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魔法少女デュエルブラッド  作者: 伯爵炎(バーニング)
第2話 炎翼の魔法少女
15/16

〈7〉

「黒崎、那由他なゆたッ……!」


 聖良セーラは思わず、1-3の教室に飛び込んでいた。


 集まる視線。

 けれど、気にしている場合ではない。


 朝の教室で、クラスメートに囲まれている、気弱そうな少女。

 眼鏡を掛け、おどおどした態度の少女。


 だがその黒髪は、闇色の瞳は、紛れも無く。

 昨夜、セーラが廃工場で死闘を繰り広げた相手。追おうとしていた殺人鬼。

 ……「蹂躙の魔法少女」黒崎那由他だった。


 椅子に座ったままの彼女へ、教室の中をツカツカと歩いて、セーラは詰め寄る。


「え、ええと……」


 周りの女子が零す、戸惑いの声。


「どうかしたの、緋川さん?」


 無理もない。傍目には、気弱な女子生徒に不良が絡んでいるようにしか見えないだろう。


「おい。なんでお前、学校にいる……!」


 机をバンと叩き、狼の唸りのように低く問いただす。


 いや、セーラとて想像もしなかったわけではないのだ。

 黒崎那由他が同級生、それも同じ公立美咲台高校の生徒であることは予測していた。こうして遭遇する可能性も。


 それでも昨日の夜の、悪しき魔法少女……血の匂いがする黒ドレスの女が、こうして日常に溶け込んでいることに、セーラは背中へ、冷たい汗が伝うのを感じずにいられない。


「お、なんだなんだ、殴り込みか!? よっしゃ手伝うぜセーラ!」


「……その子がどうかしましたの?」


 1-3教室の入り口で、親友の結子と文香が覗き込むが、


「……ふふ」


 身を硬くするセーラへ、艶然と微笑んだのは黒崎那由他だった。

 一瞬、あの殺戮者と同じ危険な光が瞳に。


 けれど次の瞬間には、無害な少女の顔で、にこやかに周りへ、


「心配しないで、皆。緋川さんはね、私が学校休んでる間、心配してくれてたの。こうして復学すること言ってなかったから、驚かせちゃったみたい」


 周りの生徒が、安堵のため息をつく中。

 射殺す視線で睨んだままのセーラの耳へ、那由他はそっと唇を寄せて。


「……そんな怖い顔しないでくれる?」


 弄ぶような、歌うような口調で告げた。


「昼休み、屋上で待つわ」


 

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