表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
32/49

竜の花嫁 12

草木を掻き分け、足早に教会へと急ぐ私たち

ネフェニルさんの地図によれば、

メグルさんの転移失敗によって飛ばされ、

彷徨っていた現在地はアルカディアとの国境近くだと分かった

ならば少し北西に向かえば教会はすぐ

距離が遠くないのは幸いだった


「だぁぁ…お待ちになって下さらないかしら〜」


しかし問題が一つ

ノーフォビアの第二王女様が足を引っ張って下さっている事だ


「ん、その仮装を捨てればいいと思う」


と、言ってみるも断固として受け入れてはくれない

ファイアリザードの尻尾は垂れ下がり、地面に倒れた木々に引っかかり、ジャイアントバットの翼は枝や草木に一心不乱にぶち当たる

オマケに魔界鹿の角は走った揺れで、頭部のかなりおかしな位置に移動していた


「そういえば聞きそびれてたけど、

なんでそんな格好してるの?」


クレアさんとの関係も、作戦とやらのこともまだ聞いてなかった


「そ、そうですわ

お姉様の所為で私の大事な作戦が無駄になってしまいましてよ!」


ドタバタと走ってるのか歩いてるのか分からない状態で、

息を切らしながら喋るセシリアさん


「……私の所為なの?

それ以前に作戦ってなんなのかしら?」


「ミーシャ王子と結婚しよう大作戦でしてよ!

……ハァハァ、クレアと2週間かけて練った作戦でしたのに…」


これはなんだかあまり聞きたくないどうでもいい話の予感がする


「クレアさんとはぁやはりお知り合いだったんですねぇ」


「貴方達に依頼を出す数週間前に雇いまして、一緒に作戦を立てたのですわ

様々な場所でメイド経験があるとのことで、

この時はミーシャ王子のメイドも務めているとの事でしたので、これは使える!と思ったのですわ」


つまり最初から筋書きがあったわけか


「ん、あのメイド、私たちを(たばか)ったな」


「そのようですねぇ〜」



そもそも今回の依頼はセシリアさんとクレアさんにより計画された作戦の一環だったらしい

詳細はこうだ


まず元々派遣メイドとして王子についていたクレアさんが何気なく花嫁探しの話を持ちかけ、

適当に花嫁探しをし、頃合いを見て竜族に変装したセシリアさんが登場、

王子がセシリアさんに一目惚れ、そのままゴールイン


「……ないわぁ」

「あり得ないですぅ」

「んだな〜」

「私の妹はこんなに馬鹿だったのね」


「酷いですわ!酷いですわ!酷いで・す・わ!」


しかし、と言うかやはりと言うか

作戦は失敗

どこをどう探してもセシリアさんは現れなかった

何故セシリアさんが現れなかったのか?

それは単にセシリアさんが道に迷ったというオチだったから


「そしてたまたま私たちを発見した、と」


「ノーフォビアは私たち王族にとっては庭の様な物

なのにセシリア、あなたという子は……」


ラヴィさん並みに残念な人だったようだ


「で、なぜ王子と結婚しようと思ったのさ」


「子供の頃に一度お会いした事がありましたの

その時とても好意的に接して下さいまして……」


一目惚れだったと

しかし、数年経って再会した時には王子はセシリアさんの事を全く覚えてなかったらしい

そのためこの作戦で強引に結婚まで持っていこうという事にしたと……


「そういえば小さい頃のセシリアは少しぽっちゃりしてたから、今とは大分印象が違うわね

覚えていないのも無理はないわ」


その時だった


「…マリエラ、聞こえるか?」


通信機からカグヤさんが呼んでいる


「ん、どしたの」


「状況が悪化しおった、すまんが急いでくれぬか?」


どうやら雑談してる場合じゃないようだ……



…………………………………………………




アタシたちはマリエラたちが教会に到着するのを待つことになった


「教会に繋がってるんなら早く言って欲しかったわねー」


「仕方なかろう、あやつは記憶がなかったんじゃから」


マリエラたちが教会に着くのはどのくらいかかるのだろう

ドアの小窓からチョビ髭たちの様子を伺いながらそんな事を考えていると、

ふと王子の様子が気になった


「そういえばさ、王子大丈夫かな?

竜族の王子ってバレたらヤバくない?」


竜族はノーフォビアの多種族たちの中でも代表格の一族らしい

そんな竜族の王子がクーデター派の手元にあったら絶対利用されるよね?

うん、アタシならするわ


「問題なかろう?エロいドラゴンでもここにおらん限り、半獣の姿にはならんのだから」


まぁそうか、普通の状態は完全に人間だもんね

……と、思った矢先だった


「グラハム様、人質の中に半獣の者がおりました!

恐らくは半竜半人かと…」


「……カグヤ〜、バレてるよ王子」


「なんじゃと!?」


「エロいドラゴンでもいたのでございましょうか?」


クレアだけは相変わらず危機感がない


「おい、お前こっちに来い!」


ドアの開けて出てきたのはフル半獣モードのミーシャ王子だ

どんだけ興奮してんのよ


「…ちっ、まさか耳長族があんなにエロいなんて!」


どうやら耳長族に欲情したようです

アイツ獣系ならなんでもいいのか?


「おかしいですね、さすがの王子もただのウサギには興味持たないかと」


よーく見てみると、王子のいた部屋にもう一人誰か見える


「……おぉぅ、あれバニーガールじゃん」


少しぽっちゃり気味のバニーガールが部屋の隅にチョコンと座っている

……ふむ、ウサギか…

ここ来る前に見た巨大ウサギを触り損ねた事を思い出す

よしマリエラの次の着ぐるみはウサギでいこう

事が済んだらハルカに発注だ


「男女別で閉じ込める部屋分けてなかったっけ?」


「……あぁ失念しておりました

関係あるかどうかは分かりかねますが、

耳長族は毛玉状態から人型に変化する一族のはずでございます

恐らくは閉じ込められるときにはウサギの姿で、性別の判別がつかなかったのでございましょう

……とはいえ、人型には興味ないはずの王子が何故?」


「オイラとした事が新境地を開拓しちまうなんて…

竜族の誇りが泣くぜ全く……」


……アイツ駄目だな、色んな意味で駄目だわ


「バニーガールで人型もオッケーになったっぽいわ

こりゃ嫁探しが楽になるわね」


「そんな事を言っとる場合か」


カグヤの言う通り、状況は最悪だった

チョビ髭が王子に詰め寄り、マジマジと顔を確認している


「……貴様、竜の里のミーシャ王子か

半竜半人なんぞ、ノーフォビアにはソレしか居ないからな」


するとチョビ髭はニヤニヤし始め、

これまでになく気持ちが悪い顔になる


「こいつは傑作だ!

よもやこんな大物が釣れていたとは!

…これで姫も我が手に落ちれば、

もはやわしの理想は完全な物となる!

ガッハッハッハッハッハ!」


地下で騒ぐなチョビ髭め

しかしマズイわね、これで王子に危害が加われば竜王が黙ってないだろう

そうなれば同盟なんて一気に崩れるわ


「状況が悪化しおった、すまんが急いでくれぬか?

ミーシャ王子が危険やもしれん」


カグヤがマリエラたちと連絡を取っている

けど、さすがに間に合うかどうか……


「こうなったらかなーり嫌だけど、アタシらだけで暴れちゃう?」


そう覚悟を決めた時……


「その必要はないわ、ここは私に任せてもらえないかしら?」


メグルと共に転移してきたのは…ロザリアクイーン

いや、白薔薇の姫 ロゼリア・アーデンフェルトだった



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ