竜の花嫁 7
「んだな、まぁ行けるだよ」
アッサリ解決した
通信機で連絡して数分、メグルさんはすぐに私たちのいる休憩所に姿を現した
「オラの能力は知ってる人や物、場所であれば問題なく行けるだよ
そして森の病院なら、お腹壊した時によくお世話になっとるでね」
腹痛くらいでそんな良い病院行くのかこの人
「元々はジッちゃんが通っとったでね、
何度か付き添いで行ったのがきっかけで行けるようになっとったんだわ」
ナイスメグルさん
これでロザリアクイーンの問題はなんとかなるかもしれない
「ただ、オラあんま人を運んだ事ねぇから全員は無理だな、
あと人運ぶと疲れてすぐ寝ちまうだで、役に立たんから、
病人を担いでくれる人は別で必要かもしんねな
だでその病人さ入れて大体2、3人ってとこかね」
ということなので、出来るだけメグルさんの負担を減らすために、
体の小さい私と、ロザリアクイーンを担ぐ担当としてエステルさんが行くことになった
「では残りは王子の依頼を続行するということでよろしいですね?」
方針は決まった
早速私とロザリアクイーンを担いだエステルさんはメグルさんに掴まり空間転移する
かなりワクワクしたのだけど、意外もアッサリ到着したので期待を裏切られた気分になった
「もっとこう、ウネウネした所を通って行くものかと……」
「あ〜それなぁ、分かりやすく言うとだな、
空間の入口と出口を最短で繋げてるだけだで、
間はなんもないんよ
だども人運ぶ時だけやたら体力持っていかれるのがよう分からんくてなぁ」
それはともかく、
私たちが着いたのは小さな苗木のある広場だった
特に病院らしいものは何もない
「またぁ失敗ですかぁ?」
「んなことねぇべよ、
その苗木が森の病院の目印だがよ
この苗木さ持ち上げてみるだよ」
ブチッ
エステルさんの手によって見事に苗木は千切れた
「……あれれ」
「千切れましたねぇ〜」
「千切れると何が起きるの?メグルさん」
しかしメグルさんの表情は固まっている
何がミスったのかな?
「いんや、千切れねぇでそのしたの土ごと持ち上がるだよ
んで、そこに病院の入り口がある……はず」
「力入れ過ぎましたかねぇ?」
とりあえず苗木の周りを確認して見るけど、
人工的な痕跡は見当たらず、土が持ち上がる感じもしない
これは……
「間違えた?」
「……んだなぁ〜、おっかしいなぁ間違えただなぁ
そしてごめんなマリエラちゃん
オラ、もう…限界…」
パタリ
力を使い果たしたメグルさんが、その場に倒れて眠ってしまった
「あらあらぁ
どうしましょう〜」
まさかのよく分からない場所で迷子になってしまったらしい
すると、さっきまで寝ていたロザリアクイーンの方が目を覚ましてしまった
「……ん、ん?ここは……」
まずい、病院直行だと思ってたから超強力虫除けスプレーは預かってない
このままでは殺される!
「イタタタ、あぁなんで頭が痛いのかしら?
それより、私、食事中じゃなかったかしら?」
どうやら気を失う前の事を覚えてないらいしい
……記憶障害に助けられた
「ん、ん〜と、その
休憩所から出発して森を散策してたら迷子になって、ラヴィさんたちともはぐれちゃった…的な?」
「そう、そんな時に私また気を失ってたのね
ごめんなさいねお嬢さん」
なんとかなった
それにしても怒ってない時のこの人はホントに普通だな
怖くない、むしろ優しい
エステルさんがロザリアクイーンを下ろして、今度はメグルさんを担いだ
とにかくまずは知ってる道に出ないと
「あら?その眼鏡の子は誰なのかしら?
さっきまでいなかったと思うのだけれど?」
おっと、そうだった
メグルさんはロザリアクイーンが気を失ってる時に来たんだった
「ん、友達
ちょっと前に来てもらったの」
とりあえず時空転移的な話はやめておいた
この人にメグルさんを悪用されるのは避けたいからだ
「寝てるわよ?」
「寝てますねぇ」
なに?その謎のやり取り
「ところでロザリアクイーン
あなたの依頼はなんなの?」
こうなれば依頼を果たして一旦ラヴィさんと合流しよう
「ネフェニルと呼んで頂戴
ロザリアクイーンなんて他の誰かが聞いたら大変よ?」
……確かに
これ以上厄介事はごめんだ
「ん、じゃあネフェニルさん
あなたの依頼を教えてよ」
「そうね、私教会を探してるのよ
何故かは分からないんだけれど、そこに大切な何かがあったような気がして……
それに一時的な隠れ家にも出来そうだしね」
驚いた
まさかエステルさんのあの教会の事だろうか?
記憶がないはずなのに、どうして教会だけ覚えていたのだろうか
「教会ってぇ、森の中にある寂れた教会ですかぁ?」
「えぇ、多分、そう…かしらね
ごめんなさいね、あまりよく覚えてないのよ
ただ、そこには沢山の子供たちがいてね
わた、しが、来るの、を待って……」
すると頭痛がし始めたのか両手で頭を抱えて膝をついた
間違いない
この人は元エステルさんと王子の知ってる“先生”だ
「ん、分かった
教会に行こう……今迷子だけど」
「そうですねぇ
……もっと早く聞いておけば良かったですねぇ」
こんなことなら空間転移しなければ良かった
あの休憩所から教会まですぐだったのに
無駄な事をしてしまった後悔からメグルさんの脇腹をくすぐった
「にゃはははは、や、やめるだよ…ムニャムニャ…」
「マリエラちゃん、ダメだよぉ八つ当たりはぁ」
……バレたか




