“歯磨き”と書いて“抹殺”と読む
今日はお口の話をしよう。
お口の中にはたくさんの菌がいます。
いい菌にわるい菌。
それぞれですが、今日もあなたのお口の中で菌を殺しているのがいるようです。
「キーキキッ! 虫歯になりゃあこっちのモンだ! 痛がれ痛がれ!」
「センパイッ! パネェっすね! マジパネェっす! リスペクトっす!」
「おう後輩! お前も手伝え!」
「ハイっす!」
彼らは歯の隙間、歯と歯茎の間に姑息に隠れて歯を痛めつけている菌。
ずっと留まらせていてはいつか、虫歯になってしまいます。
そこで彼らを殺す正義マンは――彼らだッ!
「菌たちよッ! そこまでだッ! トゥっ!」
「なッ、何者ッ!?」
「私は歯磨き粉の一部! この体の主に変わって貴様らの抹殺命令を受けている者だ!」
「な、なんだとッ! だがしかしッ! 菌の俺らに勝てると思うのか!?」
「なッ!? 歯の隙間に集結している!? これでは歯ブラシの毛先でも抹殺できない……くッ!」
「キーキッキッキッ!! 参ったか!」
「パイセン! チョベリグっです!」
「ちょっ、おまッ! チョイス古ッ!?」
殺戮者の……おっと、もといもとい。口の環境に平和をもたらす歯磨き粉の一部ッ! さぁ、どうする!
「諦めるな!」
「だッ、誰だッ!」
「ボクは歯間専用の歯間ブラシ!」
「私もいるぞ。歯間も歯も歯と歯茎の間もいける。細身ブラシ!」
「わ、わたしだって……ま、まけねーです……グッハァァァァァ!!」
「ちょっ! 最初の二人はいいけど、最後ォォォォォ! 吐血して細っこいやつ!」
「わ、わたしですガァァァァァ!!」
説明しよう。
三人目のもやしっ子…………もうどうでもいいや。
彼は!
そう。
…………。
……………くぁ――。
「寝るなぁァァァァァァ!!」
あ、失敬失敬。
彼は糸ようじ。特徴はないが、良く取れて便利な奴。
「説明、雑ッ!!」
「センパイッ! 突っ込んでる暇ないっすよ!」
「くッ! す、すまん後輩よォ! もう打つ手がない!」
「そんなッ! センパイィィィィィィィィィィィィィィィィィィッッッッっ!!」
「フハハハハハ! 正義は必ず――ガボォォォォォ!!」
ベ~。
「歯磨き粉きらーい! 歯磨ききらーい!」
「じゃあ、カナちゃんは虫歯で痛い痛いってなるのとどっちがいいかな?」
「いたいのやだ!」
「じゃあ、頑張って歯磨きするのよ。ばい菌さんバイバイってしなきゃね」
「うん!」
あなたの口の中は大丈夫ですか?
依頼があればいつでも彼奴等を抹殺してみせましょう!