし、そして、私にこの様な仕草をした奴らを始末して下さいな」


「カディさま?」




「消えろ」


「え?」


「誰が貴様を助けると言った?貴様らは、場所を移動し処刑だ」


「……え?」



やはりな……



父上……


父上を見上げると、一瞬悲しそうな顔をしたが、元の無表情に戻り言葉を発する。


「自分たちのした事を悔いろ」

「よいな?」


「……はい……」


「エリーシュから、お前たちに伝言がある」



叱責する言葉だろうか……



「『貴女方は、許されぬ行いをしました。今回の騒動は同盟諸国にも打撃を与えているのをご存知ですか?その為、処刑以外の選択がありませんでした…故に、祈りましょう。貴女方が無事に天に召されるよう。道に迷わぬよう…罪を許され、また生まれ変われるよう…』だそうだ。彼女は今、聖堂にて秋の聖女、夏の聖女と共に祈ってくれている」


「冬の聖女の名で、2人を呼び祈りを捧げてくれるよう願い出たのです。私達の息子が天に迎え入れられるように…」


目に涙をうかべ、魔術師局長が言った。



……エリーシュ……すまなかった。


ありがとう……






処刑は、恙無つつがなく執行され、4人は亡くなった。




その日、聖女達の祈りに答えた精霊達が、4人の魂を天に昇らせていった。

色とりどりの光が天を貫き、壮観な眺めとなった。





エリーシュは、カルディオと結婚し子供を授かった。その時、エリーシュは『あら、ちゃんと反省したのね』と言ってお腹を撫でていたらしい。


「エリーシュ?」


「何でもないわ」


ふふ、と笑い。


カルディオに、後ろから抱き着くエリーシュ。それを、正面に回し抱き締め返す。

2人の間には3人の子供が生まれ、エリーシュは訳知り顔で、『間違った道を歩まぬよう育てるわ』と言ったそうだ。


そして、『やっぱり、あの方は反省出来なかったのね…』とも言っていたそうだ。









感想ありがとうございます^^*

皆様が指摘くださった内容を考えて、改めて改正版を後日投稿したく思います。


短編では、無くなってしまうかも知れませんがよろしくお願いします( ..)"


ありがとうございました(*・ω・)*_ _)ペコリ

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― 新着の感想 ―
[良い点] 反省して、主人公の子供として生まれ変われたこと。 [気になる点] 婚約していたと何故勘違いしていたのか。 誰が誰と親子なのかなど、関係性が分かり難い。 どれが誰の発言か分かり難い。 階段か…
[良い点] ☆婚約破棄を告げられたが、その相手とそもそも婚約した事実がない、それどころかほぼ初対面、という出だしは実に興味をそそられます。  ここからどんなサスペンス、もしくはスラップスティックに出会…
[気になる点] 全く意味が分からぬ( ˙꒳˙ )???
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