表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/49

竜の花嫁 2

「こら、そこのノゾキ魔

大人しくお縄につけ」


「ラヴィリス様、曲がりなりにもソレ、王子ですのでお忘れなきように」


ノゾキに夢中だった王子がようやくこちらに気づき、

慌てる様子もなく振り返る

程よく日焼けした肌に銀髪、アクセサリーをそこかしこに身につけ、わりとノリの軽そうな兄さん風の人だ


「あーやっと追いついたのか

おせーぞクレア」


「申し訳ございません

それよりも王子、

コスプレ宿屋マリアベルの皆様でございます」


「違うから!そう言いたい気持ちも分かるけど違うから!

なんか如何わしい店みたいになってるじゃん!」


ギルドの制服に修道服、巫女装束と着ぐるみ…


「……あ、ホントだ」


「こら、そこ納得するなマリエラ」


クレアさんが簡単に私たちを紹介すると、

王子は「オッス」と超簡単に挨拶、

そして何故かエステルさんの名前を聞いた時にだけ首を傾げる仕草を見せた


「エステル?どっかで聞いたような…まぁいいか」


そして何事もなく再びノゾキに戻る


「いやいやいやいや、なにシレッと犯罪行為に戻ってんのさ

大体こういう事はコッソリやらなきゃダメっしょ」


コッソリもアウトだラヴィさん


「どれどれ、どんなグラビア系の女の子なのかね」


ラヴィさんが便乗して湖を隔てる木々の小さな穴から湖を覗き見る


「犯罪者が増えましたねぇ〜」


「なんとなくやるんじゃないかとは思っとったがのぅ」


ノゾキ行為に耽るラヴィさんだがなぜか反応がない

こういう時必ずあーだこーだ言い始めそうなもんだけど……


「どうよエルフの姉さん、

中々の美形だろ?スタイルもまぁまぁだし悪くないよなぁ」


王子の言葉にも一切反応がない


「ラヴィさんどうした?」


私が声を掛けるとノゾキ穴から離れ、

私たちの所へ戻ってきた


「どうしよ、アタシにはあれが女の子には見えないんだけど幻覚でも見えてるのかな」


「ラヴィはぁいつでもそんな感じだよぉ?」


エステルさんも結構酷いな

しかし、ラヴィさんの反応がどうもいつもと違うので、

気になった私たちは順番にノゾキ穴に目を近付けた


…………………………………


「……ドラゴンだね」


どこからどう見ても小型のドラゴンが水浴びしてるようにしか見えない


「言い忘れておりましたが、ミーシャ王子の好みは人型でなくドラゴン体型ですので悪しからず」


あーそうなんだー

結構特殊な人なんだー


「悪くはないけどなぁ

まだ未成年っぽいし、若すぎるかなぁ

ちょっと嫁には向かないか」


うーん、と悩む王子

セリフと行動を合致させると完全に犯罪者なんだけどね

いやあのドラゴンちゃんにしてみたらやっぱり犯罪者か


「アンタの性癖どうなってんの?」


「ん?オイラの性癖?

いや、まぁ普通だとは思うけどな

ノゾキは悪いとは思ったけど、そこに穴があったら覗くのが男ってもんだろ?」


悪びれることもなくサラリと言いのける王子

ダメだ、なんか話が噛み合ってない


「王子、まずは事情の説明からなさるべきではないでしょうか?」


クレアさんに促され、

「確かにそうだ」と素直に従った

とりあえずあのドラゴンちゃんの邪魔をしてはアレなんで、

少し離れた広い場所に休憩所を設けた



「おースゲーなその腕輪!

なんでも出せるんかよ!」


アーティファクトを使って見せては一々驚く王子

こういうのはあまり見たことがないらしい


「で、まずは依頼内容について詳しく聞こうじゃないさ」


「あぁ、まぁそのままの通りでオイラの嫁探しを手伝って欲しいんだよ

オイラの見立てだけじゃなく、女性の意見も欲しくてさ

やっぱ同性にしか分かんないとことかあったりするんだろ?」


まず同性以前の問題があるんですがそれは…


「えーと、うーんと、そのなんだ

アンタの好みがね、アタシらにはレベルが高いというか何というか」


ラヴィさんの言葉に首を傾げる王子

やはりどうにもさっきから話が噛み合ってない気がする


「あぁなるほど

ワタクシ理解いたしました

…王子、恐らく皆様方は王子が人型なのにドラゴンの花嫁を探すという行為に疑問をお持ちになっておられるのではないかと」


「おーなるほどな!

そうか、それもそうだな!

すまん、そこから説明するべきだったな!」


すると再びノゾキ穴に戻る王子

どんだけノゾキ好きなんだ


「おさかんですねぇ〜」


「説明はどうしたんじゃ?」


すると覗いている王子の体に変化が生じる

頭部にメキメキと二本のツノ、お尻と腰の中心からシッポの様な物も生えてきた


「お待たせお待たせ

いやーオイラ、ロリコンじゃねーから昂らせるのに時間掛かっちまったよ」


「あーなんだろ、今、物凄く嫌なものを見た気分になったわ」


「気分を高揚させんとその姿になれんというわけか」


「これが王子本来の姿?で、ございます」


なぜ疑問形?


「見ての通り、王子は半竜半人の獣人でございまして、

それ故に好みの相手がドラゴンなのでございます」


人がダメな理由が分かんないけど、まぁとりあえず納得しておこう


「それ、アタシら役に立てるか微妙だわ

同族の友達とかとナンパした方が早くない?」


すると王子のツノやシッポがみるみる小さくなっていった

…要するに元気無くなってきた的なやつか


「オイラみたいな半竜半人は珍しくてな

竜の里には一匹もいねーんだよ

王子なんて言われちゃいるが、親父が竜王ってだけでさ

逆に母親が人間って理由で親族からは忌子扱いさ」


そのために普通ならお付きの護衛やら専属のメイドがいるはずの王族でありながら、

一切従えることが出来ず、

誰も仲間とは認めてもらえないのだそうだ

そこでちゃんと竜族として認めてもらおうと、

竜族のメスの花嫁をゲットしたいとの事だった


「なるほどな、派遣メイドを雇ったのもそういう理由であったか

難儀なことじゃな」


「んまぁ、クレアには感謝してるよ

こんな半端者の世話をしてくれてるんだからな」


「仕事ですので」


身も蓋もないなクレアさん

そこは空気読もうよ


「よし、分かった

そういう事なら協力しようじゃない

要は他のドラゴン連中が羨む可愛い嫁を探せばいいんでしょ?

アタシらに任せなさい!」


この根拠のない自信はどうかと思うが、

前向きに協力するラヴィさんの行動力は尊敬できる


「さすがエルフの姉さん!

いや〜人型でもアンタは結構美人でいい奴だと思ってたんだ!」


「やめてくれるかなぁ!アンタに美人とか言われると微妙な気分になるわ!」


ドラゴンのルックスと同格に扱われるラヴィさん

ある意味凄いね


こうしてミーシャ王子の花嫁探しが本格的に始まろうとしていた

目指すは竜族の誰もが羨む可愛いドラゴンの女の子

……物凄く自信ないなぁ



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ