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老剣士、家を建てる。  作者: フクフク
おじいちゃん頑張る編
4/25

第4話 六英傑〈剛豪〉のマイヴァイス

お楽しみください

 “家を建てる“


 資金は潤沢、あとは、知識と方法か...



 それはそうと、大国からの使者とはなんだろうな

 魔王というヤカラがわたしの手に負えるかどうかは知らないが、家族に、マーチが生きていく未来に、危害を加えるというのなら、看過は出来ないな


「いや、とりあえず今は、クエストをこなしつつ、情報を集めるか」



 ブラック・ドラゴンのあり得るはずの無い、〈日の街〉サンシティ襲撃から一夜明け、マイオはギルドへと赴いていた


 ドアへ手をかけ、扉を開く



「マイオ・マイクマイ殿ぉぉお!!!お待ちしておりましたぁぁぁあ!!!」


 扉を開き、ギルドへ足を踏み入れると同時に、声のバカでかい、大剣を背負った屈強な男のお出迎えで、始まる


 ......えっ、なになに?こわぁ......


 その男は、デカイ挨拶とともに、深々と頭を下げる

 地面に頭がメリ込むほどに



「...えっ...とね、頭を上げてく、うわあぁぁ!?...ビックリしたぁ...」

 マイオの返しに反応するように、勢いよく頭を上げる


「ゴホンっ、ンっ、それで、どちら様ですか?...」

 先程の会釈により男の額から出血し流れ落ちていたが、マイオは恐怖を咳でごまかす


「はっ!!そうでしたぁ!!」


「ちょっと、落ち着いていこうかぁ?」

 内心バクバクだが、大人の余裕をみせる

 といっても、声デカ男もいい大人だが...


「そうですねっ!!少し失礼します!!」

 男はそういうと、大振りで深呼吸をする


 騒がしい男だ...

「...緊張する必要なんて無いよ?いつも通りでいってみようか?」

 これ以上は流石に心臓が持たない...


「ありがとうございます!!深呼吸して、緊張が和らいできましたっ!!」


「いつも通りでいいよ?」



「...へっ!?」


「...へ?」





「わぁはっはっはぁ!!まさか、この大声が緊張のものだと思われていたとはっ!!!」


 なるほど、ただ豪快なんだな


「ではっ!!改めまして、俺はラセニマ王国 王国騎士長 マイヴァイスと申します!!」


 その名に、ギルド内は驚きを隠せないようで


「ですが、今はこう呼ばれることが多いですね!!六英傑ろくえいけつ剛豪ゴウゴウ〉のマイヴァイスと!!」


 英傑...どこかで、聞いたような...



「俺は、"剣卿"に憧れて剣の道を志し、ようやくあなたの前に立つことが出来ました!!

 会えて光栄ですっ!!」


 興奮のせいか、傷口にした包帯に血が滲む


 やっぱ、こわいなぁ...

 だが、まぁ、悪いコでは...ないか...


 マイオは口元がゆるむ


「わたしも会えて嬉しいよ とまぁ、自己紹介を終えたところで王国騎士長が一体なに用かな?」


 マイヴァイス君が騎士長を務めるラセニマ王国は、アート島を治める大国

 この〈日の街〉サンシティも、王国から与えられた領土につくられた街の1つだ


 おそらく...というか、絶対、彼が大国からの使者で間違いないだろう


「実に情けない話ですっ...!!...ラセニマ王国 王女シベリナ様の護衛にマイオ殿の助力を得に伺った所存です...!!」


 王女の...護衛任務...!?


「現在、ラセニマ王国に限らず、世界で人員不足に陥っております

 魔王軍が各地で猛威をふるい、多くの犠牲が日々生まれているのですっ...!!!」


 そんなことになっていたのか...

 昨夜のカヴリナの話では、具体性は掴めなかったが、いよいよ無視できる存在ではないようだな


「仕方のないことだよ 強者が屠るのは自然の摂理だからね」


 マイオの思いやる言葉に、マイヴァイスは拳を握りしめる


「違うのですっ.......!!!」


 額の包帯が血に染まり、力が入り過ぎているのか、筋肉が痙攣する

 声は通るが、それには力がなく



 んー、まいったなぁ

 話だけなら、わたしは素知らぬ顔で家族と過ごせていた

 非情だろうが、わたしの愛する者たちに害をなさなければ、世界の実状にすら興味を抱かない


 わたしの行動はいつも単純だ


 恩返し、それ以外の何物でもない


 助けられたから、救われたから


 ................。



「そうだよな...違うよな...当たり前なんかじゃない...」


 マイヴァイスはテーブルを一点に見つめていたが、その言葉を聞き、顔を上げる



「...一老人の力がどこまで役に立つか分からないが、手を貸そう」


 暗かった表情は明かりを取り戻し、マイヴァイスは唇を噛み締める


「っ......はいっ!!ありがとうございますっ!!!」


「タダでとはいかないけどね 情報ほうしゅうを用意してくれているとありがたい」


「もちろんですっ!!」


 席を立ち上がる



「では早速!!ラセニマ王国 国王の住む王都へ!!!」


「へっ...?」


 半ば強引に送迎の馬車に乗せられ、マイヴァイスが発進を命じる


「ちょっと待ってくれ!!今から行くのは良いが、せめてシーファに言伝を...」


「使いの者にさせますので、ご安心を!!」


 "剣卿"の力、これこそ暗黒から脱け出す唯一の希望...!!!





 馬車内にて、血に染まった包帯を替えさせる


「それで、ギルドではかなり隠して話をしていたように見えたが...」


「気付かれましたか...!! 現在、アート島の3割が魔王軍に占領されています...

 街や村は破壊され、そこに住んでいる民たちは捕らえられ、魔王軍やつらの要求を通す為の人質として扱われているのです...」


「要求...それが、王女護衛と関係があるのか」


「そうですね、交換条件で王女シベリナ様の御身を要求されたのです!!

 魔王の意思ではなく、その幹部〈色伯しきはく〉のエロアイズ、やつが糸を引いているのは明らかです...!!」


 国を守備する騎士の手伝いではなく、王女だけを護るのを手伝えと...

 そのバカみたいな名前のやつは、国・島・命に興味なんて無く


「そいつが相当な女好きなんですよ!!国を滅ぼしてでも手にいれる程に...!!」


 相手を聞いたマイオは頭を抱える


 悩ましいな...問題が多すぎる...



「まぁ、引き受けた以上は、やるしかないか...」

 ため息まじりに、覚悟を決める





 馬車の窓から外を眺める


 サンシティから出発して、数時間...


 アート島 ラセニマ王国 王都サンサイディス


 そこに"剣卿"マイオ、立つ...!!



お時間いただきありがとうございました

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