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大学生クロの物語  作者: 三日月明楽
8/23

08

「今から見せる映像は、ショッキングな映像でモザイクなしだから。でも、これが今起きている現状なの」

明楽は映像を再生した。

映像には複数の女性がいたが、日本人ではないことはわかった。すると、悲鳴が響き渡り他の女性も恐怖で震えていた。数人の男達が女を暴行や強姦をしていた。また、別の男は女性を刃物で刺していた。

「うっ…」

設楽は気分が悪くなったのか、俯いてしまった。クロは真剣に見ていた。

「これ、どこでやってると思う?」

明楽は二人に聞いた。

「すみません…少し気持ち悪いです…」

設楽の顔が真っ青になっていた。

「もしかして…明楽さんが務めてる所ですか?」

クロは明楽に言った。

「さすがクロ。そう。お国の仕事をしている人が、こんな残酷なことしてるのよ」

「ちょっと待ってください!」

設楽は驚いた。

「警視庁ですよ!そんなのあり得ません。ましてや、全フロアに監視カメラあるしこんな複数の女性を隠すスペースなんて…」

「それがあったんだよ」

明楽はさっきの図面を見せた。

「あなた、地下駐車場って言ってたわよね」

「はい…」

「ここ」

明楽はとある小さな空きスペースを指差した。

「こっちが公式の警視庁の図面」

みると、公式にはそのスペースがない。

「三月さん…どう言う事でしょうか」

「ほう…」

クロは何処か興味を持っていた。

「女性達は難民か、不法入国者。日本人がいないのも納得できる。今不法入国者多いからね。誰がそうしてるのかわからないけど、女性達をただのおもちゃにしてる。映像見たらわかるけど、男達に殺意がない。むしろ楽しんでるのよ」

明楽はため息をついた。

「私も…こんな体験したことあるから許せなくて仕方がないの」

「え…」

設楽は驚いた。

「この映像は匿名で送られてきたの。で、私はそれを調査に派遣された。いわゆる潜入捜査してるの。こんなの許されない」

設楽は映像を改めて見た。すると。

「え…この人、見覚えあります」

「え!?」

明楽とクロは同時に驚いた。

「この男の人…海老名さんじゃ…」

明楽は見返した。一人の男が隅で見張っているのが、海老名に見えた。

「嘘だろ…」

設楽は混乱した。

「でも、真相はわからない。裏で何かやってるかもだし」

「明楽さん。一つ疑問に思ってるんですが」

クロが答えた。

「どうした?」

「どうしてここが警視庁と分かったのですか?」

明楽は一枚の手紙を出した。

「映像と一緒に入ってた。多分脱走できた人だと思うわ」

そこには、壮絶な内容が書かれていた。

『読んでいただきありがとうございます。私は運良く逃亡する事ができました。誰に話しても伝わらないと思い国外へ逃亡する事にし、無事に逃亡できました。でも、幻覚なのか追っ手なのか黒いスーツの人が張り付いてると思うと毎日が恐怖で仕方がないのです。さて、なぜ私があの時に捕まったのか。実は家族を養うために不法入国をしました。そして、入国後すぐに入館施設に収容されました。不法入国をすること自体がダメな事は重々承知です。しかし、家族養わないとと言う思いが強く出てしまいました。収容して一週間経った頃に私は連れ出されました。手錠をかけられ黒い車に乗せられました。窓の景色を見る事ができ、都会の風景を初めて見ました。日本語は不法入国する前に少し勉強していたので、看板の文字は読めました。そして、警視庁と書かれてある看板で曲がり大きな建物の地下駐車に入りました。パトカーや黒塗りの車がいましたが、さらに奥の方に移動し駐車していました。ついた途端顔を覆われ、次に見た光景が複数の外国人女性がうめき声を上げながら横たわっている光景でした。そして、複数の男に無理やり襲われ暴力も振るわれました。そんな壮絶を過ごしたある時、男達が居なくなり扉が施錠されてない事に気づいて、必死に逃げました。他の人を連れて行くと言う事はできませんでした。この手紙を読んでる人へ。逃亡する時に男達が忘れていたであろうパソコンもあり、映像もあり同封させていただきました。彼女達を助けてください』


「…なんて言えばいいのか」

クロは言葉が出なかった。

「不法入国自体は違法。だけど、これはもう別件ですよね…」

「不法入国自体違法よ。でも、これに関して国が遊びの一環で女の人権を無視してると一緒。死んだら焼却なり道にポイするなり、最悪無実の犯人を作るなどもすればいいだけだもん」

明楽は呆れていた。

「でも、潜入しててみんな真面目に仕事してる。成果を出す。そんな中でこんな事を裏でしてる奴らがいるって事は、真面目に仕事してる人に対して泥を塗っていることよ。絶対に許したくない」

明楽は時計を見た。

「あら、もう遅いわね」

「あぁ…じゃぁ、もう帰ります。この事は絶対に秘密にします。なんなら、手を貸してあげたい。何もできないですが…」

設楽は明楽に言った。

「ありがとう」

「では、失礼します。あ、クロ君でいいかな?夕飯ありがとうね」

クロは軽く礼をし、設楽を見送った。

「明楽さん。体調は大丈夫でしょうか?」

「ごめんね。疲れた。シャワー浴びて休むよ。ありがとう」

明楽は着替えを持ち、シャワーを浴びた。クロは片付けをしていた。すると、窓の外からカラスが現れた。クロは窓を開け、カラスを入れた。カラスはクロの耳元でクチバシを動かした。

「そうか。無事に家に着いたんですね」

クロはおやつをあげ、カラスを外に放った。

「クロ。シャワー空いたわよ」

「はい。今入ります。それと、設楽さん。無事に家に着いたそうです」

「そう…私もう休むね」

「おやすみなさい」

明楽は部屋に入った。クロもシャワーを浴び、部屋に入り休んだ。


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