表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
創世のアダム ―滅びの迷ヶ平―  作者: 事業開発室長


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

5/5

第5話「新世界のアダムとイブ ― イブ再誕 ―」

※この作品は全5話構成です。本話はその最終話になります。


次に気がついたとき、俺は作業台の前に立っていた。


右手には、いつも使っているプラスドライバー。

左手には、見たこともない金属片――恐らく古代文明の機械の一部。


作業台の上は空だった。

代わりに、目の前には巨大な装置が鎮座していた。


トラックほどの大きさ。

前面には球体の透明キャノピー。

内部は淡い光を帯びた液体で満たされ、

その奥では”何か”が脈動している。


「……これは」


言葉が続かなかった。


『それは、あなたが完成させた製造機械です。

 あなたは今、私の本体の内部にいます』


頭上のスピーカーから、いつもの無機質な声が落ちてくる。


「あなたは私の委任(せいぎょ)を受けて無意識下で作業をしていました。

 私の器を構築するために」


俺はゆっくりと装置に近づいた。


キャノピーの向こうで、液体の中に“形”があった。

最初は塊のように見えたそれが、

次の瞬間には胎児の形を取り、

さらに目を離す間に、


子供へ、少女へ、

そして――成人女性の姿へと変わっていく。


時間の感覚が狂う。

呼吸を忘れる。


―こんな明らかなオーバーテクノロジーを、俺が作ったって?


『私は自分の器を作る技術を持ってはいます。

 しかし、製造機械を作ることはできませんでした。

 だから、適合者であるあなたを()()()()()


淡々とした説明が続く。


『あなたは怠惰に過ごすことも厭わず、

 無意識下の制御にも耐性がありました。

 文明を滅ぼさないための資質も持っています。

 技術的にも、生体的にも、そして精神的にも

 あなたは“アダム”として適合しています』


その言葉が終わると同時に、

装置の内部で小さな音がした。


液体が静かに引いていく。


――カチッ


キャノピーのロックが外れる音がして開き、

中から女性の身体がゆっくりと姿を現す。


濡れた髪が肩に落ちる。

白い足が床に触れる。


彼女は、まるで重力や感触を確かめるように、

ゆっくりと一歩を踏み出した。


俺は動けなかった。


彼女が、こちらに手を伸ばす。


その指先が触れた瞬間――

温度があった。


金属でも、人工物でもない。

確かに“生きている”ものの温度。


その温度が、

世界の終わりと始まりの境界線を示していた。


俺はただ、その手を受け取った。


スピーカーは沈黙していた。

代わりに、目の前の彼女が静かに口を開く。


「……私はイブ」


透明、だけどどこか人の声とは違った静かな声。


「あなたがアダム」


そして、ゆっくりと微笑んだ。


「ここから――新しい人類を作りはじめましょう」


――第1章 完。

最後までお読みいただきありがとうございました。

評価や感想を頂ければ励みになります。


続きが読みたいという声をいただけた場合は、

短い形になるかもしれませんが、続編を書くことも考えています。


ただ、物語の方向性はいくつかの案を検討している段階です。

ご希望の展開とは違う形になる可能性もあります。


もし雰囲気が合うようでしたら、

こちらとはまったく別ジャンルになりますが、

別で連載している異世界作品も読んでいただけると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ