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魔法少女デュエルブラッド  作者: 伯爵炎(バーニング)
第2話 炎翼の魔法少女
14/16

〈6〉

 明くる日、公立美咲台高校。

 今日も鋭い眼光で男子に怖がられながら登校してきたセーラは、1年の廊下で。


「なーなーセーラぁ! Fa〇eの新しいアニメ見たか!? まだか!? 観賞会しようぜ、文香ん家のでけーテレビで!!」


 親友の葉住結子はずみゆうこに、後ろから抱き付かれ、喚かれる。


「だから、声がでけーんだよ、ゆーこは!?」


 ……周囲からは、「え、女番長がアニメ?」とか、「やだ、イメージと違うわ。ショック……」等の勝手な声が。

 かなり恥ずかしい。脱色した長い髪に、おへその見える改造制服と不良スタイルのセーラ。クールな一匹狼イメージを売りにしているだけに、ダメージは大きい。


 赤面しながら、結子の口を手で抑える。


「いいか、ゆーこ? アタシは確かに魔法少女好きだが。別にアニメ全般好きとかじゃねーからな?」


 2次元に憧れているのではなく。正義のヒロインに憧れているのだ。間違えてほしくない。


「にはは、いいじゃんさ別に。バトル物、セーラも嫌いじゃないっしょ?」


 腕を頭の後ろで組んで、能天気に笑う結子。彼女は、漫画、ゲームなど大好きだ。

 小柄ながら快活な、元気の塊のような少女なので、あまりオタク的なイメージはないが。漫研の一員だったりする。

 オープンな性格の結子らしく、好みはカラッと明るいバトルアクション。


(……アタシが魔法少女になったと知ったら、どう思うかな?)


 ふと、セーラは思う。

 遊びではないのだが。魔法少女に変身し、悪の魔法少女……黒崎那由他を追う。

 結子の好きそうな展開だ。


「お、なんだセーラ? あたしの顔見つめちまって。にはは、あたしに惚れたかー?」


 からからと笑う結子に、軽くチョップしながら、


「はいはい、愛シテルヨー。私緋川セーラは、ゆーこさんにベタ惚レデス」


 心のこもらない愛の告白をしてやるのだが、


「そ、そんな。二人はいつの間に、そんな関係に……!?」


 ちょうど登校してきたもう一人の親友、澤部文香さわべふみかに、ばっちり聞かれてしまった。


「セ、セーラと結ばれるのは私と信じてましたけど。し、しかたないですよね。結子の幸せのためなら、私、身を引きます……!」


 長い黒髪を乱し、よよよ、と泣き崩れる文香。


「おい、ふみかが妙な誤解してるぞ?」


「にっしし、さすがセーラ。モテる女は辛いですなー♪」


 ふう、とため息をつく。


「もう黙っててくんない?」


 ・ ・ ・


 そして3人で仲睦まじく。戯れ合いながら教室へ向かう。


 と、隣のクラスの教室前を、横切った時だった。

 ふと、女子生徒達の会話が、セーラの耳に入る。


「ああ、黒崎さん! 久しぶりね!」


「3か月ぶりだっけ。もう大丈夫なの?」


 黒崎。……黒崎!?

 その名に、セーラは凍り付く。


「……大丈夫よ。もう、落ち着いたから」


 聞き覚えのある声。そうだ、忘れられるものか。

 つい昨夜、命の遣り取りをした相手の声を。


 隣のクラス、1年3組の教室で、女子生徒達に囲まれているのは。

 眼鏡を掛けて、気弱そうな印象の少女。

 だが、その顔立ちは間違いなく。


 「蹂躙の魔法少女」黒崎那由他だった。




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