第二歩 車長と文化とのじゃロリと
第二歩 投稿です。文章にするのはとても難しいです・・・
目の前が真っ白に染まる。それから数秒後、その白が晴れる。その先に見たものは、鉄の天井。どうやら俺は横になっているようだった。布が掛けられているところから、ここはおそらく寝床であろう。しかし、普通の寝床とは違いがあった。まず天井が部屋にしては低すぎる。まるで寝るためだけのスペースのようだ。次に横にカーテンらしきものがある。ここが出入り口なのだろう。何より『揺れている』。ガタゴトと音をたてて。
「あれ、ファスティアに送られるんじゃないのか?」
疑問を解決するために俺はカーテンを開けた。すると前には人二人分の歩けそうなスペースとその向かいに今自分がいるようなスペースが縦に二つ並んでいた。
「まるで寝台列車のようだ。とりあえず状況をかくにn」
言葉を言い終わる前にズッとスライド式のドアが開いた。そちらに目をやると、そこには赤髪短髪の筋肉ムキムキのおっさんがいた。
「おお!起きたようだな旅人さんよ!」
低く、大きな声が響く。翔の大声とは違い、とても頼もしいと感じるような声だった。
「はっはっは!もう少し待ってくれよ!旅団と交易の国ファスティアまであとちょっとだからな!」
「ええっと…貴方は?」
「うむ、お初にお目にかかる。と言いたいところだがまずは顔を洗ってこい。寝癖が凄いぞ?」
そう言われ自分の頭に手を置いてみる。確かに髪の毛が立っている…ん?こんなに髪長かったっけ?ああ、長髪のPCになったのかな?
「どうだ?凄いことになってるだろ?早く身だしなみを整えて来い、嬢ちゃん」
「…え?」
「ああ、洗面所は反対のドアの向こうのすぐ右だ。俺はこっちのドアの一番奥にいる。終わったらきてくれ」
そう言いおっさんは行ってしまった。……いや待て、ちょっとまって、え?俺は急ぎ足で洗面所に向かった。
「うそぉ…誰これ…?」
鏡に映っていたのは、自分でも綺麗と思ってしまった長い銀髪。普段の自分よりも少し小さい身長。胸は小さいが明らかに女性としての体。茶色い瞳…これは現実と一緒か。そんな女の子だった。
「確かに翔や仕事仲間にはそのへんの女性より女子力ある。とは言われていたけどさぁ…」
自分のステータスを確認しても『女』と書かれてしまっている。うぐぅ、後で運営にでも聞いてみるか…とりあえず今は、顔の微調整が出来ると言うテロップが出たので調整することに。といっても目の色を青に変えるだけなのだが。
身だしなみを整え、先ほどのおっさんの元へ向かう。移動していて分かったのだがこの施設、いや乗り物は現実での列車にほとんどそっくりであった。しかし途中にあった窓から見た景色は現実のそれとは違っていた。そこには都会の高層ビルも、電柱も存在しない。ただ、広大な平原と向こうに見える緑の山脈だった。遠くを群れで駆けるバイソンのような生物。それを狙うさらに大型の鳥も飛んでおり、ここが現実では無い違う世界なのだと実感できた。
あと、先程から思っていたのだが今の姿と口調が合わないことこの上ない。だが女性の話し方というものがイマイチわからないのである。お年寄りのような話し方は出来るのだが…そういえば。
「のじゃロリというジャンルがあったな…!」
いや正確にはロリでは無いのだけれど…昔は祖父と祖母と暮らしていたからこの話し方ならすぐに喋れるはず!早速おっさん相手に使ってみよう。
「待たせたの」
ドアをノックしてそう言ってみる。意外と…しっくり来た。中から「おう、入っていいぞ」と聞こえたので入る。
「少々待たせすぎたかのう」
「大丈夫だ。女の子は身支度に時間がかかるというもの。気にするな!」
「そ、そうかの。で、さっきの続きなのじゃが、ぬしは一体何者ぞ?」
「おっと、そうだったな。俺の名はガンダル。この魔装列車の車長だ」
「そのマギトレインとはなんじゃ?」
「お前さん乗るのは初めてだったな。魔装列車とは、魔力のこもった石の『魔鉱石』のエネルギーで走る乗り物のことだ」
なるほどこっちで言う蒸気機関車みたいなものか。ただし、外を見たときに気づいたが走っているところは線路ではなく車と同じように地面を走っているが。ん?こっちの文明はどのくらいなんだ?
「ほう、まだまだ聞きたいことがあるような顔をしているな。…よし!ファスティアに着くまでだが俺で良ければ教えられることは教えよう!」
おっと顔に出ていたようだ。ちょうどいいしいろいろ聞いてみよう。
「そうじゃな…まずは――――」
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いろいろガンダルさんから話を聞くことができた。まず文明レベルだが、蒸気機関の代わりとして魔力機関というものが誕生してから15年くらいしか立っていないらしい。魔力機関を使って作られた機械を『魔装』と呼んでいるらしい。さらに街や国家ごとに独自の文明を築いているところもあるらしい。武器の刀や薙刀もその文化で生まれたものらしい。つまり日本っぽい国があるということだ。うん、楽しみにしておこう。
次に、これから向かうファスティアについて。この国は旅団と交易の国と呼ばれており、他国の交易の橋渡しの様な役目がある。つまり、この国が実質流通と適正価格を牛耳っているらしい。といってもちゃんと各国からの了承を受けて仕切っているらしい。
あとは旅団について。某旅団や本来の意味と違って同じ目的を持つ旅人たちの集いなんだとか。他のゲームでいうギルドみたいなものだろう。
「では次は俺の若かりし旅人だった頃の武勇伝を…おっと、嬢ちゃんそろそろ到着するぞ」
「何から何まで世話になったのう。あと、わしはシオンじゃ。」
「うむ、有意義な時間であった!シオンの嬢ちゃんよ、荷物はこの車両のすぐ後ろの車両にある。今のうちに持ってきておけ。」
「わかったのじゃ」
後ろの車両には木箱が積み重なっていた。その一つに『シオン』と書かれた紙が貼ってある木箱があったのでそれを開け装備する。
武器:鉄刀 鉄薙刀 初心者用弓 アイアンナイフ
防具:皮の軽鎧シリーズ(胴)(腕)(脚)
道具:初心者用ポーション×10 呪符(弱)×∞ 呪符×10
金銭:10000クリス
そして装備が終わったタイミングで
「ファスティアに到着したぞー!!」
そして俺は降車口に向かう。降りようとすると、ガンダルさんから声をかけられた。
「まずは『ユニオン』に向かい、旅人として依頼を受けれるように登録してくるんだ。きっと嬢ちゃんの力になってくれるはずだ」
「それはいいのじゃが、名前でよんでくれんかのう…」
「はっはっは!考えておこう!!…さあ、行ってこい。新しい旅人よ」
「うむ!」
こうして女性になった俺はファスティアへと降り立った。
「チュートリアル:『ユニオン』へ向かう を受諾しました」