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故郷に帰る 9

それは一瞬のことだった


目の前が真っ暗になったかと思えば、

次の瞬間には眩いばかりの光に包まれ、

気がつくとアタシは見慣れない建物に囲まれた場所に置き去りにされていた


「……え?アタシ…時空の歪みに飲まれて……

つうか、ここどこ?」


とても高く、カラフルな建物が沢山並んでいる

それに何より、なんと人の多いことか

王都ですらここまでの人混みは市場でしか見たことがない


「……それになんというか、場違い感が凄い」


すれ違う人々はどうにも見慣れない服装ばかりを身に纏い、

とても足早に歩き進んでいる

なんて忙しない人達だろう

そんなに急いでどこへ行くのか?

それにさっきからずっとアタシの事をすれ違いざまに凝視してくる


「このドレス姿がまず間違ってるようにしか思えん」


サンガ島に行く前に着替えておけばよかった

しかし、なんでそんなにジロジロ見られるのかしら?

アタシそんなに珍しいのかな?


「とにかく元の世界に戻らないと……」


方法なんて分からない

それでもこんなわけ分からない所にはいられない

とにかく歩くことにした

道に迷うかもだけど、どのみち知らない世界ならどこへ行っても同じだ


「そうだなぁ…まずは高い所から見渡してみるか」


この世界がどうなっているのか、

まずはそれを知らなくては

アタシは出来るだけ高い建物を目指して歩き出した


見れば見るほど知らない物ばかり、

しかもあちこちで魔導車みたいな乗り物が沢山走っている

それだけじゃない、アタシの知らない道具があちらこちらに置いてあり、その都度足を止めて見入ってしまう


「アーティファクトの山ね

カグヤがいたら喜んだかも」


こちらの世界の服装はなんとなく見慣れてきた

みんな似たような服装だし、それなりに規則性がある

アタシたちの世界の服装とはデザインもそうだけど、

機能的に全く違うのだ

魔物と戦う姿でもなければ、旅をする姿でもない

なんとも機能性を無視した見た目重視の様な服装だ

女性は特にそれが多い、

対して男性は何故か似たような、けれど色や形が微妙に違うしっかりとした見た目の服装

ギルドの制服にも近い感じも受ける

かと思えば、女性のように見た目重視の服装の男性もいる

この違いはなんなのだろうか?


そんな事を考えていると、ふと視界の端にこの世界のモノとは違う感じの服装の人たちを見かけた


「なんだろ、ここまで見てきた服装とは確実に浮いてるわね

どっちかっていうとアタシたちの世界の服装に近い」


カラフルだけれど戦闘服のようなデザイン、

帯剣もしている

見れば髪の色もなんと鮮やかな事か

これはもしかしてアタシ以外にも異世界漂流してる人がいるのかも?


「よし、追いかけてみるか」


方向的にはあのやたらデカイ建物のほうだ

離れた場所から見ても分かるほど、バカデカイ建物だ

逆三角形の変な建物が四つ、規則正しく四方にそびえている

あんなんでよく倒れないなぁ


近づくにつれ、その全貌が露わになる

間近に見るとやはりデカイ

そして何より驚くべきはその建物の周りに先ほど見かけた服装の人と同じような感じの人達が沢山いる

いやそれだけではない、こっちの世界の服装の人たちも想像を絶する数でごった返しているのだ


「……こ、こんなに異世界漂流者がいるなんて!」


すると一人の男性が私の所に近づいてきて、

変な機械をこちらに向けている


「写真いいですか?」


………写真?

なにそれ、しかもなにその機械

両手に抱える程度の大きさながら、まるで銃口のような大きな筒が付いている

武器…かとも思ったけど、それならわざわざ断り入れて撃つバカもいないだろうし…


「えーと、まぁよく分かんないけど、どうぞ」


そう返答するやいなや、男性は機械のスイッチを引っ切り無しに押し続け、その度にカシャカシャ音がなる

特に弾が出るわけでもないし、アタシ自身に変化もない


「ありがとうございましたー」


満足したのか男性は行ってしまった

一体なんだったのか?


「あの人スゴーい!クオリティ高くない!?」

「外国の人かな?凄い美人!」

「あれ何のコスかな?雰囲気的にエルフっぽいけど」


え?今エルフって言った?

なにやっぱこの世界にもエルフいるんだ?


様々な声が聞こえてくる

すると何故か先程の男性が持ってたような機械を持った人達がアタシの所に集まりだし、

何故か列を成していた


「ポーズお願いします」


え?え?なにこれ?

言われるがままにそれとなくポーズを取ると、

やはり機械のスイッチを押し、カシャカシャ音がなる


「あざーす」


その人が離れるとその後ろに並んでた人がまた同じように機械を向ける

そんなやり取りが小一時間延々と繰り返される


「さすがに疲れた…」


日差しが高い

焦げるような気温で身体から体力が削られていく

少しフラッとしたその時、誰かがアタシの体を支えてくれた


「ちょっと無理し過ぎ、こっちおいで」


アタシと同じエルフの女性だ

良かったぁ同じ種族に会えるなんてラッキーだわ


女性は行列の人達に断りを入れて、アタシを連れてあのバカデカイ建物の中へ


「ちょっとそこで待っててね、今飲み物買ってくるから」


建物の中、隅っこの方に座り、彼女が戻って来るのを待つ事に

見渡すと、これまた凄い数の人間がひしめき合っている

外も凄い数だったけど、建物の中はもっと凄かった

簡素なテーブルが沢山並び、その上には沢山の書物

そしてそれを購入するための人の列…

そんな光景があちこちで行われている

アレ?なんかあの眼鏡の子、メグルに似てるなぁ

まぁいるわけないけど


「ここ一体なんなの?」


「お待たせ、コーラしか残ってなかったわ」


さっきの女の子が冷たく冷えた筒をアタシに手渡した

飲み物って言ってたからそうなんだろうけど、

見たことないわ…

とりあえず受け取り、プシュっとプルタブを引く

………え?

なんでアタシ、これの飲み方知ってるの!?


「ん?どうしたの?遠慮なくどうぞ」


「え、あぁ…うんありがと」


赤い色の筒からは茶色い泡と液体が入っている

黒ビールかとも思ったけど、飲んだ瞬間違うと分かる

甘いのだ


「美味しい……」


しかも何故だか懐かしい気がする…


「あなた外国の人?随分日本語上手いわね?」


外国と言えばまぁそうかも?

しかしニホンゴ?言語の事を言ってるなら、普通に元の世界の言語なんだけど…

いや、そうか異世界なのに言葉が通じるってのも変か…


「あたしは佐倉(さくら) 冴子(さえこ)

あなたは?」


サクラサエコ、か

なんか元の世界に漂流してきたキリキリもそんな聞き慣れない名前だったっけ

……というかエルフの名前とは思えないなぁ


「アタシはラヴィリス、ラヴィでいいよ」


「やっぱ外国の人かぁ

ルックスもスタイルも良いし、羨ましいなぁ

………てか、それなんのキャラのコスプレ?」


「いや、ただのドレスだけど?」


「すげー外国の人ってただのドレス着ただけで注目されるのかぁ

私背が低いし、スタイルも良くないからなぁ」


アタシの隣に腰を下ろし、サエコはアタシにタオルを貸してくれた


「サエコはエルフだよね?どこの里出身?」


「え?まぁエルフのコスだけど、出身?キャラの元ネタの事言ってるの?」


「アタシはアルカディアから来たの

で、マリサメリサで時空の歪みに飲まれちゃって…」


しかしサエコはキョトンとしたままだ

……おかしいな、なんか変なこと言ったかな?


「……う〜ん、あぁオーケーオーケー、

そういう設定なのか、うん理解した」


え?設定?


「あたしはミッドガル王国のエリザ姫よ」


「え!姫なの?てかエリザ?サエコじゃなかったっけ?え?」


するとサエコは大爆笑した


「あっははは!あんた面白いね!

気に入った!この後時間ある?ちょっと飲みに行かない?」


なんかよく分からないけどアタシはサエコと飲みに行く事になった


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