ルーシアの輝き
むかしむかしのお話です。
どこまでも広がるおおきな夜空に、ひとつの星の子どもが浮かんでいました。
その星の子の名前はルーシア。薄っすらと青く輝く、三等星です。
ルーシアは星として生まれたのは10万年前なのですが、
ほかの星の子どもたちよりも輝く力が弱く、
10万年たった今になってようやく三等星になれたのです。
そして星の子どもたちは、
三等星の輝きを持つようになると、
広い宇宙の中へと自分の輝く場所を見つけにいきます。
三等星になったルーシアも例外ではありません。
彼は今日、自分の輝く宇宙を探しに旅立ちます。
ルーシアは鞄におやつの金平糖と流れ星のショールを詰めて、
最後にお世話になった星のネヴァに、別れの挨拶をしに行きました。
「ネヴァ、いままでありがとう。
遠い宇宙に旅立つけれど、きっと君のところまで輝きを届けるよ」
「もう、ルーシアったら。
…貴方はまだまだ小さな輝きなんだから、
燃え尽きてしまわないように気を付けてね。」
「ネヴァ…」
「それじゃあ、いってらっしゃい。
いつの日か貴方の輝きが届くのを、楽しみに待ってるわ。」
「ありがとう。君も、輝きを忘れないで…」
ルーシアは、きらきらりと輝きを零れさせるネヴァに微笑んで、
そっとその場を離れました。
ずっと傍に居てくれたネヴァ、輝きを分かち合ってきたネヴァ。
でももう旅立てばネヴァはいません。
ルーシアはひとりきりで、
どこまでも広がる宇宙の中で自分の居場所を見つけなければいけません。
それはとても心がきらめいて、けれど心細いようにも思える旅立ちで…
「さようなら、僕の輝きたち!」
ルーシアはその一歩を今踏み出したのです。