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Thread of World──世界の糸の物語──  作者: 織優幸灔&夜月夢羽
一章
44/124

24.黄金の名

 睦の昔のツテの副産物とやらのおかげで、景矢が使っていたものと種類は違うものの同じ世界の、魔法が使える紙が大量に手に入った。





 そのおかげというか部下の頑張りもあってというか、思ったより早く帰れた。





 玄関を開けるや飛び出してきた(みずち)を抱き上げる。



「おかえりなさい!」

「ただいま」



 蜃は小雨から降りると、小雨の後ろから顔を出した二人に目を丸くした。




「こんばんは……」

「こんばんは〜。お邪魔します」

「こんばんは蜃ちゃん。お邪魔するね」




 降水(ふるす)長小雨(ながさめ)が手を振ると、蜃は小さく会釈してから部屋の中に逃げていった。



 奥から母親を呼ぶ声がする。




千譜結(ちふゆ)言ってなかったの?」

(そう)さんには言ったけど。蜃に伝わってないのはわりとあるあるだから」

「入って大丈夫ですか?」

「うん」



 部屋に置いやろうとしたが、二人揃って挨拶すると言うのに押されてリビングに入った。




「霜さん、お久しぶりです」

「はじめまして! お邪魔します、部下の降水です」

「久しぶり儺宥(だゆう)君。はじめまして降水さん、いつも蜃がお世話になっています」

「いえいえ、とても可愛いお嬢様で」

「よかったね蜃」




 霜が足にくっ付いている蜃を見下ろすと、蜃は小さく頷いた。



 小雨の仕事場にいる二人が家にいるっていうのが慣れないんだろうな。






 小雨は二人を引きずって自室に入った。




「ぬいぐるみの山……!」

「毎年毎年佚世さんがくれるんです」

「金の世代の一人ですよね、小雨先輩、霹靂神(はたたがみ)帝翔(ていと)貝寄(かいより)夜光冠(やこうかん)(りつ)に並ぶ」

「そう。どこに行ったのか死んだのかここ五年か六年か現れてないけど」

「出生性別本名、血縁者、神の力、全て判明していないんですよね?」

「神の力は、本人が言うには運の神様、らしい。本当かはわからないが」

「……小雨先輩、どうしてこの五人が金の世代と言われるんですか?」




 降水の突然の質問に、小雨は目を瞬いた。首を傾げる。





「どうしてって、何が?」

「なぜ全く別組織の五人の名前が並ぶんですか? 悪側はまぁわかるとして、そこに小雨先輩が入ることが不思議です。というか当時佚世さんは廃教会にいたんですよね?」

「なぜって、なぜ金の世代っていうんですかって質問並みに答えに困る」

「そもそも金の世代もそのメンバーも街や政府の神迎長が言い出した総称だ。五人の誰かひとりでもそう名乗った記録はない」



 長小雨の説明に降水はへぇと納得して、そういうことと同意しながら椅子に座った。



「……でも千譜結(ちふゆ)、なんで廃教会の佚世と繋がりがあるんだ? 元トワイライトの五大幹部、今見付かっても神迎はしょっぴくだろ。それの罪は年々増える一方だ」

「廃教会は中立を謳った。それを言われた以上、どんな経歴の持ち主であれど捕まえてしまえば政府が中立を潰したということになる。それは当時過激化していたトワイライト、特に彼が育てた新世代が力を付けていたあのときでは、彼を法の元に捌くのは政府とトワイライトの全面戦争になる。そうなれば負けるのは確実に政府だ」

「神迎はトワイライトを抑えられるだろ」

「トワイライトは、ね」



 小雨は机の隣の棚を開けると、なにかのファイルを取り出した。真っ黒で、鍵がかかっている。

 小雨は鍵とともに、ベッドに座る長小雨に渡した。




「もし全面戦争に発展すれば被害は尋常じゃない。加えて政府と持ちつ持たれつになっていたスイハとピステルは完全にトワイライトに傾倒、政府は孤立する。五大組織のうち三つが協力、一つが手中に落ちてしまった場合、政府に勝ち目はない」




 長小雨の開いたファイルの中は、佚世のある限りの情報だった。


 本名であろう姓名、おおよその年齢、持っている技術、経歴、使った偽名、年齢、顔、それらからわかる限りの人脈まで。



 顔と偽名だけで軽く百を超え、五ページ使われている。

 人脈は闇組織から政府、ジュワルパ、平民、参界者、果ては政府が血眼で探している犯罪者共まで。



「載っているだけで確実とされている情報だ。……最後のページ」




 開くと、世界地図は、一部を除いて赤く塗りつぶされていた。



「二十二年前、テロとデマで世界を混乱させた事件。それの被害場所」

「ジュワルパの島以外、全部……!」

「ここって今無人島ですよね!?」

「このファイルに載ってるって……」

「……確証はないんですけどね。推定八歳、やろうと思えばできます」

「いや、子供だろ!?」

「十四で政府長と商談して裏世界の一切を勝ち取ったあの方なら、できないことはないでしょう。というか、たぶんその頃からやっていたから最年少でトワイライト五大幹部になれたんでしょう」

「マジかよ……」

「化け物じゃないですか! そんなの、さっさと殺してしまった方が……!」

「送ってるんですよ。その事件が起こった数日後、それが解決する前から。検討を付けて殺してしまおうと。殺されたのはこちらでしたが」




 降水は愕然とし、同じく驚いた長小雨は微かに眉を寄せた。



「なんで暗殺を知ってんだ? お前、まだ六歳とかだろ。政府にも関わってない時……」

「代々神迎管理官を勤めていた家系だぞ。……てか推理したの、俺だし」

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