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閑話:マミィ視点

 我が国に待望のお姫様が生まれた。これまで王室には3人の王子がいたが、姫は1人もおらず、是非次はお姫様が欲しいものだと期待していたこともあり皆とても喜んでいる。


 もちろん王子だったとしても新たな家族が増えることは大変喜ばしいことであり、分け隔てなく可愛がったのだろう。しかし、待望のお姫様ということで私たちにはさらに嬉しさが募っていた。



(ああ、女の子というものは、皆こんなにも可愛らしいものなのかしら)



「あうぅ~」



 私が産んだ娘、レティ。彼女は大きな瞳をクリクリさせて辺りをキョキョロしている。親の欲目というものなのかもしれないが、乳児にして既にその美貌は際立っているように思える。この娘は将来とんでもなく美しい娘になるだろう。今からその成長がとても楽しみである。



「もう、レティちゃんたら、そんなに動かないの! おむつ変えられないでしょっ」



「あうぅ」



 しかし、心配なことがある。この子は赤ん坊だというのに夜泣きをまったくしないのだ。夜泣きどころか、まったくといっていいほど泣くことがない。心配になり医師に診てもらったが、体のどこにも異常はなかった。ミルクを与える時も、寝かしつける時も、ほとんど愚図りもしないので、この子の育児にはまったく手がかからない。それどころが、すでに私たちの話す内容を理解しているかのようで、とても聞き分けがよい。王子達を育てた時とは大違いである。



(男の子を育てるのはあんなにも大変だったのに、女の子ってこんなに大人しいものなのね)



「はーい奇麗にしましょうね、本当にレティちゃんは泣かなくてえらいでちゅねぇ~」



「むぅ」



 あまり表情がないこの子の喜怒哀楽はよくわからないのだが、おむつを取り替える時だけ少し嫌そうに抵抗する。 



(おむつが蒸れて気持ち悪いのかしら?)







 レティのおむつを替えていると、陛下がやってきた。そして、いつもの如くレティをあやされる。



「レティのおしりはプリプリで、かぶりつきたくなるくらい可愛いなぁ」



 陛下ははじめての娘に嬉しさを隠せないご様子である。王子達のこともたいそう可愛がっておられるが、その比ではないほど娘を溺愛している。娘をもつ父親というものは大抵このように親バカになるものなのだろう。いつも暇を見つけてはレティの様子をみにきている。




 そして、今日は陛下に連れられて王子達もやって来たようだ。





「この娘が僕らの妹なんだね」



「……天使」



「ちっせー」





 3人とも目を輝かせながらレティをみている。




(ふふ、この子達もはじめての妹に興味津々みたい。いいお兄ちゃんたちになってくれるといいわね、レティ)







 家族みんなでレティを見ていると、レティは、私たちに向かって――――














「こちぃみんにゃー」












 『こんにちは』、と言った。たぶん。













 ああ、もうちゃんと挨拶ができるなんて! この子は将来、美しく賢い素晴らしいお姫様になるに違いないわ!

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