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故郷に帰る 3

アンナマリー号のチケットを貰ったその日が

まさかの出航日というドタバタな状況だった

そもそもヒスイさん自身、チケットの存在を最近まで忘れてたらしく、

気がつけば出航日が近い、ヤバイ、勿体ない、そうだ娘にあげよう

という流れで突然私たちの所に現れたという事だった

そういう所もラヴィさんソックリだ


出航時間は午後7時

そして今はお昼前

準備して、魔導車で飛ばして国境沿いの港までギリギリだ


「あ、ドレスコードとかやっぱあるよね?」


「まぁ豪華客船じゃからのぅ

妾は十二単があるゆえそれで行くとしよう」


十二単って豪華客船には合わない気がするんだけど…


「私は〜以前いた教会の聖夜のイベントで使ってた紅い修道服があるのでそれで行きますぅ」


え、修道服って紅くていいの!?


「アタシも自分のドレス持ってるからそれで良いとして……

マリエラ、アンタはドレスとかないよね?」


「ん、そういうのとは無縁の生活だったので」


するとラヴィさんが一瞬ニヤリと笑った気がした


「ならアタシに任せなさい、ちょうどマリエラにピッタリの衣装を調達したところなのよ」


そういえば帰って来た時なんか荷物持ってたな

……しかもハルカさんと会ってたわけで……

これは嫌な予感しかしない!

ブンブンブンと勢いよく首を横に振り、

断固拒否の姿勢を見せるがラヴィさんに変更の意思はない


そしてみんなそれぞれに準備を始め、魔導車に乗り込む

時刻は午後2時


「いってらっしゃーい!

お土産よろしくねー」


呑気に手を振り見送るヒスイさん

こちらの仕事についてはヒスイさんが手を打っておいてくれるから心配ないけど、

問題はいまだに謎なままのラヴィさんが用意した私の衣装

それを思うととっても不安だった……


…………………………………………



……という事があり、今に至るわけで、

港に着くなり、魔導車の中で急いで着替えて、

アンナマリー号に乗り込んだ私たち

十二単を光の速さで着替えるカグヤさんは本当に見ものだった


そして何より、

問答無用でウサギの着ぐるみを着せられ、

恥ずかしさに俯きながら乗船する私の気持ちが分かるだろうか?

というかなぜ止めない豪華客船の乗員ども!


「そういえばぁ乗船の時マリエラちゃんだけぇチケット確認しないで入れたのはぁ何故ですかねぇ?」


「恐らくあそこでマリエラをモフッてる女性客のさっきの反応と同様に、

従業員のバニーガールの子供だとでも思ったんじゃろ」


女性客二人に挟まれ、高級なニンジンを押し付けられる私


「ん、ニンジン嫌い」


「大丈夫よ〜ほらアーン」


「や、ニンジン嫌い」


ここまでくると拷問だ

隙を見てスルリと女性客の圧迫を抜け、ダッシュで逃げる

それに気づいた女性客も追いかけようとするが、

ドレスにハイヒールでは着ぐるみの私には追いつけない

とりあえずラヴィさんの足元のスペースに隠れてやり過ごす


「う……お、おかしいなぁ

このアタシがこんなに早く酔うなんて…」


「ふっ…どうした?エルフの姉ちゃん

そんなんじゃオレには勝てねーぜ?」


おやおや、どうやら飲み比べはラヴィさんが劣勢のようだ

珍しい、いつもはどれだけ飲んでもケロッとしてるのに……


「うっさいわね、まだまだ……これから」


こりゃダメそうだな


何気なく転がってる空瓶のいくつかに視線を向けると、

なんともおかしな銘柄の酒瓶を発見した


「………“エルフ殺し”」


見るからにヤバそうなお酒だ

とりあえずその酒瓶を拾い、ラヴィさんの足にゲシゲシと当ててみる


「痛!…痛いってば!

なによマリエラ!」


それに気づいたラヴィさんが足元の私に視線を向ける

それと同時に酒瓶のラベルをビシッと見せた


「………な……それって……」


ラヴィさんが対戦相手のおじさんに鋭く向き直る


「やってくれたわね!

エルフ殺しっていえばエルフ族に対してアルコール濃度が数十倍に跳ね上がる魔法酒じゃないさ!」


「バレちまったか

……でもまぁ反則じゃあないぜ?

酒の指定や禁止事項にエルフ殺しがダメなんて決めてねーだろ?

それともお前さんほどの酒飲みがこのくらいで無効試合にはしねーよな?」


「じょーとーよ!

やってやろうじゃない!マスター、エルフ殺し!」


あーあ、完全に乗せられちゃったね

ラヴィさんは飲み比べ強いけど、あのおじさんの方が一枚上手のようだ


出されたエルフ殺しをグイッと飲み干したラヴィさん

その瞬間にパタリと突っ伏した


「………ギブ……」


チーン


そりゃそうだ

ネフェニルさん並みの自爆だよそれ


「ん、自爆姫二世、おつかれさん」


「……マリエラ、あとで絶対モフる」


力なくうなだれるラヴィさん

相当悔しそうだ


「んじゃ、オレの勝ちってことで

ここの支払いはオレが持ってやるよ

じゃ、明日の朝迎えに行くからよ」


そう言ってカウンターに札束置いて去って行くおじさん


「ラヴィさん何賭けたの?」


「…アタシ自身……終わったわ、アタシの人生……」


ヒスイさんの事言えないじゃん


どうやら飲み比べの前に「お前が欲しい」と熱烈に言われたそうな

ちなみにラヴィさんが勝てば豪華客船で使ったお金全額おじさんが負担って事だったらしい


「ん、やるねあのおじさん」


「……敵を褒めるな、アタシの心配をしろ」


……自業自得としか言いようがないんだけど?


「ついにラヴィリスも寿退社かのぅ」


「玉の輿ですねぇ〜」


「……泣くわよ!?アタシ、本気で泣くからね!!」



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