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魔法少女デュエルブラッド  作者: 伯爵炎(バーニング)
第1話 - Duel blood wake-up -
1/16

〈1〉

 世界を、焼き尽くせ。


 悲しみの涙も、理不尽な現実も、必死の生を嘲笑う者達も。


 全てを、この胸の炎で。


 - Duel blood wake-up -



 ・ ・ ・



 その少女、緋川聖良ひかわセーラは目付きが悪い。


 加えて長い髪の毛は脱色済み、へその見える改造制服、鎖や十字架などのアクセサリー。


 有り体に言って、不良にしか見えない。


「ひ、緋川だ……!」


「目を合わせるな、潰されるぞ……」



 朝の始業前、高校の廊下。男子達は皆、セーラから視線を逸らす。


「……おい」


 口を開けば、ぶっきらぼうな声。


「ひ、ひいっ!?」


 セーラは、整った顔立ちを手近な男子に近付ける。


「なんで、アタシと目を合わせねえ」


「な、なんでも言うこと聞きます! だから命だけは!?」


 悲鳴を上げる男子、その姿を遠巻きに見守りながら、ささやく声。


「な、なんてヤバい目付きだ。あれは、何人も殺ってる目だぜ」


「あいつ一人で、100人の暴走族を潰したとかって聞いたぞ、俺は」


「いやいや、マフィアに殴り込み掛けて乗っ取ったなんて噂も……」


 セーラは、眉をひくつかせた。


(どいつもこいつも、勝手なコトを……)


 もちろん、全部根も葉も無い噂だ。

 髪やファッションは、確かに校則違反。

 だが、これでも警察官の娘だ。授業も真面目に出てるし、成績だって悪くない。


 だのに、過剰に恐れられるのは。


「目が、目が怖い! 石にされるーッ!」


「アタシは怪物か!?」


 そう、この凶悪な眼光が理由。

 ビーム出せそうとか! 野獣の目だとか! 親しい友達にさえからかわれるレベル。


 緋川セーラ。16歳の高校一年生。


 容姿は、恵まれていると言って良い。すらりとした体躯に、胸も小さくはない。


 事実、街中で「君、美人だね! モデルやってみない?」などと声を掛けられるのも日常茶飯事である。


 しかし。


(そんなに、私は目付きが悪いのか……)


 街中で視線を合わせれば、子供は泣く、カラスも野良猫も逃げ出す。


 声を掛けてきたスカウトも「そ、そんなに睨まないで! 冗談だから! 命だけは許してぇ!?」と土下座してくる始末。


(……本当はモデル、興味あるのに)


「いいか、おい?」


 未だに怯える男子の首根っこを掴み、周りの男子にも聞こえる声で。


「アタシは眼からレーザーも出ないし、ヤクザもマフィアも潰してない。善良な、平凡な一高校生だ。いいな?」


 ゆっくりと、優しく言い含めたつもりだったが。

 その強烈過ぎる目力に男子は泣き叫びながら!


「わ、わかりました! 女番長ぉぉッ!!」


 セーラにとってのNGワードを口にしてしまう。


「だっ……」


 これから起こる惨劇に、目を背ける周囲。


「誰が、番長だぁーッ!!」


 そして炸裂するは、必殺の頭突き、人呼んで「ダイヤモンドブレイカー」!


「ぎにゃあぁぁー!?」


 セーラに地位を脅かされると勘違いし挑んできた、この高校の不良生徒達を、ことごとく血の海に沈めた魔技、その威力に校舎が振動する!


「ったく。次に番長とか呼んだら、命は無えからな?」


 しゅぅぅ、と額から煙を立てて、床にめり込む男子を置いて、セーラは去る。


 後に残された者達は、ただ息を飲み、惨劇の跡を見守るばかり。


「いや、これ死んでるだろ……」

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