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故郷に帰る 4

アンナマリー号の内部は、さすがは豪華客船と言わしめるほどの豪華さだった

沢山の施設にプールに温泉、そして部屋の一つ一つがめちゃくちゃ広かった

私たちに当てがわれた部屋も4人いても余るほどの広さだった


あの壮絶な飲み比べから一夜明け、

清々しい朝を迎えた私たち…

約一名は一睡も出来なかったらしいけど…


ラヴィさんはベッドの布団にくるまり、動かない

まるで芋虫のようだ


「もうすぐおじさん来るんじゃない?」


「来ても居留守使ってやり過ごす!」


「一度した約束を反故にするのはマズイのではないかえ?

場合によってはマリアベルの信用問題じゃぞ」


本人もそれは理解してるんだろう

布団にくるまったままビチビチ陸に上がった魚のように暴れている


「でもぉ、流石になんとかしてあげないとぉ

ラヴィが可哀想かなってぇ」


「エステル〜!アンタだけよアタシの味方は!」


さすがはエステルさん、聖女のような優しさだ


「勇者一行の時は妾とシスターが賭けの対象じゃったぞ」


「ラヴィ、式にはぁ呼んでねぇ〜」


……アッサリ見限った

どうやらあの一件にはエステルさんも思うところがあったらしい


「裏切り者ー!」


その時トントン、とドアを叩く音が…

どうやら来るべき時が来たようだ


「みんな!全力で居留守だからね!」


……とか言ってるけど、コッソリとリビングを出て、

小走りで廊下を進んでドアの前にやって来た

そしておもむろにドアを開ける


「ん、いらっしゃい」


「よう、おチビちゃん」


軽い挨拶を交わす

そして観察


おじさんは白いタキシードに真っ赤なバラの花束を持って現れた


「ん、おっちゃんキモい」


「ひでーな!おい!

こういう大事な日には正装して迎えに来るのが大人ってもんなんだよ

あとおっちゃんじゃねぇから!」


再び廊下を小走りで戻り、

リビングに帰ってきた


「ラヴィさん、おっちゃん来たよ」


「アンタ、アタシの話聞いてないの!?

ビックリよ、アンタの行動ホントビックリだよ!」


そして私に遅れてリビングに入ってきたおっちゃん


「やぁラヴィリス、迎えに来たよ」


とてつもなく良い声で言った


「キモい」


「お前さんもかよ!ひでーよ!」


その場の全員がドン引きの中、

おっちゃんはラヴィさんに近づいていく


「あーえーとーそのー、昨日の飲み比べは無かった事にはならないですか、ねぇ?」


「ならん!一度決めた約束は守るのが(おとこ)ってもんだろ?」


「……何よそれ!?アタシ女ですが!

いや、なんというか、まだ心の準備ってものが……」


更に近づくおっちゃん

そしてついにラヴィさんの目の前に膝まづき、

赤いバラの花束をズイっと差し出した


「さぁ約束を果たしてもらうぞ!今日からお前さんはオレの……」


「えー!ちょっ、待って!まだ結婚とか考えてないし!」


「……オレの“娘”だ!」


……………………え?


「「「「は?」」」」


……………………


なんとも言えない沈黙が流れる

なんだろうこの妙な空気は

しかしそんな状況でもおっちゃんの熱弁は止まらない


「お前さんが次から次へと名だたる酒豪を倒す姿を見て、

オレの娘に相応しい!ってそう思ったんだよ!」


「まて、こら

何故に娘?アンタはアタシが欲しいってめっちゃ言ってたよね!?」


「ん?あぁそうだぞ?娘として欲しいって事だったんだが…」


ここ最近おかしな人たちとよく会う機会があったから、

正直またか、という気持ちでいっぱいです


「おぬし、とりあえず理由を話してはくれぬかえ?」


「そうよ!アタシそもそもアンタの名前すら知らないのに、なんで恥ずかしい勘違いした上に、

アンタの娘になんなきゃならないのよ!」


ラヴィさんの顔は真っ赤だ

絶対プロポーズされるもんだと思ってたのが、

まさかの斜め上の状況に恥ずかしくて仕方がないらしい

おっちゃんはおっちゃんで、この状況がよく分かってないようだ

本人的には娘にする前提で話を進めてたつもりだったのだからラヴィさんが赤面してる理由が謎なようだった


「あー名前言ってなかったか?

そいつはすまん」


一旦花束を床に置き、正座するおっちゃん


「オレの名前は“クロード・レイシュタッド”

このマリサメリサ国の勇者だ!」


「また残念勇者か…」

「また残念勇者ですねぇ」

「また残念勇者じゃのぅ」

「ん、また残念勇者」


「なに、その慣れた感じ!?

勇者だよ?そうそう出会えないレアキャラだよ!?」


おっちゃんで3人目です

仕方ないので、とりあえずこれまでの私たちの旅を話してみた


……………………………………………………


「マジかぁ〜白薔薇のヤツ魔族堕ちかよ

いや、まぁ無事で何よりってところか」


どうやらネフェニルさんとは面識あったようだ


「オレ、これでも3年前の模擬試合で白薔薇には勝ってるんだぜ

アルカディアの前の勇者、赤獅子にもギリで勝ったっけな」


ちなみにおっちゃんの通り名は“蒼海の王”

つまり勇者でありながら、マリサメリサの王様なのだそうだ


「やっぱ、おっちゃん……」


「じゃねぇよ!まだ心は少年だから!」


「ん、やっぱ、おっちゃん」


「無駄話はそこまでじゃ、

で、さっきのラヴィリスの件じゃが…」


カグヤさんに遮られ、話の流れを元に戻す


「あぁまぁなんつうかさ、

オレにも“前”は娘がいてな…」


「アンタ結婚してたの!?」


「いや、“今”じゃない“前”な

オレはさ、別の世界から来た人間なんだよ

いわゆる“異世界転生者”ってやつだ」


どうやらこれまた特殊な人物と出会ってしまったようだ…


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