エピローグ
ほのぼの恋愛系だよー
男は笑っていた。美しい女の死体の横で一人笑っていた。
うれしいのだろうか女を、実の妹を殺したことが。いや違うそれならーーー
1943年ドイツとイギリスの戦争は核兵器がロンドンに落とされたことでイギリスは降伏。日本はドイツ空軍を援護し真珠湾に原子爆弾を投下することでアメリカは戦意を喪失し、ベルリンでトムスク会談を行い、連合国の敗北を認めた。1944年中華民国はドイツ、ソ連、日本により支配され満州合衆国が成立。
1960年ソ連は崩壊し西部をドイツに支配されその他の国は独立した。
1980年アメリカを中心として連合国会議が結成され枢軸国の支配されていない国との連結を強化した。
1991年アメリカが月へ到達。
2010年枢軸国と連合国会議が冷戦の終息を宣言。
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2123年現在
いつも通りの訓練、授業、普通の日常に何か、小骨が刺さったような違和感を覚える。
ロボットでできた教師、志願しここにやってきた。日本軍特別作戦群、大和部隊に入るためにここに来た。
微笑みながら頭をなででてくれた父さん。見送りの時に泣き出した母さん。それでも大和部隊に入りたかったのだ。7歳のころにここにきて人生の半分以上をここで過ごしている。国のために日本のために。ーーーだったはずだ。
「国のために命を捧げる!千の敵を打ち倒す神風となれ!、、なんてこと考えてないでさ、天城君。
授業くらい真面目に受けようか?」
呆れた顔を覗かせながら長い黒髪を片手で抑えながら「傾国の美少女」とクラスの男子、赤城や桜井あたりに騒がれている顔を覗かせながら、講釈を垂れるのは「霧島春名」ここ「ラロトンガ軍用養育施設」の次席。(主席は私だ)霧島家の御令嬢だ。彼女ほどの美貌、才覚を持ちながらなぜここを選んだのだろうか。霧島家は止めただろうに。
「あのね?天城君私は授業くらい聞こうといいましたね?」
椅子に座っている少女は態度を変え天城のほうへ距離を詰めた。後ろの席の男女がひそひそと話し出したことなんか彼女には関係ない。彼女には興味のないことなのだ。
霧島の面接官のような態度に若干の抵抗がありながらも天城はいつも通り、てきとうに答えることにした。
「全くもってその通りだ霧島さん。僕の負けだ許してくれないだろうか」
少女は一瞬呆れた顔を作り、男に対する不満をぶちまけようとしたがやめた。少女にとって、既にそんなことはどうでもいいからだ。
「127回。なんの数字かわかる?」
「君の振られた回数だ。」
即答した男はかすかな違和感を覚えた。
「何かがあと127回の鼓動の後この校舎を襲う。」
予想していた回答とは異なり返ってきた回答は最悪の二つ上の回答だった。彼女の感はよく当たる。
よく当たるなんてものじゃない、予知といってもいいかもしれない。
だからこそ天城のした行動は迅速だった。
「いくぞ!」
席を立ちあがり霧島の左手を乱暴につかんだ天城は、驚く霧島、静止を促す教師。困惑の目で見つめる同級生を無視し教室を自分でも驚くほどの速さで走り抜けた。
「天城君なぜ、彼らには伝えなかったの?ここから出ろって」
霧島は困惑の目で息一つ切らさず時速60メートルほどを天城と共に東玄関に向かって長い廊下を走っている。無自覚なのがおそろしい。
「彼らに話したところで理解できないだろうし時間の無駄だ。それにーー」
後に言葉は続かなかった。恐れていた予想が当たったようだ。どうやらは鼓動というのは我々の鼓動の速さらしい、息が切れてないとはいえ、かなり鼓動は早くなっていたはずだ。自分たちのいた教室のほうで妙に低い黒板をひっかいたような音が聞こえ、非常ベルの不気味な音が鳴り響いた。
ガラスが割れる音も何かが破壊される音もなく、防壁への攻撃を感知し鳴るベルが今なった。つまり「なにか」は日本軍最高峰の防衛システムを無力化したうえで侵入したのだ。