濡れ衣と生贄人形①
大内に生活指導室に連れてこられた一輝
大内は一輝をイスに座るように命令する。その後、少しだけ無言になり、一輝が何故こんなにも空気が悪いのかと考えていると
「相川…一昨日の18時頃はどこにいて何をしていた?」
重苦しく体育教師はそう一輝に質問する。
一樹は何故『一昨日の18時頃なのだろう』と答える前に考える。
勿論一輝はその日、学校にもでていないし外にもでていない。
八橋からの電話もあったが、ただの学校に来いという電話だった。
「大内先生、その日のその時間は家で忍とゲームをしていました」
「何故そんなことを聞くのですか?」
と一輝は大内に恐る恐る質問する。
その質問を聞いた大内は答える。
「ここからは下手すれば退学になる可能性のある話だ
嘘は言うな、罪が重くなるだけだからな」
と一輝に警告する。その警告を聞いた一輝は一瞬だけ動揺する。
「罪?退学?一体何の話をしているんですか?」
「お前が犯人の可能性があるということだけなんだが
相川、お前は公金堂って駅前の店を知っているか?」
「ええ…行った事はありませんが、名前だけなら知っています」
大内から聞いた話では公金堂とは駅前にある言わば骨董品と雑貨屋が混じったようなお店との事だ
前にも泉から聞いた話だが、そのお店には何百万もする骨董品が沢山あるらしい
同じクラスの赤波江の家でもあるとの事だ
「公金堂…もしかして何か凄く高価な物を?」
「盗まれたわけじゃない、ここの制服を着た人物に
壊されたんだ、そしてこんな物を落としていった」
大内は手帳を見せてくる。
それは2週間前に無くなった一輝の生徒手帳だった。
「これ僕の生徒手帳じゃないですか!!」
「ああ……しかもお前が無くして盗難届けを出すハメになる物だ」
「……どういうことでしょうか?」
一輝は大内の発言に違和感を持った。
(盗難届けを出すハメになる物?どういうことだ?)
「すまんな、説明が不足していた。
簡単に言うとお前が無くした物がそのお店で見つかったわけだ」
「それって……!!」
「ああ……お前が犯人でないかは一応聞いただけだ」
「僕の紛失した手帳はおとしたのではなく?」
「確実に盗まれたんだろうな
手帳は持っているか?」
一輝は生徒手帳を胸ポケットから出す。
「あの店には監視カメラもあってな、
俺も見たが体系がお前より少しガッチリしていた」
「そして僕は新しい手帳を持っている……ですが、
僕が無実な事が確定してないのでは?」
「そこなんだが、実は篠原にお前のアリバイを聞いたんだ
そしたらお前と同じ事を返されたよ」
「なるほど…では何故生徒手帳が古いものだと?」
「実はな、ここの学校の手帳は生産番号が隠して書いてあるんだ
以前無くした風に偽装して2個手に入れてまで犯罪を行った生徒がいたからな…だがお前は校内で無くし、そのまま俺に報告した。律儀に鞄の中身を調べさせたりやボディチェックをさせてな」
なるほど、と納得する一輝だった。だが一輝は疑問が3つほどあった。
1つ目は何故、自分(一輝)が準備をしてまで犯行を行わないと言えるのか?
2つ目は手帳を盗んでまでの計画的な事件を行う動機
3つ目は器物破損罪という重い罪なのに、大内先生だけなのか?
一輝は考え込む
(1つ目は似たような答えを返されるだろう、それに確証もあるみたいだし…いいか
2つ目は犯人がわかればどうにでもなる。3つ目は……今聞いてみるか)
「大内先生、こんな大事件なのに何故他の教師はいないのですか?」
「それなんだが、色々あってな……」
大内は言葉を濁らす。何か言いたくないような感じが一輝は感じ取った。
「何か言いたくない事でも?
別に言うだけなら問題ないと思いますよ?」
一輝はその理由がわかっていたが、それでも大内に質問する。
すると大内がその理由を述べる。
「実はな……この件は教師なら全員しっているんだが……
お前の事を嫌ってる数学教師の竹田がお前の事を犯人扱いしてな……
一応まだわからないと言ったんだが……なんというか……
話を聞いてくれなくてなお前に好意的な担任の田中先生や
国語教師の森永先生はお前の事を庇ってくれていたがな」
「それから何があったんです?」
「職員室で3人が口喧嘩を始めてしまってな、そこで俺が
埒があかないから俺が責任もって解決すると言ってしまってな」
「そんな事があったんですか」
「まあそういうことだ」
3つ目の疑問は解決したな…
と一輝が考えていると生活指導室のドアが開く、そこに1人の女子と2人の男子が立っていた。
長く書いて疲れました(こなみかん)