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勇者随行記録 6

なんとも上手くはいかないものだ

そもそもハルカさんが勢いだけで考えた作戦だけあって大雑把過ぎる


地味子ちゃんは現れるものの、私のいる袋小路に追い込めるかというと、

全く思い通りにいかない

ただ一つ分かったこともある

地味子ちゃんは曲がり角を曲がったあと消え、

すぐに別の所から現れている

つまり瞬間移動っぽい事をやっているらしい

………あれ?それって……


「カグヤさん、地味子ちゃんてディメンションブレイカーの子なんじゃないの?」


「で、あろうな

しかしまぁ、とりあえず捕まえん事には話もできんしのぅ」


ここまで追いかけられると「怪しい者じゃないよ」

と、言って信用されるわけもない

なので力づくで捕まえて、誤解を解く他ないというのがカグヤさんの考えだった

……それもどうかと思うけど


「あれまぁ、メンコイ熊がおるね」


油断した

カグヤさんとの通信で周りに注意を向け忘れてた

いつのまにか現れた地味子ちゃんに興味を持たれている

と、いうか随分と言葉が訛ってるな


「あぁ〜モコモコ〜モコモコ〜」


まさかのハルカさんの作戦が成功した

すかさず私も地味子ちゃんをハグして逃さないようにする


「はわ!だ、抱きつかれただよ!

動物に懐かれたのは初めてだよ!」


なんか喜ばれてる


「カグヤさん、捕まえたよ」


私の通信を聞いてみんなが集まってくる

地味子ちゃんは気にせずモコモコの感触を確かめている


「悔しいけどハルカの作戦がハマったわね」


「モコモコですからねぇ〜

仕方ないですぅ」


騎士団を見たらまた逃げ出すかもしれないので、

ラヴィさんたちが騎士団を砦から出るように促した


「はいはい、魔女じゃないからねー

とっとと外出てねー」



しばらくの後、

私にくっついたまま地味子ちゃんをミチルオネェさんの所に連れて行った


「オラの名前はメグルで、す

えと、ディメなんたらとか言われっけども

何のことかさっぱりでぇ」


凄い、本人がディメンションブレイカーを理解してなかった


「しっかし、ディメなんちゃらとか長い名前だからどんなイカした子が出てくるかと思ったら

……随分と予想から外れた子が来たわね」


「エヘヘ、よぐ言われます

オラ、こんな見た目じゃけぇ、横文字とか似合わんとですよ」


「しかし、おぬし

なぜ地下の酒場でなく、一階に出たんじゃ?

酒場に出れば騎士団に追い回されることもなかろうに」


すると地味子…じゃない、メグルさんは左手の甲に埋め込まれた小さな宝石を見せる


「実はこの宝石の力で空間を渡ってくるんだども、

オラが焦ると上手く飛べんとですよ

行くときも寝過ごしたけぇ焦っただよ」


メグルさんの宝石をカグヤさんは食い入るように観察し始め、

とても不思議そうな顔をする


「やはり妾の作ったアーティファクトとは違うものじゃな」


「じゃぁそれはアーティファクトじゃないってこと?」


ラヴィさんの言葉にカグヤさんは微妙な反応をする


「いや、アーティファクトではある

しかしこれは……」


「ロストアーティファクトですねぇ〜」


まさかのエステルさん

メグルさんの宝石がなんなのか知っているようだ


「おぬしなぜその名を知っておる?」


「んん〜なんとなくぅ?」


相変わらずユルい上によく分からない人だ


「で、そのロストなんちゃらってなに?」


「ふむ、ロストアーティファクト

古代文明の遺産じゃな

元々アーティファクトとは今から何億年も前に存在した文明によって作られたものでな

妾たちのようにアーティファクトの開発と研究に関わっている者たちは

古代の文献を元にアーティファクトを作っておる

しかしメグルの持つアーティファクトは古代文明の時代からそのまま現代まで残っている大変貴重な代物じゃ

妾も見たのは初めてじゃ」


「その通りだぁ

代々精霊の広場の住人が受け継いで来た貴重な物らしくて、

オラもジッちゃん死んでから受け継いだんだわ」


そんな大昔の物がよくも今まで残ってたものだ

確かに時空を超えるなんて凄いもの、

今の技術で作ろうと思って作れるものじゃないんだろうな


「埋め込み型でしかも通常では考えられない能力

ロストアーティファクトの中でも文明後期の物じゃろうな

妾ですらいまだ文明前期の初歩の初歩しか解明出来ておらんというに」


「よし、メグル

アンタ、アタシたちの仲間になんなさい」


また唐突にラヴィさんが話を進める


「仲間だか?

う〜んそれは一緒に旅するってことだか?」


うんうんと頷くラヴィさん

かなり本気の勧誘だな


「いんや、それは出来ねぇだよ

オラが精霊の広場から出てってしまったら、

広場の管理するモンがおらんくなってしまう

あそこにはもうオラしか残っとらんでね」


そもそも精霊の広場はかなり前からメグルさん以外の人はいないらしい

そりゃまぁ完全に隔離された空間に存在しているわけなので外部からは入れないし、入った所で出られない

唯一行き来出来るメグルさんだけが精霊の広場の住人になれるというわけで

彼女の家族や親族などはすでに外界へ出ており(宝石を所持していた頃のおじいさんが空間転移で送り届けたらしい)

一緒に暮らしていたおじいさんが死んだことでメグルさん一人になったというわけだ


「ラヴィりんの目的としては、

メグルんの美中年と空間転移が必要なんでしょ?

なら必要な時に呼び出して仕事してもらうなり、お酒持ってきてもらうなりすればいいんじゃないの?」


「そう、それが言いたかった!ナイスミチルちゃん」


ホントかなぁ…

話し合いの結果、さっき私がカグヤさんから受け取った通信機の片方をメグルさんに渡し、

お酒や必要な荷物の配達を連絡を取り合ってお願いする形になった

私たちの移動宿屋はいつどこにいるか分からない

必要な物、欲しい物をいつでも手に入れられるわけでもない

となるとメグルさんの何処へでも行ける能力は私たちの宿屋にはうってつけの能力なわけだ


「なんか面白そうだべ

オラも仕事は欲しかったし、この力が役に立つなら是非やらせて欲しいだよ」


「良かったわねぇメグルん」


メグルさんは快諾してくれた

これで旅の途中で物資が不足しても大丈夫

どっかで遭難しても大丈夫


「所で早速なんだけど、昨晩飲みすぎちゃってお酒が足りません

メグル先生、お願いします王都の酒屋でお酒買って来てください

報酬は特別上乗せさせていただくんで」


全力の土下座

それが目的かラヴィさん

ともあれとても頼もしい配達屋さんが専属契約してくれた

アーティファクトの材料は見つからなかったけど、

今後の宿屋運営にとって大きな収穫が得られたのは大きいね


『どこでも配達屋さんのメグルさんが仲間に加わった』



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