第48話 ブライヴ
アジェントが話に出していた息子とはブライヴのことであり、少年は冒険者になって世界中を旅することが夢だった。
ヴァラーたちは二年ほど前にこの村へ訪れたことがあり、剣の素振りをしているブライヴに稽古をつけてあげたことがきっかけで尊敬され懐かれるようになったのである。
同じ町や村を何度も行き来するような旅ではなかったのだが、ブライヴから旅に連れて行ってほしいと頼まれヴァラーが安易に"成人したら連れて行く"と約束をしてしまい、数ヵ月に一度こうやって村に顔を出していたのだ。
そして今回は約半年ぶりと最長で顔を出していなかった。
だからこそ、ブライヴの体付きが背丈の成長も相まって立派に見えたヴァラーは、感心するようにブライヴを見つめた。
「ブライヴ、逞しくなったね。ずっと鍛錬を頑張ってたんだろ? 偉いね」
ブライヴは半年ぶりに出会った尊敬するヴァラーから褒められ、喜びが隠し切れずに頬を赤く染める。
「兄さんにそう言ってもらえて、嬉しいです。俺、俺……」
そして――
「頑張ったんですよぉぉ~、もっと褒めてくださぁぁ~い」
犬が尻尾を千切れんばかりに左右に振るかのように、体をくねらせてヴァラーの腰に抱き着いてきた。
大人が行ったら通報案件であり、少年であるブライヴだから許されるであろう奇行に、ヴァラーは優しく微笑みかけて頭を撫でる。
「そうだね。きっと俺が思ってる以上に頑張ってるんだよね。偉い偉い」
「んんんんーーーー!!!!」
ブライヴはヴァラーの腹に顔を埋めて声を殺しつつ喜びを露にする。
ブライヴの奇行になれていたグリートとフレンドはヴァラーのように暖かな目を向けていたが、初めて見る二人、ガオは仮面で見えない眉間に皺を寄せる。
「二人は兄弟なのか?」
「いいえ、違いますよ。嬉しいことに、ブライヴが俺を慕ってくれているだけです」
ガオが人間とはそういうものなのか? と曖昧なまま納得していると、もう一人のブライヴの奇行を初めて見る少女、アンジェルは黒目を小さくし汚物でも見るかのようにドン引きしていた。
「キモッ……」
ブライヴはアンジェルがポロっと漏らした言葉を聞いて見たことのない二人がいることにやっと気が付き、声の主と思われる少女を睨みつけるように目を細める。
「兄さん、そちら背の高い御仁と、虫のように小さいガキはどなたですか?」
「ガオさんとアンジェルだよ。これから長い付き合いになるかもしれないから、仲良くしてくれると嬉しいんだけど……」
ヴァラーはアンジェルがブライヴに発した言葉を聞き逃すことはなく、二人の関係性にヒビが入らないか冷や汗を流す。
しかしヴァラーの気持ちなど露知らず、お互い既に視線をぶつけ合い火花を散らしていた。
アンジェルはこの三ヵ月で自身の非力さを痛感しており、例え話であったとしても虫扱いされたことで自尊心の欠如に拍車をかけていた。
しかし自分を馬鹿にしていいのはヴァラーたちであり気持ち悪い動きの同年代の子供は許せず、大きな瞳に闘志を燃やす。
「何よ! 気持ち悪い動きしてるから、そう言っただけでしょ! というかあなた、旅に連れて行ってもらえてないみたいじゃない。私は三ヵ月も一緒に旅してきたところだから、疲れちゃった~」
”尊敬するヴァラーたちと旅をした、しかも三ヵ月も”
ブライヴはヴァラーと久しぶりの再会で変な動きをしてしまったが、鍛錬を欠かさず真面目で我慢強い子なのでこの発言だけならまだ耐えられた。
しかし、その発言の主は見るからに強そうな大男であるガオの肩に乗せてもらい、如何にも楽をしていそうなちんちくりんな少女である。
手に肉刺ができても日々汗水流して励む自分ですら一度も連れて行ってもらったことがない。
ブライヴの感情が妬み、嫉みとともに怒髪天を衝くことは仕方がないことであった。
「三ヵ月も兄さんたちの旅にお供したのなら、ちゃんと学びを得たのでしょうね? まさか、子守してもらってばかりで、何も身に着けていないどころか、役に立っていない、あまつさえ足手纏いであるはずがありませんよねぇ??」
「……ガオさん、下ろしてください」
アンジェルはガオから下ろしてもらうと、悔しそうに歯を食いしばり自身の裾を力強く握って、
目尻から涙をツーと頬に流す瞳でブライヴの瞳を正面から見据える。
「そうだよ、私、足手纏いだったの、だからみんなと、もう、離れ離れなの……」
先ほどのブライヴ発言は丁寧語が含まれていたとはいえ、感情の爆発が抑えきれず口調は少し強く厭味ったらしかった。
しかしアンジェルが涙を流した理由は、自身の不甲斐なさからくるものである。
ぐすっぐすっと鼻をならして涙を流すアンジェルに、ブライヴは毒気が抜けて眉尻を下げ、自責の念に駆られるように目を細める。
「ごめん、ちょっと言い過ぎた……」
「ううん、いいの、あなたが正しいから……私の方こそ、気持ち悪いとか言って、ごめん」
止まらぬ涙を袖で拭って必死に言葉を紡ぐアンジェルに、ブライヴはなんと返せばいいかわからず目を伏せる。
そんな二人の頭を大きな掌がわしゃわしゃと優しく撫でる。
「二人は優しいな……その小さな体の中に、大人にも負けない意思を持っている」
二人は頬を僅かに赤く染めて、照れくさそうにガオの目を見つめる。
「悪いことをしたんです、謝って当然です」
「そうですよガオさん。普通です」
「そうか普通のことか。だったら二人はもっと凄いな」
ガオは二人を抱きかかえ、それぞれ左右の肩に乗せて立ち上がる。
「俺が今まで会って来た者たちは人に限らず、普通のことを普通にできる者なぞあまりいなかったぞ。素直に謝ることが普通のことだと言える、そして実行できる二人は、優しいだけじゃなくて、強くもあるんだな」
「そ、そんなこと、兄さんに教えを乞う者として、あたりまです」
ガオの褒詞に胸を張るブライヴに対して、アンジェルはまたも俯き、ごにょごにょと力なく言葉を吐露する。
「ガオさんの言う強い人だったなら、私は置いていかれたりしませんよ……」
悔しそうに、そして無気力に目を伏せるアンジェルに、ブライヴは今まで気になっていた疑問を投げかける。
「兄さん、先ほどから言っている離れ離れとか、置いていかれるって何のことですか?」
「明日、アジェントさんご夫妻にお時間をいただけることになったんだ。ブライヴにも関係があることだし、そのとき一緒に話を聞いてくれるかい?」
「はい、兄さんの頼みであれば……」
ブライヴは影が射し浮かない顔のヴァラーに憂いを帯びた顔で頷き返す。
普段、ヴァラーたちが村に来た日には寝かせまいと旅の話を夜中まで聞きたがるブライヴであったが、この日は話をせがむことなく母の許へと案内し久しぶりの会話を聞き届けると、男女別で空き部屋を二つ用意して案内を済ませ、一人で鍛錬を再開した。
夕方になり父が帰って来てヴァラーたち含めた八人全員――といってもガオは仮面を外せないのでみなが食べ終えるのを待って部屋に持ち帰り一人で食べたようだが――で食卓を囲んだ。
改めてガオとアンジェルの紹介があり父と母は楽し気にヴァラーたちと話していたが、ブライヴはアンジェルの様子が気になり思うように楽しむことができなかった。
▽
翌日。
ブライヴは午前中に日課の筋力トレーニングを行い、軽く汗を拭いて昨晩と同じように全員で昼食を取り終えたあと、ヴァラーから頼み事の件について話があると聞かされ全員で机を取り囲んだ。
話の内容は二つ、
アンジェルの村が襲われた過去と、アンジェルを成人するまで預かってほしい旨についてだった。
アジェント夫妻は最初、困ったようにお互い視線を交差させていたがブライヴと三人で話がしたいと別の部屋に移動した。
十分ほど経って帰って来ると、三人は快くアンジェルの扶育を引き受けてくれた。
当の本人であるアンジェルはというと昨日とは打って変わって泣くことなど一切なく、常に顔を上げ視線を三人に向けて姿勢を正していた。
扶育が決まったときは六歳の少女とは思えないほど恭しく片足を後方内側に引き、膝を軽く曲げてスカートの裾を持ち上げて小さくお辞儀をした。
きっと昨晩の内に覚悟を決めていたのだろう。
話がひと段落しかけたところで、ヴァラーが腰下げ袋から養育費として"少し足りないかもしれませんが"と枕詞を付けたあと、純金貨百枚はくだらない指輪型の魔道具をアジェント夫妻に手渡そうとした。
しかしそんな高額な物は受け取れないし子供一人分増えた程度大丈夫だと受け取りを拒まれる。
それならばとヴァラーは純金貨二枚を手渡した。
アジェント夫妻はそれの受け取りも拒もうとしたが、半強制的にヴァラーから渡され礼とともに受け取った。
話し合いが終わりこれでヴァラーたちの不安の芽は取り除かれたのだろうかとブライヴはヴァラーたちの顔をそっと覗き見るがアンジェルのことが心配なのだろう、普段通りの微笑みは影が射していた。
そしてそれはアンジェルにも言えることであった。
尊敬するヴァラーたちはもちろん、出会ったばかりとはいえ自分より小さなアンジェルにもそのような顔をしてほしくなかったブライヴは、木剣を二本道具箱から取り出し一本をアンジェルに手渡す。
みなが何事かと見守る中、アンジェルは訳も分からず木剣を受け取るとブライヴに手を引かれて庭に出た。
庭に出たブライヴは初めて見たときのように木剣で空を斬り、素振りを始める。
「え゛い! え゛い! え゛い!」
ブライヴは三回ほど木剣を振ったあと、アンジェルに向き直る。
「今の見てたか?」
「えっ、うん……」
アンジェルが困惑顔で頷くと、ブライヴはアンジェルが片手で持っている木剣を両手で握らせて少し距離を取る。
「じゃあ、やってみな」
「えっ!? 私、剣使ったこと無いけど……」
「大丈夫だから、ほら」
アンジェルは剣など振ったことがなく、見ていたからとできるはずもないと眉尻を下げて助けを求めるようにガオたちの方へ視線を向けるが、みな静観を貫きブライヴは素振りをするように促す。
「わかった……」
ブライヴの意図が汲み取れないがアンジェルは見たままを意識して木剣を三回振るって見せた。
「えい! えい! えい!」
ブライヴは眉間に皺を寄せ真剣な面持ちでアンジェルの素振りを見たあと、自分で木剣を持って構えて見せる。
「握りが弱いからもっと強く握ろう。じゃないと落としちゃうし、魔物にダメージを与えられない。それと腰を少し落とそう、踏ん張りが利きやすくなる」
「でも私、魔物と戦えないよ……」
突然始まったブライヴからの指導にアンジェルは一層困惑の表情を強める。
「強くなりたいんだろ?」
ブライヴの一言にアンジェルは息をのみ目を見開き、その大きな瞳に赤い闘志を燃やす。
「うん!」
「じゃあ、一緒に頑張ろうな」
ブライヴは木剣を握る手に力を籠めてアンジェルに微笑みかけた。
「え゛い! え゛い! え゛い!」
「えい! えい! えい!」
ヴァラー、グリート、フレンド、ガオの四人は目を和らげて、声を張り上げ木剣を振るう二人の許へ歩を進めた。
「ブライヴ! 久しぶりに稽古つけてあげるよ。アンジェルも一緒にね」
「お願いします!」
「お、お願いします!」
▽
翌日以降、アンジェルは木剣の素振りだけでなく筋力トレーニングや走り込みなど日々鍛錬に励んでいた。
ヴァラーたち四人は村の手伝いや人助け、歩いて三時間ほどかかる隣町まで冒険者として依頼を受けに行くことがしばしばあり、その内の何度かはアンジェルとブライヴを見学として連れて行くこともあった。
三ヵ月間の旅では危険な道はできるだけ避け、必要なときはガオに負ぶってもらっていたアンジェルだったが、見学をする際は身の安全は護ってもらうも、凸凹で体力の消耗の激しい獣道を自分の足で歩き、魔物の止めを刺す経験もさせてもらっていた。
初めて命を奪った日は体調を崩していたが、翌日には鍛錬に復帰しブライヴとともに汗水流して励む、そんな日々が過ぎ去り、一ヵ月が経った。
ヴァラーたちが一週間の内に村を出ることが決まり、ブライヴが旅の話を聞きたいとヴァラー、フレンド、ガオの泊まる部屋で夜中まで三人の話を堪能し自身の部屋へ戻り眠りについた翌朝、ブライヴはアンジェルと一緒に庭で日課の鍛錬に励んでいた。
「ブライヴ! 朝食の準備ができたからヴァラーたちを起こしてきてくれ」
ブライヴが父から呼ばれて食卓へ視線を向ければ、両親とグリートは既に席に着いていた。
ヴァラー、フレンド、ガオの起床が遅い理由は自分が昨晩遅くまで話に付き合わせてしまったからだろうと思い、ブライヴは汗を拭い三人が眠る部屋へ向かった。
少しでもゆっくり寝てもらおうとブライヴはできるだけ音を立てずに階段を上り、部屋の扉を開けた。
そっと三人が眠るベッドまで行くと、一人の大男が立ちあがり背を向けて窓から朝日を浴びているところだった。
ブライヴは一瞬その大男のことがわからなった。
何故ならその大男は仮面をしていなかったからだ。
だが後ろ姿とはいえ、その大男がガオだということは直ぐにわかった。
並ぶ三つのベッドの内二つにはヴァラーとフレンドがそれぞれ眠っており、空いた一つのベッドの脇で大男が伸びをしているのだ、ガオで確定だろう。
そう思いブライヴは声をかけようとするが、一度もガオの素顔を見たことがなかったことに気が付いた。
ガオ本人は火傷で見せたくないと言っていたがブライヴは以前から気になっていた。
しかし見せたがらない人の素顔を無理矢理見てもよいものか……
二つの心がせめぎ合い決着が付かない中、その瞬間が訪れてしまった。
「ブライヴ……」
ガオはブライヴの存在に気が付かずに振り返ってしまったのである。
寝ぼけ眼で朝日を浴びていたガオが振り返ると、そこには目を見開いたブライヴが呆然と立ち尽くしていた。
ガオはブライヴと目が合った刹那、ブライヴに背を向けて顔が見えないようにして声だけで語り掛ける。
「見たか?」
「は、はい……」
ガオはブライヴに聞こえないように小さくため息をつき、自身の不注意さに頭を悩ませるように片手で顔を覆う。
「言っての通り火傷が酷くてな、見苦しいモノを見せた。すまん」
ガオの素顔が露見した場合の言い訳は事前にヴァラーたちと考えていた。
しかし赤黒い肌の色と仮面が無ければ隠しきれない角を見られては騙されてくれる者はいないだろうと、素顔がバレないように立ちまわることが大切であった。
生物とは緊急時を除き寝ている時と食事を取っている時は油断が薄れてしまうモノ、魔物が跋扈する山の中で生活していたときのような警戒心をいつのまにかなくしていた自身に呆れてしまう。
魔物だと指摘されたらこの村には居れなくなる、それは良いのだが問題は、自分と同じ故郷の設定を持っているアンジェルをどう扱われるかが心配だった。
この一ヵ月でアジェント家が優しい人たちだということはわかっているが、魔物が連れていた人にも優しく接してくれるのだろうか……
ガオが背を向けたままブライヴの返答を待っていると、不穏な気配を察知したヴァラーとフレンドが上体を起こして寝ぼけ眼を擦りながら訝し気にガオとブライヴを交互に見る。
そして二人はガオが仮面をつけていないことを同時に気が付いて、血の気が引いたかのように頭が真っ白になる。
頭が回らないながらも、フレンドがどうにかして震えた声を絞り出す。
「お、おおおはよ! ふ、二人とも、は、早起きだなぁ。あ、あれ~外が凄く明るいぞ~、さ、さては俺たちが寝坊助さんだったか、こりゃいけねぇ、みんな待ってるなぁ! あっ! ブライヴは起こしに来てくれたんだよな? ありがとな! い、いや~助かる、助かる。直ぐ下行くから、先行っててくれ!」
目が泳いで冷や汗が止まらないフレンドは、声を震わせながらベッドから飛び起きブライヴを部屋の外に出そうとやや力強く背中を押す。
しかしガオの一言でフレンドは足を止めた。
「顔を、見られた……」
ヴァラーとフレンドが今、一番聞きたくなかった言葉であり沈黙が流れる。
たった数秒の沈黙だっただろうが二人にとっては永遠にも感じられた。
それを破ったのはヴァラーたち三人が一言一句聞き逃してはいけない少年、ブライヴの言葉だった。
ブライヴはフレンドの手を離れ、ガオの後頭部を見つめる。
「ガオさんって、魔物だったんですね」
ブライヴの視線を感じて、ガオは降参したかのように振り返り仮面をつけていない鋭い視線でブライヴの瞳を見据える。
「そうだ……」
「違うんだブライヴ! ガオさんは――」
「何が違うんですか……」
ガオの肯定に言い訳がましく続けたヴァラーの言葉を、ブライヴが遮った。
ガオが目を伏せ、ヴァラーとフレンドは藁に縋ることすらも許されなかったように顔に暗い影を射し込む中、ブライヴは淡々と言葉を続けた。
「人に優しくて、誰かを助けることに躊躇がない。それでいて子供の俺たちとも真剣に向き合ってくれる。顔がどんなだろうと、俺の知るガオさんは何も変わりませんよ」
ブライヴは言いたいことも聞きたいこともない、と言わんばかりに背を向けて部屋の扉へ歩を進めるも、三人に動きがないことを見て振り返る。
「ご飯、冷めちゃいますよ」
ガオ、ヴァラー、フレンドはお互いに視線を交差させると胸を撫で下ろし大きな息を吐いて、ブライヴと一緒に部屋を出る。
「ありがとう」
ガオは礼を告げブライヴの微笑みを瞳に映して仮面を着けた。
朝食を取ったあと、グリートとアンジェルにガオの素顔がブライヴにバレたことを報告したときは二人とも唖然としていたが、ブライヴの普段通りの対応に心配はないだろうとヴァラーたちのように胸を撫でおろした。
そのときブライヴから信じられない提案がされた。
なんとアジェント夫妻にもガオの素顔について話してはどうかということだった。
みながブライヴのように受け入れるとは思えなかったが、今後アンジェルを預かってもらう立場であるガオたちが嘘を付き続けていいわけがない。
アンジェルの養育を諦める覚悟で二人との出会いから包み隠さず話してみたところ、ブライヴと同じような反応をされた。
アジェント夫妻は"村のみんなに打ち明けるにはまだ早いが少しずつガオの良さを知ってもらえば、絶対に受け入れてくれる"と太鼓判を押してくれた。
ガオたちはアジェント夫妻の言葉を聞いて、もう少しこの村に滞在することを決めた。
アンジェルがこれから十数年の間、後ろめたい気持ちを感じず、心置きなく過ごせるように、ガオ自身が村の人たちに信頼される"人"にならなければ――
魔物である自分を受け入れてくれたアジェント一家に報いるために。
そして一難去ったと一息ついていたとき町へ商品を売りに出ていた村の住民から悲報が入った。
遠く離れた平原で魔物の大群が見つかり、あと六時間で村と衝突すると。




