2016年4月9日
何故、彼女はいなくなったのか_______________。
【現在 2016年4月9日】
温かい風が吹いていた。
俺は母校である高校の門に近づくと、深呼吸をし、ゆっくり足を踏み入れた。
桜が咲き乱れている。
樹齢がすでに半世紀を超えているであろうその桜は、華やかに、また、哀しい気持ちにさせた。
俺はこんなの、望んでなどいなかったのに。
在校生、その保護者、一般人。皆、笑顔でその桜を見上げ、綺麗だと褒め称える。
そうだ。綺麗だ。不気味なほどに。
何もかもを見抜かれている様な気もすれば、包み込まれている気もする。
だが俺は、その桜を見上げ続けることは出来なかった。
下を向く。涙が溢れているのが分かった。
何故、こうなった。
不意に、下に落ちて踏みつぶされた花弁が目に留まる。
数分前までは、咲き誇っていたというのに。
まるで『彼女』を見ているようだった。
(いつか、桜を二人で見られたらいいね_____________。)
彼女の声がこだまして、今でも離れない。だけど、顔はとうとう思い出せなかった。
彼女は綺麗だった。生き様も、毅然とした態度も。
そして、散っていった。
俺たちにテガミを残して。
なあ、気づいてたか?
俺はお前がずっと____________________。
想いを告げることなどなかった。
だけど、今でもその想いを忘れることはない。
涙が次から次へと流れ落ちる。それらは全て土へ還っていった。
悟られないよう、帽子を目深に被った。
哀歌。
お前は俺を、許してくれるか。
俺たちを、許してくれるか。
はじめまして。愛華と申します。まなかです。
占ツクというサイトからの重複作品ですが、それに加筆した形です。
たくさんフラグがありますが、良い意味で皆さんの予想を裏切られる様、頑張ります。
よろしくお願いします。