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大学生クロの物語  作者: 三日月明楽
4/23

04

「君の組織の三月さん。優秀じゃなか。銃の命中率すごいじゃないか」

男はダニエルに話した。

「そうでしょう。彼女は私の犬なので。もっとこき使ってください」

「井上くんもだろ?」

男は井上に目を向けた。

「はい。仕事面では、早くて助かってます」

「じゃぁ、サラちゃん。そろそろ行こうかな」

男は女の尻を触った。

「はい…海老名警部」

女は鋭い目つきで海老名を見た。

「井上くん。サラちゃん、しばらく入れて三月さんの観察させるから。面倒みてね」

「わかりました」



夢をみた。明楽は潜入先でターゲットからホテルへ案内されていた。

「君かわいいね」

「ありがとうございます」

部屋に入ると、ターゲットは荷物を下ろした。そして、明楽に抱きついた。

「一緒にシャワーどう?」

「私…一人で入りたいです。あなたが入ってる間に、この部屋の雰囲気作っておきますよ?」

「お!それは楽しみだな」

ターゲットがシャワーを浴びてる間、明楽はターゲットのスマホをエナジーに接続した。

「明楽さん。こっちは任せてください」

「頼んだよ」

すると、ターゲットがシャワーから出てきた。腰にタオルを巻いて。

「空いたぞ」

「はーい」

明楽はシャワーを浴び、バスローブを羽織った。

「一気にエロくなったね。こっちこい」

明楽はターゲットの横に来た。

「いい匂いだ。かわいいね」

「ありがとうございます」

男は明楽を抱きしめる隙に、明楽の首に何かを刺した。

「うっ!?なにを…」

明楽は距離をとったが、目眩なのか立ってることができなくなった。

「君が殺し屋だとすぐわかった。ゆっくり苦しめ。でも、君素敵だな。死ぬ間際に抱いてやろう」

男が襲いかかった。明楽は太ももに仕込んだナイフを取り出し、力を振り絞った。

「このクソが!」

一気に立ち上がり、男の首を切った。男は声もあげず、その場に倒れた。

「エナジー…」

「明楽さん!」

「教官に…連絡…」

明楽もその場に倒れてしまった。


目を覚ますと、朝になっていた。

「おはようございます」

クロが入ってきた。

「おはよう…起こすの手伝って」

明楽を起こしてあげた。

「今日は仕事お休みですよね?」

「うん。ほんと、休みでよかった」

「私も大学が休みなので、一日看病しますよ」

「ありがとう。でも、朝ごはんはいいや。食べる気がない」

「わかりました。飲み物は?」

「コップに水入れて」

クロはリビングへ行き、コップに水を入れた。明楽に渡し、ゆっくり飲んだ。

「大丈夫ですか?」

クロは明楽の背中をさすった。

「うん。大丈夫。ありがとうね。せっかくの休みなのに」

「いえいえ。なんでも言ってください。出かけたいのであれば、同行しますよ」

クロはカーテンを開けた。

「今日はいい天気ね…」

「はい」

明楽は時間を見た。

「クロ。ちょっと出かけるから、同行お願いしていい?」

「もちろんです。準備しますよ」

「ありがとう」

明楽は数少ない普段着を取り出し、着替えた。

「久しぶりに着るな…」

クロを見ると、いつものスーツスタイル。

「え…服ないの?」

「これしか私は着ません」

「そ…そうなのね」

カバンを持ち、玄関を開けた。

「それじゃ、出かけますか」

明楽とクロは地下鉄に向かった。

「明楽さん…すみません。電車?に乗るの初めてです」

「え!?普段どうやって移動してたの…」

「ちょっと言えないやり方で…でも、大学は徒歩ですよ」

すると、電車が到着した。明楽はクロの手を取った。

「一緒に乗ろ」

電車の扉が開くと、乗客に紛れて明楽とクロは入った。

「三つ目の駅で降りるよ。結構揺れるから、その吊り革に捕まってるといいよ」

「わかりました」

クロは吊り革を握り、電車の揺れに耐えていた。

「結構揺れますね…」

「まだこれくらいは序の口よ」

「えぇ…」

「クロはどうやって移動するのよ。言えないやり方って言われても、思い浮かばないんだけど」

クロは悩んだ。

「内緒ですよ…瞬間移動…です」

「うそだー!」

「本当ですよ?」

そうこう言ってるうちに目的の駅のついた。

「ここで降りるよ」

ゾロゾロと降りる乗客に紛れ降りた。

「階段登るよ」

明楽に引っ張られ、階段を登り改札を出た。大きい駅なのか、人で賑わっていた。

「ちょっと歩くけど、バスに乗るよ」

「人が多いし、お店も多いですね」

地下街を歩き、階段を登るとバスターミナルが見えた。

「四番線に行くよ」

四番線を見ると、そこそこ人が待っていた。

「どこへ行くのですか?」

「水族館行くの。シャチをみたくて。前から行ってみたいと思ってたんだ」

明楽の表情を見ると、どこにでも居る普通にお出かけを楽しむ女性になっていた。しばらくすると、バスが到着した。

「乗るよ」

切符を取り、座席に座った。

「バス初めて?」

「一回か二回しか乗ったことがありません…」

しばらくバスに揺られると、大きな建物が見えた。

「クロ!あれよ!」

バス停に停り、二人は降りた。

「大きい建物ですね…海が近いですか?磯の匂いが」

「となり海よ。さ、行こ?」

入り口で受付を済ませ、入場した。目の前には大きな水槽があり、シャチが優雅に泳いでいた。

「すごい…この世界にこういうのあるんですね…」

「シャチかわいい。みたかったんだよね」

二人はシャチの迫力に興奮した。

「すごい…」

「クロ!すごいよね!次は巨大水槽の魚たち見に行こ!」

明楽に引っ張られ、巨大水槽があるところにきた。

「おお〜」

「サメおっきいね!」

明楽はどこにでもいる普通の女性になっていた。いや。普通の女性。ただ、幼さが所々出ていた。

「明楽さん。素敵ですよ」

「どうしたの?」

「いえ。楽しんでおられて、私はいいと思います」

水族館を満喫した後、レストランに入った。

「メニュー色々あるね」

明楽はどれを食べようか迷っていた。

「クロも好きなの選んでいいからね?」

「ではお言葉に甘えて…」

明楽は店員を呼んだ。

「ビーフシチューと…クロは何する?」

「私も、ビーフシチューで」

店員はメモを取ると、オーダーを受け付けた。

「ありがとう。とても楽しいよ」

「明楽さんが楽しんでるところ見ると、私も楽しいです」

「ちなみに、こう言うデートって経験あるの?」

「全くないですよ。明楽さんが初めてです。ありがとうございます」

クロはお冷を口に運んだ。

「クロってさ、普通にかっこいいよね」

一瞬むせそうになった。

「いきなりそれ言わないでください」

「だって、モテそうじゃん?」

「女から告白されたとかはないですよ?むしろ、かっこいいとかってお言葉、明楽さんが初めてですよ」

「え…クロの世界って、価値観?違うのかな?」

「さぁ〜」

すると、頼んでいたビーフシチューが届いた。付属にパンが付いていた。

「いただきます」

「美味しそう…いただきます」

二人は同時にビーフシチューを口に運んだ。

「美味しい…」

「お肉柔らかい」

クロは付属のパンにビーフシチューをかけて食べた。

「めっちゃ合う」

「ほんと!?」

明楽も真似をして食べた。

「美味しい…」

あっという間に平らげ、店を出た。

「この後、どこ行きます?」

「ごめん。ちょっと辛くなった。家に帰ってもいい?」

「大丈夫ですか?もちろんですよ」

バスと電車に乗り、明楽の家へ戻った。

「クロ。ありがとう」

「こちらこそ、お昼ご飯ごちそうさまです」

明楽は部屋へ行き、ベットに横になった。

「大丈夫ですか?」

「うん。疲れただけ。クロ…」

「なんですか?」

「一緒に寝ない?」

クロはドキッとした。

「え…」

「嫌?」

「命令ですか?」

「命令ではない。でも、ごめん。寂しい」

するとクロは明楽の横に入った。そして、明楽を抱きしめた。

「これの方がいいですよね?私、女経験ないので…」

すると、明楽はクロの背中に手を回した。

「嬉しい。我儘言ってごめんね」

「いえ。ただ、明楽さんが今欲しいのは、愛情だと思ったので。今日のデートで明楽さん。すごく楽しんでて、嬉しかったです。毎日、仕事と任務をこなし、日に日に悪化する病気にも耐えておられる。少しでも、明楽さんが楽しい思いを感じていたら、私は嬉しいです」

「クロ…」

「明楽さんは、今この時間。どうですか?」

明楽は嬉しくて涙を流した。

「最高だよ。ずっと、こんな時間が続けばいいと思うよ。クロ…ありがとう」

明楽の背中を撫でてあげた。


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