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魔法少女デュエルブラッド  作者: 伯爵炎(バーニング)
第2話 炎翼の魔法少女
9/16

〈1〉

「-Duel blood wake-up-《デュエルブラッド・ウェイクアップ》!!!」


 宣誓の言葉。運命に否を突き付け、血闘の道を切り開く、炎の言葉と共に。

 セーラの全身は、燃え上がる火柱に包まれる。


 制服が、肉体を縛る枷が、全て灰となり産まれたままの姿に。

 魂の炎の中で、少女は古い己を自ら焼き尽くす。


「くっ……!?」


 対峙する黒崎那由他なゆたが、思わず怯まずにいられない暴虐なまでの炎。

 渦巻き、嵐となり。火が、緋が、夜の廃工場を染め上げる。


 ああ、緋川セーラは今。生まれ変わるのだ。

 不死鳥が、灰の中から甦るように。炎の中から、再び翼を広げるように!


「……燃えろ、アタシの炎ッ!!」


 叫べ。熱く、もっと熱く。

 今までの自分も、世界すらも。


「焼き尽くせぇぇぇぇぇーッッ!!!」


 咆哮。炎が、爆ぜる。熱き業火が天井を、壁を、血塗れの床を舐める。焦がす。


 そして。火炎を引き裂き、現れたのは。


 緋色の瞳に宿すは爆炎。白の長い髪には焔の煌めき。

 黒と真紅の戦闘衣装は、肩の露出した軽装ながら、それゆえに野獣のような闘う者の優美さを備え。

 他方プリーツのミニスカートが、少女らしい可憐さを演出する。


 炎を従え、ドレスのように纏う、赤の魔法少女。

 涙も絶望も焼き尽くす、「炎」という概念がそのまま少女の姿に顕現したような。

 神話の英雄たちと同じく、ヒトの祈りを具現化したかの姿。


 それが。セーラの新たな姿、魔法少女としての姿だった。



 ・ ・ ・



「さあ、開戦の時だ! 100人の魔法少女、勝ち残ったただ一人に『奇跡』を授けよう。その血を、魂を燃やし! 存在の全てを賭けて最強の座に至れ!!」


 高揚した声で、白い獣(メッセンジャー)が朗々と告げる。


「なにがなんだか、わからねーがッ!!」


 炎に彩られた全身を、その掌を眺め回しながら、セーラは。

 2丁拳銃を構えた『蹂躙の魔法少女』黒崎那由他と向かい合う。


「これだけはわかる、この炎は! てめぇを、ぶちのめす力だッ!!」


 鼓動の熱さが教えてくれる。

 これはお前の炎だと。悪を憎み、理不尽を焼き払うことを願う、正義に燃える魂の炎だと。

 固有魔法『不滅の炎(ブレイズハート)』、緋川セーラの精神の火。

 想いに応え、今。暴風となり吹き荒れる!!


着火(イグニッション)、ブレイズハートッ!!」


 拳に炎を宿すセーラを前に。


「あはっ♪ あはははははははーはははははぁ♪」


 血染めの黒いドレスを翻し、黒崎那由他も狂気の高笑いを上げる。


「いいわよ、来なさい、来なさいよ! やっと、やっと、魔法少女を殺せるッ♪」


 解き放つは自らの固有魔法『蹂躙魔弾ジェノサイドバレット』、那由他の知る銃をピストルからマシンガンまで無限に生成する、虐殺特化の邪悪能力!

 拳銃を投げ捨て、より凶悪な! サブマシンガンを2丁両手に構える!

 無論、通常は片手で扱える武器にあらず。

 しかし、これは魔法少女の戦い。魂を糧に奇跡を行使する、超常の戦士の激突である。

 世の常識など捨て去るべし!!


「あははぁ♪ いい声で! 鳴かせてあげるわ♪」


「……やってみろッ!!」


 炎を引き連れて、今。緋川セーラは駆け出した。




 



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